1) 十勝平野西・南部に分布する洪積世の火山灰層は, 西方および北方に給源火山をもち, 多少とも粘土化の進んだ褐色~赤褐色の細粒~中粒火山灰層, 軽石質火山灰層, スコリア質火山灰層, 軽石層, スコリア層などからなっている. これを, 十勝ローム層と名付ける.
2) 本地域の十勝ローム層は, 全層厚約10m, 比較的やわらかで, 軽石層に富む上部ローム層と, 上限にクラックが発達し, 固結の進んだ下部ローム層とに二分される.
3) 下部ローム層は約3mの厚さをもち, 上更別II面と, これより高い地形面にのみ分布する. 上更別I面と, これより高い地形面では赤色を帯び,“古赤色土”状を呈する. 下部ローム層中には顕著な軽石層はみられない.
4) 上部ローム層は約7mの厚さを持ち, 上札内II面と, これより高い地形面に分布する. 従来, 詳しい報告のあったE-a, Spfa 1, Spfa 2のほかに, 9枚の特徴的な軽石層, スコリア層を含む. それらは, 図1に示されている.
5) これらの示標層のうち, RP IはHo, Mgに富み, oPx, cPxは少ない. その他の軽石層, TBSは, すべてoPx, cPx, Mgが主成分で, Hoは少ない. RP I, RP III, HP I~HP IVにはBioが, RP III, RP IV, HP IVには火山ガラスが含まれる.
6) 上札内I面群を構成する厚い扇状地礫層に挾まれる示標層により, fill の時期が示される. すなわち, HP IVは fill の開始期, RP IV (OP) は fill の形成期の中頃, TBS~Spfa 1は fill の終了期を示す.
7) TBSの供給源は調査地域の北方である可能性が強いが, その他の軽石層は, すべて西方の火山からもたらされたものと考えられる.
8) 十勝団研 (1972a) のOp-1は, 筆者らの火山灰層序からみると, RP IIに対比される場合と, RP IVに対比される場合があり, Op-2, Op-3は, ともにRP IVに対比されることが多い.
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