Journal of UOEH
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37 巻, 2 号
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[原著]
  • 新生 忠司, 岡田 洋右, 鳥本 桂一, 黒住 旭, 成澤 学, 山本 直, 田中 良哉
    2015 年37 巻2 号 p. 103-110
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    亜急性甲状腺炎(SAT)に対するプレドニゾロン(PSL)治療中の再燃率は約10 - 20%である.しかしSAT の再発に至るまでの期間においてPSLの減量方法や再発に伴う因子に関する報告は無い.今回の研究ではPSLにて加療を行ったSATに対するPSLの減量方法と再燃との相関について検討することを目的とした.試験デザインは,カルテベースの後ろ向き研究で,対象は2004年1月から2013年7月にSATに対してPSLを投与した26名(男3名,女23名).主要評価項目は,再燃とPSL 5 mgに減量するまでに要した日数との関係,副次評価項目は再燃と年齢,clinical score( 活動性),free thyroxine,炎症反応,Thyroglobulin,総治療期間,総PSL量,Creepingの有無との関係とした.再燃率は15.3%であった.非再燃群と再燃群ではPSL初期投与量(27.5 mg vs 24.5 mg,P = 0.302) に有意差を認めない.しかし,主要評価項目:PSL 5 mgに減量するまでの日数(非再燃群:44.3 ± 15.3日 vs 再燃群:19.0 ± 11.9日,P = 0.012)に有意差を認めた.副次評価項目:その他の臨床的項目とSATの再燃との間に有意な相関は認めなかった.結論として,SATの再燃を起こさないためには,PSL減量日数に留意すべきであり,PSL 5 mgまでの減量には十分時間をかけるべきである.
  • 山下 一太, 善家 雄吉, 酒井 昭典, 大茂 壽久, 森谷 史朗, 前原 孝
    2015 年37 巻2 号 p. 111-119
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,橈骨遠位端骨折の受傷から手術までの期間(早期群vs待機群)が術後成績に影響を及ぼすか否かを明らかにすることである.背側転位型橈骨遠位端関節外骨折患者106症例のうち,受傷当日もしくは翌日に掌側ロッキングプレートを用いて観血的整復固定術を施行した76例を早期群,受傷後7日目以降に手術した30例を待機群とし,術後4週,12週,48週のそれぞれの時点での可動域,握力,Disability of the Arm, Shoulder and Hand (DASH)スコア,合併症について後ろ向きに調査した.両群の患者とも,可動域,握力,DASHスコアとも有意に改善した.術後48週時は,両群間に有意差を認めなかったが,早期群が待機群と比較して,術後4週は前腕・手関節可動域,握力,DASHスコア,術後12週は手関節可動域,握力,DASHスコアが有意に良好であった.手術した背側転位型橈骨遠位端関節外骨折において,受傷から手術までの待機期間が,術後早期の臨床成績に影響を及ぼす可能性が示唆された.
[症例報告]
  • 篠原 伸二, 花桐 武志, 竹中 賢, 岡壮 一, 近石 泰弘, 下川 秀彦, 中川 誠, 浦本 秀隆, 宗 知子, 田中 文啓
    2015 年37 巻2 号 p. 121-125
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    末梢に発生する肺腺様嚢胞癌は極めて稀であるため報告する.症例は77歳女性.大動脈炎症候群,糖尿病,高脂血症の診断で近医外来受診していた.肺結節の経過観察のためにCTを撮影したところ,右肺中葉末梢に結節影を指摘された.気管支鏡下肺生検を行ったが肺結節の確定診断には至らなかった.悪性の可能性が否定できず,胸腔鏡下右中葉の部分切除を施行した.肺結節の術中迅速病理診断は,悪性腫瘍の診断であり,中葉切除の追加を行った.病理検査の結果,篩状構造を有する腺様嚢胞癌の診断であった.
[報告]
  • チョウ ジェ ローン, ロン スウ リム, ス ティン ティン
    2015 年37 巻2 号 p. 127-138
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    大腸がん生存者である被雇用者の職場復帰は労働衛生上の困難な課題である.本研究は大腸がん生存者の職場復帰の過程で生じる種々の阻害要因と促進要因を保健医療従事者の認知から探ることを目的とした.多様な分野の保健医療従事者(政府および民間部門)12名を対象に半構造化面接による聞き取り調査を実施した.得られた情報は逐語的に筆記し,情報処理をNVivo software 8.0.により行った.オープン・コーディング,軸足コーディングおよび選択的コーディングにより文脈情報から仮説を生成した.保健医療従事者は,職場復帰について,4つのカテゴリーに分けられる阻害要因と促進要因を数多く共有していた.主要な阻害要因は,副作用と心理的阻害要因(個人的要因),補償(経済的要因),さまざまな仕事に従事することの困難さ(労働関連要因),長期病気休職制度,雇用者の消極的な姿勢,知識と意識の欠如(環境要因)である.確認された主要な促進要因は,就労生活の再開意欲,社会への貢献意欲(個人的要因),健康保険の財源を維持するための経済的圧力(経済的要因),仕事上の要求水準の軽減(労働要因),支援的職場,病気離職に対する厳格な職場の方針(環境要因)である.保健医療従事者は必ずしも職場復帰について訓練されてはいなかったが,職場復帰ががん生存者と職場にとって重要であることはすべての保健医療従事者が認めた.がん生存者の職場復帰の援助において,産業医には直接的な役割がある.がん生存者の職場復帰への早期の取り組みには,闘病後の職場復帰を改善するために調整可能な要因(労働関連要因および環境要因)に照準を合わせ,産業医と雇用者を加えることが重要である.
