第四紀研究
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43 巻 , 2 号
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  • 長島 佳菜, 多田 隆治, 松井 裕之
    2004 年 43 巻 2 号 p. 85-97
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    日本に飛来する風成塵(黄砂)の粒径やフラックスは,アジアモンスーンや偏西風強度を記録していると考えられている.そこで本研究では,日本海秋田沖で採取された海底コアKT94-15-PC-5を用いて,日本海に飛来する黄砂粒子の粒径・含有量を過去14万年間にわたって復元した.コアに含まれる黄砂の中央粒径・含有量は,グリーンランド氷床コアGRIP (Greenland Ice Core Project)の酸素同位体比変動と類似した変動パターンを示し,氷期に大きく間氷期に小さい数万年周期の変動と,Dansgaard-Oeschgerサイクルに対応した亜氷期に大きく亜間氷期に小さい数千年周期の急激な変動を示した.この結果から,大局的にはMIS (Marine Isotope Stage)1,3,5において,数千年スケールで見るとMIS3~5dの亜間氷期には,夏季モンスーンが強かったか,あるいは偏西風が弱かったことが推測された.また,MIS2,4,6およびMIS3~5dの亜氷期においては,夏季モンスーンが弱かったか,あるいは偏西風が強かったことが推測された.黄砂の粒径・含有量変動は,MIS5を通じてGRIPの酸素同位体比に類似した変動パターンを示し,信憑性が疑われてきたGRIPのMIS5e部分の酸素同位体比記録に大きな乱れはなく,急激な気候変動の繰り返しが実際に存在していた可能性を示唆した.
  • チュン ジョンファ, 池原 研, ハン サンジュン
    2004 年 43 巻 2 号 p. 99-112
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    東海(日本海)の対馬海盆から採取されたピストンコア試料中には,鬱陵島,コリア海台南部の海底火山,姶良カルデラ,阿蘇山の4つの火山噴出した10枚の火山灰が確認できた.対馬海盆北部の堆積速度の遅い場所から採取された3本のコアには,火山ガラスの形態や粒径,化学組成から阿蘇-3火山灰に同定されるテフラが採取された.阿蘇-3火山灰は,氷期に堆積した細粒タービダイト層と高海水準期の酸素に富む底層水環境下で堆積した巣穴構造をもつ生物擾乱を受けた泥の間に挾まる黄鉄鉱のフィラメントで特徴づけられる生物擾乱を受けた泥の中に挾在する.同様の特徴をもつ泥は,最終氷期最盛期の細粒タービダイト層と完新世の巣穴構造をもつ泥の間の後氷期(Termination I)にも認められ,この泥が後氷期の海水準上昇期に堆積したものであることを示している.最終氷期から完新世の岩相変化の年代と酸素同位体曲線から推定される汎世界的海水準変動との関係を,ステージ6から5にかけての後氷期(Termination II)にも適用すると,阿蘇-3火山灰の噴出年代はおよそ133kaと推定でき,阿蘇-3火山灰はTermination II指標火山灰であると考えられる.
  • 大越 昌子, 宮村 新一
    2004 年 43 巻 2 号 p. 113-128
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    土壌から,あるいは遺跡から出土するイネ科植物起源の珪酸体は,植物種による固有の形態を有することから,イネ科植物の種類を同定する上で大変有用なものである.しかし,これらの珪酸体が細胞のどの部分に相当するのかは明らかではない.本研究では,イネ(Oryza sativa L.)第2葉の表皮組織中の珪酸細胞と,長細胞における珪酸の集積部位を明らかにする目的で,加圧固定法を応用した透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った.その結果,珪酸細胞ではクチクラ層下部,二次細胞壁および細胞質に高電子密度の微粒子が集積することが明らかになった.また,二次細胞壁を形成しない長細胞では,クチクラ層下部,外界側一次細胞壁(外層・中層)および細胞質内の液胞に,多量の微粒子が集積することが明らかになった.個々の微粒子の元素組成をエネルギーフィルタ透過型電子顕微鏡(EF-TEM)で分析したところ,これらの微粒子がSi原子の酸化物(SiO2)であることが明らかになった.
  • 苅谷 愛彦, 杉山 真二, 佐々木 明彦
    2004 年 43 巻 2 号 p. 129-137
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    多雪気候で特徴づけられる三国山地平標山(北緯36度48分,東経138度49分,標高1,984m)では,標高1,600~1,700m付近に存在する山地帯上限以高において,偽高山帯景観が発達している.ここでは,本来存在すべきと予想される亜高山針葉樹林帯に代わり,草原や矮低木群落が発達する.本研究は,現在の亜高山帯の主要構成要素であるササ属を主体とするタケ亜科植物について,その長期的盛衰を明らかにするために植物珪酸体分析を行ったものである.タケ亜科植物は完新世前半に現在の亜高山帯領域を広く被覆していたが,消雪の遅い斜面では5,600~4,940cal yrs BPごろに衰退したとみられる.この状態は1,300~680cal yrs BPまで継続したが,これ以降は回復したと推定される.完新世中期以降のタケ亜科植物の変動は,完新世の広域気候変動に連関した消雪時期の変化によってもたらされた可能性がある.
  • 奥村 晃史
    2004 年 43 巻 2 号 p. 139-163
    発行日: 2004/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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