第四紀研究
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34 巻 , 3 号
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  • 町田 洋
    1995 年 34 巻 3 号 p. 125-128
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    This symposium aims to give overview and prospect for the high-resolution age determinations for Quaternary research. In order to understand global environmental changes of the past, or to predict the changes expected in the near future, one would like to know a detailed history of environmental changes through the high-resolution dating. The papers presented in the symposium are to be divided into two categories: 1) non-radiometric age determination for the recent past such as chronology of tree ring, archaeological evidence, ice-core and laminated lake sediments, and palaeontological chronology. 2) radiometric age determinations including AMS radiocarbon dating, wiggle matching, calibration of radiocarbon dating, U series, TL, ESR, FT and K-Ar dating methods.
    The most important subject currently discussed is to give the high-resolution age for the datum planes that are commonly used in the Quaternary research. Of them, the problem of the Younger Dryas age arises a very interesting and valuable chance for improving up the dating technique of such methods as dendrochronology, ice-core chronology, varve chronology, radiocarbon method, etc. Recent advances in orbital time scale have given high-resolution age controls for both climatically induced marine isotope and geomagnetism, resulting in a stimulation of high-resolution radiometric age determinations.
  • 古城 泰
    1995 年 34 巻 3 号 p. 129-134
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    同一遺構から得られた複数試料の年代測定値の平均化および高精度14C樹輪補正曲線を使用した14Cウイグル・マッチングは,条件さえうまくあえば,高精度で年代を決定するための有効な手段となる.このことを筆者が北アメリカ南西部および西日本の遺跡から採取した遺物を用いて行った研究例で示す.ここで示した10年単位の14Cウイグル・マッチングは,試料木材が大量に必要なこと,試料の調製・測定に相当な時間と労力がかかること,試料木材の年代によっては測定ができない場合があること等の問題がある.これらの問題の解決策のひとつとして,炭素ないし酸素の安定同位体比を用いた1年単位のウイグル・マッチングの可能性についても述べる.
  • 福沢 仁之
    1995 年 34 巻 3 号 p. 135-149
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    年縞(non-glacial varve)を用いた高精度年代測定法は,第四紀の年代決定法の中で最も有力な方法の一つである.本論文では,第1にスウェーデン年縞編年学(Swedish Varve Chronology)を例として取りあげ,年縞研究の現状と問題点をレビューした.その結果,1.最新年縞年代と現在との関係,2.年縞の計数方法および,3.年縞でない葉理の付加および年縞の消失が,編年に大きな影響を与えることが指摘できた.第2に,福井県三方五湖の水月湖における数本の堆積物コアから得られた,過去16,000年間にわたる年縞堆積物を用いた編年学について詳しく述べた.この年縞堆積物では歴史記録から年代をさかのぼる計数,および広域テフラや泥流堆積層による対比や計数の検証が行われつつあり,Younger Dryas期や最終氷期極相期の編年が数年単位で明らかにできる可能性を指摘した.第3に,集水域が狭く,周辺からの粗粒砕屑物が流入しない水月湖の細粒堆積物中の鉄鉱物や粘土鉱物組成の変動が,大陸起源の風成塵変動,日本海の海水準変動および若狭湾周辺の降水量変動を反映しており,年縞計数の結果から過去8,830年間の変動を1年~数年単位で明らかにした.
  • 藤井 理行
    1995 年 34 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    氷河や氷床の涵養域では,雪とともにさまざまな起源を有する物質が年々堆積している.また雪が氷になる過程では,大気が気泡として取り込まれている.このように,氷河あるいは氷床から掘削により取り出したコアは,過去100~105年の気候や環境変動のタイムカプセルといえ,第四紀研究における分解能のよい情報を提供することになる.雪氷コアの解釈の上で重要なことは,コア年代の合理的な決定である.本論では,季節変化シグナルによる方法,年代示準シグナルによる方法,放射性同位体による絶対年代の決定法,氷の流動モデルによる方法を紹介する.
  • 高山 俊昭, 佐藤 時幸, 亀尾 浩司, 後藤 登美子
    1995 年 34 巻 3 号 p. 157-170
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北大西洋の第四系深海底堆積物の中に,13の石灰質ナンノ化石基準面が認定され,その地質年代も地磁気層序との対応から算出された(Takayama and Sato, 1987).この基準面は,赤道太平洋やインド洋の深海底堆積物,およびわが国の上部新生界の中にも確認される.その結果,第四系の認定と相互の対比,および10万年オーダーでの地質年代の決定が可能になった.本論では,その成果の概略を紹介し,あわせて基準面の有効性について,化石の同定に関する個人差,基準面の同時性,研究者によって異なる基準面の年代値といったさまざまな問題点からこれを検証した.一方,鮮新統/更新統境界の模式地である南イタリア,ヴリカ(Vrica)のセクションにおける石灰質ナンノ化石層序を検討したところ,基準面のうちの4つが確認された.鮮新統/更新統境界は,筆者らの基準面(12)(Gephyrocapsa caribbeanicaの出現:図7参照)に近く,その年代を基準面の位置とCande and Kent (1992)の古地磁気年代尺度を基礎に求めたところ,1.74Maとなった.
