Journal of UOEH
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23 巻, 4 号
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  • 岡井(東) 紀代香, 山崎 政子, 長森 寛子, 岡井 康二
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 335-344
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    緑茶は古くより様々な薬理効果が知られ, 特に緑茶中のカテキン類の抗酸化活性の重要性が多くの研究によって示されている.これに対して著者らは, カテキン類を熱湯抽出した後の茶ガラ中に存在する抗酸化活性を分析した.茶ガラをアセトン処理し, その抽出液をリノール酸から過酸化脂質が生成される実験系に添加したところ, 強い抑制作用が観察された.そこで, アセトン抽出液をシリカゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分析したところ, 複数の色素の存在が明らかとなり, その色調, Rf値, および分光スペクトラムの特徴よりそれらはクロロフィル類(aとb), フェオフィチン類(aとb)そしてカロチノイド類(β-カロチンとルテイン)と考えられた.そこでそれぞれの色素について過酸化脂質の生成に対する抑制効果を調べたところ, すべての色素が有意の抗酸化活性を示した.以上の結果は, 緑茶の有する抗酸化作用の観点からカテキン類を含む「飲むお茶」とともに他の多くの抗酸化物質を含む「食べるお茶」の摂取が生活習慣病を予防するのに有効である可能性が示唆された.
  • 堀江 正知, 伊東 一郎, 荒木 葉子, 大神 あゆみ, 畑中 純子, 藤田 雄三, 椎野 恭司, 菊池 誠作
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 345-362
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    昭和60年の「VDT作業のための労働衛生上の指針」に基づくVDT作業の健康管理の実態について日本企業84社の調査を実施した. 過半数の企業では労働者の80%以上がVDT作業者であった. VDT健診の実施対象者選別基準は, 1日4時間以上のVDT作業者としている企業が最も多かった. 54.8%の企業ではVDT作業者に健康診断で何らかの特別な項目を測定していた. 最も多く実施されていたのは近方視力であった. 事後措置を実施する事例は, 眼症状によるものが筋骨格症状より多かった.現在, 改正作業中の指針に8項目を提言した. 1)液晶画面やノート型パソコンへの推奨事項の提示, 2)一般労働者へのVDT健康教育, 3)VDT作業者のカテゴリーの明確化および簡略化, 4)VDT作業休止時間確保のための具体策の提示, 5)自覚症状によるハイリスク群の判別,6)測定項目の最新科学情報の供給, 7)最新の管理手法の定期的改正, 8)指針の目的の明確化.
  • 田村 和彦, 安部 治彦, 長友 敏寿, 中島 康秀
    原稿種別: 症例報告
    2001 年23 巻4 号 p. 363-368
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    患者は72歳の拡張型心筋症の男性で, 繰り返す薬剤抵抗性の心室細動(VF: ventricular fibrillation)に対して経静脈的に植込み型除細動器(ICD: implantable cardioverter defibrillator)が植込まれた. VFは植込み時誘発テストではT波ショックにて誘発されたが, ICDは最大出力の30Jでも誘発されたVFを停止できなかった. 除細動器の極性を変え, 上大静脈リードを追加しても誘発されたVFの停止に効果的でなかった. ICDはVFを感知した際には最大出力の30Jで作動するように設定され, 手術終了とした. 術後5ヵ月間の経過観察期間中に, 2回の自然発生したVFがICDのテレメトリー上に記録され、いずれのケースもICDは最初のショック治療にてVFを停止させた. ICD植込み時の誘発されたVFの停止に失敗したにもかかわらず, 経過観察期間中に自然発生したVFの停止に成功したICD植込み患者の報告例はこれまでない. 除細動閾値が非常に高いICD患者では特に注意深い経過観察が必要と考える.
  • ―科学革命と哲学の課題―
    前田 義郎
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 369-380
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    西欧近代とはどのような時代だったか. この問題は近代科学の意味と本質的に関係している. 近代科学の成立時には科学革命が起こったが, この革命においていかなる物の見方の変革が行われたのか. そしてこの問いに対する答えは同時に近代哲学の基本性格を決定するものでもあった. アリストテレスの天動説, 運動学を検討すると, 彼の自然学の欠点は, 目に見える感覚像をそのまま実在の反映であると速断したことであることが分かる. この点から, 「対応説」と呼ばれる伝統的な真理観は不十分なものであることを示す. そこで, 私は本稿で「現象の中で実在をどのように観るか」という方法論的, 哲学的問いが重要であることを示す. この問いはプラトンが取り組んだ問いであり, カントを導いた問いでもある. この問いは, 実在の理論としての新たな形而上学的基礎の模索であると言うこともできる.
