長寿者の割合が多いと言われる中国巴馬県において, 3つの民族(瑶族, 壮族, 漢族)69名を対象に1998年, 栄養調査を行った. 毛髪を用いて標準ガスで標準化された炭素同位体比と窒素同位体比(δ
13C, δ
15N)を求め, 食物摂取状況を評価した. 瑶族と漢族のδ
13Cの分布は-21‰から-17‰で, トウモロコシ, キビ, 粟のようなC4植物の分布に近い値であった. 壮族では-25‰から-22‰に分布し, 米, 小麦, ジャガイモのようなC3植物の分布に近かった. これらの値は都市在住の中国人に比べ, かなり広い分布を示した. 一方, δ
15Nはどの対象者も8‰から11‰の範囲にみられた. δ
13Cの分布は食生活調査結果からも支持されるものであったが, δ
15Nの分布は予想より高い値を示した. 毛髪の炭素, 窒素の同位体比分析と長寿要因との関連は明確でないが, 3つの民族の同位体分析は特徴ある分布を示した.
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