  • 中村 俊夫
    1995 年 34 巻 3 号 p. 171-183
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1950年頃にLibby(1955)によって開発された14C年代測定法は,現在,地質学,地球科学,環境科学,考古学,文化財科学などさまざまな分野で利用されている.この45年の歴史をもつ放射能測定(14Cの放射壊変で放出されるβ線を検出し,14C濃度を知る方法)による14C年代測定法に対し,加速器技術を取り入れた新しい14C年代測定法(加速器質量分析法)が約15年前に開発され,現在全世界で活躍している.
    ここでは,名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定の現状を概観し,測定される14C年代値の信頼度をさらに向上するための検討課題について,すなわち,試料の採取,試料調製,加速器質量分析法による14C濃度測定などの14C測定上の問題,および14C濃度から14C年代値の算出,その暦年代への較正に至るデータ処理上の問題点について議論する.さらに,14C年代測定法と他の年代測定法との比較について紹介し,タンデトロン分析計の利用の実情と将来計画について概説する.
  • 北川 浩之
    1995 年 34 巻 3 号 p. 185-190
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    14Cキャリブレーションの最終氷期への拡大は,最終氷期-後氷期の地球規模の環境変動を理解するうえで,またおのおのの年代測定方法に及ぼす要因を検討するうえで重要である.過去9,200年間については,樹木年輪の14C濃度の経年変化から14Cキャリブレーションが明らかにされている(例えば,Stuiver et al., 1986).最近,サンゴ化石のウラン系列年代と14C年代の比較,また年縞堆積物に含まれている陸上生物遺体の14C年代測定から,14Cキャリブレーションの年代域の拡大を目的とした研究が進行している.しかし,これらの異なる方法を用いて推定された14Cキャリブレーションは一致していない.サンゴ化石のウラン系列年代と14C年代の比較にもとづいて作成されてきた最終氷期の14C年代-暦年代変換プログラム(Stuiver and Reimer, 1993)は暫定的な要素があり,他の方法で推定された14Cキャリブレーションを加味して再考する必要性(ca. 10,500yrs cal BP以降)があると考えられる.
  • 奥村 晃史
    1995 年 34 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    正確で高精度な14C年代を求めるために,年代値の補正は不可欠な手続きである.基本的な補正項目である海水および大気のリザーバ効果,同位体選別,大気14C濃度の経年変化についての補正は14C年代測定の一部として普遍的に実施される.同位体選別の補正は,質量分析計を用いて年代測定と同時にδ13C測定を行う必要がある.これ以外の補正は既存のデータをもとにパーソナルコンピュータ用に開発されたプログラムで行うことが可能である.目的に応じた精度をもつ正確な年代を得るためには,これらの補正の内容を理解して高精度年代測定の戦略をたてることが必要である.
  • 大村 明雄, 伊勢 明広, 佐々木 圭一, 新坂 孝志, 長谷部 由美子
    1995 年 34 巻 3 号 p. 195-207
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    最近のウランおよびトリウム同位体分析への質量分析計技術の導入は,230Th/234U年代測定法の精密化とともに,必要試料の大幅減量や適用範囲の14C法による測定年代域への拡張も可能にした.一方,従来のαスペクトル法でも,測定機器類の計数効率や安定性の向上と,試料の放射化学的処理法の改良によって,測定誤差がTIMS法の4~5倍にまで改善された.今では,最終間氷期最盛期相当の測定値(約125ka)の誤差が,95.5%の確率を意味する2σの統計誤差で表示しても,TIMS230Th/234U法では約1ka(1%),αスペクトル法でもおおよそ5ka(4%)と,以前に比べ格段に小さくなった.しかし,そのような年代値を,みかけ上誤差が小さいからというだけで,そのまま信用することはできない.本論では,真に信頼できる年代値を得るには,最良の試料を用いることが不可欠であるという立場から,試料が230Th/234U法固有の前提条件と必要条件を満たすことを検証するための方法を提示し,さらに230Th/234U法の信頼性を高めるための方策を論じた.