[原著]
  • 堀江 祐範, 三木 猛生, 本間 善之, 青木 滋, 森本 泰夫
    2015 年37 巻2 号 p. 139-148
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    アメリカ航空宇宙局による有人月面探査構想が発表され,我が国も参加を表明している.月面には,月レゴリスと呼ばれる微粒子を含む表土が堆積しており,月面での活動によって月レゴリスが舞い上がり,宇宙船内に持ち込まれて吸入する可能性がある.月面探査に先立ち,月レゴリスの有害性評価が必要であることから,本研究では月レゴリスの化学組成と粒径に着目し,細胞に対する影響を検討した.アポロが持ち帰った月レゴリスと同様の組成を持つ月レゴリスシミュラントを用い,液相沈降法により粒径が10 μm以下,25 μm以下および10~25 μmとなるように分画した.さらに,平均粒子径5.10 μmの微粒子からなる月レゴリスシミュラントを用い,0.1および1.0 mg/mlの濃度でヒト肺胞上皮腺癌由来のA549細胞およびマクロファージ様に分化させたヒト単球由来のTHP-1細胞に投与し,24時間後に,細胞傷害,酸化ストレス誘導および炎症誘導性を評価した.濃度1.0 mg/mlのときには,細胞膜の損傷とミトコンドリア活性の低下と,インターロイキン- 8( IL-8)の分泌および遺伝子発現の上昇が認められたが,0.1 mg/mlではこれらの影響はないか,ごく小さく,陽性対照とした結晶性SiO2 に比べても影響は小さかった.THP-1細胞において,濃度1.0 mg/mlでは培養上清中にIL-1βおよび腫瘍壊死因子-α( TNF-α)の分泌がみられたが,24時間の時点でIL-1βおよびTNF-α遺伝子の上昇はみられなかった.また,細胞内酸化ストレスの上昇も小さかった.細胞膜損傷,酸化ストレス誘発あるいは炎症誘発性といった細胞影響は<10 μmの画分で強い傾向があったが,顕著な違いはなかった.以上の結果から,in vitroの試験において化学組成の面からの細胞影響は小さく,粒子径の影響もそれほど大きくないことが示された.
[論説]
  • 久米 恵一郎
    2015 年37 巻2 号 p. 149-156
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    軟性内視鏡分野のロボット開発は,経管腔的内視鏡手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery: NOTES)におけるtissue triangulationを可能にするプラットフォームとして研究が始まった.その後,早期消化管癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection: ESD)の出現・普及により現行の診断目的に開発された軟性内視鏡による治療手技の限界が改めて意識され,上下部消化管内視鏡分野にも治療を目的とした内視鏡ロボットの開発が始まる.軟性内視鏡の先端に両手のように2本のアームが搭載されたものが中心で,把持,牽引,切開,切除,止血などの手技を可能にしたが,ロボット化のメリットを具現した理想的な最終形態は提示されていない.本稿では,軟性内視鏡ロボットの開発状況と筆者の開発したロボットについて概説する.
[報告]
  • 辻 慶子, 松本 真希, 鷹居 樹八子, 児玉 裕美, 萩原 智子, 岩田 直美
    2015 年37 巻2 号 p. 157-165
    発行日: 2015/06/01
    公開日: 2015/06/13
    ジャーナル フリー
    快適な入院生活を過ごすとともに安全で確実な医療行為を行うには,医療施設の環境デザインの適切さが求められる.基礎看護学の単元「 環境」の授業では,医療施設,とくに病棟のイメージがつかないまま環境の学習をする看護学生が多く,その理解が不十分で患者の援助に繋がらないことが多く見受けられる.建築用コンピュータソフト(ウインドウズ8)上で動作する「3Dマイホームデザイナー Pro 8」を利用し,医療施設において患者に最適な療養環境としての環境デザイン学習の可能性を検討するために,平面図上の医療施設を作り3D画像に変換した後,コンピュータの画面上で病棟内を疑似歩行体験できる仮想病棟動画を作成した.動画は, a)「 病室」の壁の色彩を変化させたもの, b)「 病棟配置」はナースステーションの位置と病室の配置の違い, c)「 視力の低下を体験できる外来」では白内障による視力低下で視界がぼやけてみえる外来の3種類からなる.対照群は静止画群を動画と同様に(a,b,c)の3種類作成した.c)の静止画については説明書付きとした.作成した動画と静止画について看護学生と看護師にアンケート調査を行った.その結果, a) の動画・静止画において両者の視聴後の感想に差はみられなかった.またb)の動画は,看護学生と看護師の記述内容に違いがみられなかった.c)の動画は,看護学生・看護師とも患者の視点での記述が多かった.臨床経験のない看護学生は動画により病棟内を歩く疑似体験を通じて,視覚的・体験的に病棟の環境を理解できたと考える.また,看護教育において仮想病棟動画の活用は疑似体験ができることで,学生の準備状況に合わせた教育プログラムの作成が可能であることが推察できた.
[訂正]
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