我々は,インターフェロンγと12-0-tetradecanoylphorboI-13-acetate(TPA)が,
125I-EGFのhuman amnion(WISH)細胞への結合を共役的に減少させることを報告した(Karasaki Y
et al(1989)J.Biol Chem264: 6158-6163). ここではその作用機構の解明を試みた. TPAはprotein kinase C(PKC)を活性化するので, PKCの阻害例(H7およびstaurosporine)を用いることにより, インターフェロンγとTPAの共役的作用でPKCの果たす役割について検討した. インターフェロンγとTPAの共役的作用はPKCの阻害剤により阻止された. このことは, EGFのWISH細胞への結合減少におけるインターフェロンγとTPAの共役的作用で, PKCは重要な役割をしていることが示唆している. ところで, WISH細胞をTPAで24時間処理するとEGFの結合が回復する. しかしながら, インターフェロンγ存在下では細胞をTPAで24時間処理しても, EGFの細胞への結合は50%以上減少したままであった. このとき細胞のもつPKCの活性は, TPAのみで24時間処理した時と同様に消失していたことから, インターフェロンγは, PKCそのものと共役的に働くと言うよりはPKCによって細胞内に誘導される第2番目のファクターと共役しEGFの細胞への結合を減少させるのではないかと考えられた. さらにインターフェロンγはカルシュウムイオノフォアーと共役的にEGFのWISH細胞への結合を減少させたことから, カルシュウムイオンがTPAによって誘導される第2番目のファクターでインターフェロンγと共役する因子ではないかと推測された.
抄録全体を表示