  • 大橋 浩
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 381-387
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    英語の場所副詞thereには, 発話時における話し手の領域内の場所を指さないという基本的な使用条件があるが, 一見この条件に違反するように見えるI'm there という表現がある. 本稿ではthereの指示物を基準に, その用法を, 話者がいる場所を間接的に指すことになる場合, 比喩的に既出の「状態」を指す場合, および話者がこれから行こうとする場所を指す慣用的な用法に分類し, それぞれの用法について関連する表現を取り上げながら考察を行った.
  • 筒井 隆夫, 堀江 正知, 加地 浩
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 389-401
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    就労者数50人未満の事業場に対して, 事業者の特殊健診に関する意識調査を行い, 特殊健診の有効活用について検討した. 有効回答354件, 回収率49.5%であった. 事業者の6割以上は, 特殊健診が業務上疾病の予防や従業員の健康の保持増進に役立つと感じており, 約8割の事業者は, 特殊健診に対して何らかの有効性を感じていた. しかし, 約3割の事業者は, 健診に労働時間が取られること, 実施に経費がかかりすぎることを不満としており, 経済的, 従業員の人数的な問題が, 特殊健診の実施や事後借置を妨げる一因と考えられた. 産業医契約のある事業場は約2割であり, 約4割の事業者は地域産業保健センターを知らず, また, 約半数の事業者は, 従業員の健康診断の結果について, 医師等に意見を求めていなかった. 小規模事業場における特殊健診の有効活用には, 地域産業保健センターなど, 社会・医療資源を有効に活用するシステム作りが必要と考えられた.
  • 加藤 貴彦, 大森 久光, 中尾 裕之, 黒田 嘉紀, 今井 博久, 前原 正法, 甲斐 真知, 常俊 義三
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 403-409
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    喫煙習慣が肺機能に及ぼす影響について明らかにするために, 横断・縦断調査の結果を検討した. 対象は宮崎県中部に位置し, 農村地域にあるK町における39歳以上の一般住民の中で, 調査開始時点で健康調査, 肺機能検査が可能であった1,739名(男性698名, 女性1, 041名)である. 肺機能検査の指標として, 努力性肺活量(forced vital capacity; FVC), 1秒量(forced expiratory volume in one second; FEV1.0)を用い, 予測値による年齢, 身長の補正後, 分析を行った(横断的検討). 12年間の時間的変化については, 予測式による補正を行った後, 12で除すことによって予測値調整年変化量を求め比較検討した(縦断的検討). 横断的検討では, 予測値に対する%FVC, %FEV1.0とも男性群において喫煙者群と元禁煙者群, 非喫煙者群との間に統計学的に有意差が認められた. 縦断的検討では, 予測値調整FVC年変化量は男性群と女性群, 予測値調整FEV1.0年変化量は男性群において、喫煙継続者群は非喫煙群に比べ有意に大きかった. 男性元喫煙群では, %FEV, %FEV1.0, 予測値調整FEV1.0年変化量が喫煙継続者群に比べ有意に低下を示した. 今回の地域住民を対象にした横断的, 縦断的研究結果より, 喫煙の肺機能への影響指標として%FVC, %FEV1.0に加え, FVC年変化量, FEV1.0年変化量の有用性が示された.
  • 中田 浩一, 坂本 久浩
    原稿種別: 原著
    2001 年23 巻4 号 p. 411-420
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    自家末梢血幹細胞移植術を安全に施行するには十分量の末梢血幹細胞(peripheral blood stem cell: PBSC)を効率よく採取する必要があり, この目的でPBSCの指標として採取前日・当日の末梢血CD34陽性細胞数の測定が行われているが, フローサイトメーターを所有していない一般病院では迅速な結果が得られない. そこで一般病院でも施行可能な末梢血液所見の動態を中心に, PBSC採取効率に及ぼす諸因子の影響について検討した. 化学療法と顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony-stimulating factor: G-CSF)を使用したPBSC採取では, 採取時末梢白血球中の未熟細胞(骨髄芽球, 前骨髄球, 骨髄球, 後骨髄球, 赤芽球の和)の比率がPBSC採取効率と最も強い相関が認められ, 相関係数も0.724と比較的高く, PBSCの採取時期の決定や採取PBSC量の予測に有用ではないかと思われる. またG-CSF非使用下では, 白血球増加速度など骨髄造血回復能を示す種々の因子とPBSC採取効率に相関が認められた.
  • 田中 良哉
    原稿種別: 総説
    2001 年23 巻4 号 p. 421-429
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    細胞接着分子は, 細胞膜表面に発現し, 細胞と細胞, または, 細胞外マトリックスとの接着に関与する分子群の総称である. 接着分子は, 構造と機能は極めて複雑多岐にわたり, 生体内の基本的な機能全般において中心的役割を担う. また, 接着分子は, 単に細胞の糊としてのみならず, 細胞間, および, 細胞内情報伝達にも関与し, その主要な役割は, (1)多細胞体の発生・分化, 組織の支持・構築, (2)白血球等の血管内から組織内への遊出に代表される細胞の移動, (3)組織内における細胞の認識と情報伝達などがあげられる. 接着分子の発現や機能の異常は, 自己免疫疾患や癌細胞転移を始めとする種々の病態をもたらす. また, 接着分子は, 治療的病態制御において重要な標的として注目される.
  • 伊豆 邦夫, 山元 修, 山口 純子, 大田 知子, 旭 正一
    原稿種別: 症例報告
    2001 年23 巻4 号 p. 431-436
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は41歳の女性. 約2ヵ月前より月経時に躯幹・下肢に環状に拡大する浮腫性紅斑が出現するようになった. 血液一般, 生化学検査や各種ホルモン検査では特に異常所見は認められなかった. Progesteroneの皮内反応にて, 遅発性に陽性反応を認めたためautoimmune progesterone dermatitisと診断した. 患者は過去に, 合成progesterone剤内服の既往があった.
  • 山田 陽司, 伊東 健治
    原稿種別: 症例報告
    2001 年23 巻4 号 p. 437-441
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    急性局所性細菌性腎炎の1例を報告した. 症例は30歳女性. 3日間続く右腰背部痛と発熱を主訴に九州労災病院泌尿器科を受診. 急性腎盂腎炎の診断で, 入院治療を受けるも, 3日間の抗菌化学療法後にも腎部痛が持続したため, 腹部CT施行し, 右腎に限局する腫瘤様陰影を指摘された. その後, 7日間の抗菌療法にて自覚症状は軽快. 退院後1ヵ月にてCTでの腫瘤陰影は消失した. 以後19ヵ月経過した現在まで, 再発はない.
  • 蒲地 正幸, 内田 荘平, 撫中 正博
    原稿種別: 症例報告
    2001 年23 巻4 号 p. 443-450
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    タイで自動車事故により頸髄損傷をきたした患者を人工呼吸管理を行いながら日本まで搬送した. 患者は55歳, 男性. タイへ出向中の自動車会社の社員. 交通事故により頸髄損傷をきたし, 救急病院に搬送された. 牽引整復後, 頸椎固定術が施行された. 受傷後約1ヵ月が経過した時点で状態が安定し, 日本へ搬送することになった. 神経学的には第5頸髄レベル以下の完全麻痺であり, 自発呼吸はみとめられるが十分な1回換気量が得られないため搬送中も人工呼吸管理が必要と判断された. 人工呼吸器, 酸素ボンベ, 吸引器, モニター等を現地の搬送アシスタント会社に手配してもらい, 日本から持ち込んだ医療器具を併用して無事, 日本まで搬送することができた. 飛行時間約6時間, 現地の病院を出発してから約11時間の医療搬送であった. 重症患者の国際搬送, 航空機搬送に必要とされる知識, 技術, 問題点について学ぶことができた.
  • 松嶋 康之, 上田 まり, 佐伯 覚, 蜂須賀 研二
    原稿種別: 報告
    2001 年23 巻4 号 p. 451-456
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業医科大学病院における外傷性脳損傷患者の特徴・転帰について調査・検討を行ったので報告する. 対象は, 外傷性脳損傷による機能障害のリハビリテーション目的で当院リハビリテーション科に入院した51症例. カルテ記載をもとにレトロスペクティブに調査を行った. 受傷時平均年齢は34.9歳, 男性43名, 女性8名であり, 受傷原因としては交通事故が68.6%と最も多かった. 認知・行動障害を有する症例は86. 3%であった. 自宅復帰できた症例は70.6%であったが, 退院時に復職の見込みがあった症例はなく, 復学可能であった症例は2名のみであった. ADL (activities of daily living) 障害が重度な症例ほど自宅復帰が困難であり, また認知・行動障害を有する症例で自宅復帰が困難な傾向にあった. 本調査結果より, 外傷性脳損傷患者の認知・行動障害に対する包括的なリハビリテーションアプローチ, 地域での連携システムの確立の必要性が示唆された.
  • 2001 年23 巻4 号 p. 457-469
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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