  • 高島 勲
    1995 年 34 巻 3 号 p. 209-220
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    熱ルミネッセンス(TL)年代測定の最近の研究動向を紹介し,火山岩中の石英による測定法と年代精度にかかわる項目を解説した.測定法では,赤色発光の利用,生長曲線によるパレオドースの決定,人工照射と天然TLの関係を議論した.年間線量評価では,元素分析と放射線現地計測を比較し,元素分析値から年間線量を算出する場合の水分量,元素移動,宇宙線量を見積もる方法を示した.同一地層についてのほかの手法による年代データとの比較から,TL法は数千年から百万年までの年代範囲を20%程度の精度で求められることを明らかにした.誤差要因が多いことから,TL法を精密年代決定法として利用することは困難であるが,注意深い実験で10%以内の誤差におさめることは可能である.TL法の利点は,測定が簡単で,桁違いとなるような大幅誤差例が少ないことであり,第四紀火山の活動史復元等への利用が最適である.
  • 檀原 徹
    1995 年 34 巻 3 号 p. 221-237
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    フィッション・トラック(FT)法は,年代較正に関するIUGS勧告(Hurford,1990a,b)以降,年代標準試料によるゼータ較正を必要とする測定法となった.第四紀テフラのFT年代測定にはジルコンとガラスが対象とされ,ジルコンでは結晶内部面(ED1)と外部面(ED2)の測定,ガラスではITP-FT補正法が広く用いられる.ジルコンとガラスのFT年代測定について,国際レベルおよびわが国での現状と問題点をレビューした.また,年代測定手法,その信頼性および達成可能な測定精度について言及した.
    おもに,ジルコンの高精度年代測定達成の条件について検討し,ゼータ較正,低い自発トラック密度の正確な測定,本質結晶の識別が前提条件となることを議論した.その結果,ジルコンの場合には,結晶外部面を用いるED2法が高精度測定に適することを結論した.この方法を用いて,日本の代表的な広域テフラ5試料の高精度年代測定を行った.
  • 塚本 すみ子
    1995 年 34 巻 3 号 p. 239-248
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    電子スピン共鳴(ESR)年代測定法は,自然放射線の作用による欠陥の蓄積をマイクロ波吸収により観測し,年代を求める方法である.この年代測定法は,広く第四紀をカバーでき,年代測定の対象となる試料が多い一方で,年代を算出する過程がルーティンになりにくいために,手法の標準化が遅れ,測定結果が信頼を得にくいという問題があった.しかしここ数年間に,総被爆線量や外部放射線量を推定する方法が改良され,手法の標準化も試みられて,ESR年代の客観的な評価が可能になった.また,同一試料を用いた世界的な方法内比較のプロジェクトも行われた.ESR年代測定法の問題点は徐々に解決に向かいつつあり,今後は第四紀の年代測定法としてより有効なものとなることが期待される.
  • 板谷 徹丸, 岡田 利典
    1995 年 34 巻 3 号 p. 249-259
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    カリウム-アルゴン(40K-40Ar)年代測定法が世に登場したのは1955年であった.放射性核種40Kの半減期が約13億年と長いことから,この手法の若い地質時代への適用には微量放射起源アルゴンの定量分析技術に格段の発展が待たれた.しかしながら,その10年後にはすでに第四紀に相当する年代にまで適用された.それは人類考古学の時代領域まで突入するものであったが,1969年に,この手法の伝統的な測定法に致命的とも思われる欠陥が存在することが示された.そのような状況下でも,アルゴン分析技術の進歩とともに,若い地質試料への挑戦が試みられてきている.
    本小論は,第四紀研究におけるK-Ar年代測定法に焦点をあて,若い地質学試料の代表的年代測定例を紹介し,実際に若い火山岩試料の年代測定を経験してきた過程で,著者らが理解してきた問題点を指摘し,将来どうすれば精度および確度の高い年代測定が可能になるかについての意見を述べている.
  • 兼岡 一郎
    1995 年 34 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    分析技術の進歩によって,最近は放射年代としてかなり細かい年代数値が報告されてきており,それらを用いて非常に細かい議論がされている.しかし,放射年代としての数値そのものが示す年代というのは,そもそもどのような意味をもっているのかを認識することが必要で,そのために放射年代がいわゆる年代として意味をもつための要件について概括した.
  • 福岡 孝昭
    1995 年 34 巻 3 号 p. 265-270
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    第四紀試料の放射年代測定法の高精度化の現状を,正確さ(accuracy)と精度(precision)の点から考察した.14C法,カリウム-アルゴン(K-Ar)法,ウラン系列法では,高性能の測定器が開発され,“精度”が著しく上がった.これらの方法では,測定法の原理に関係する“正確さ”の問題も十分に吟味が進んでいる.フィッション・トラック(FT)法では第四紀のジルコンの標準試料が,熱ルミネッセンス(TL)法と電子スピン共鳴(ESR)法では年間線量の正確な見積りが,“正確さ”の向上のために要求されている.火山岩のウラン系列年代測定では,高性能の質量分析計(Thermal Ionization Mass Spectrometer, TIMS)の導入により,マグマ活動のタイムスケールの詳細な議論ができるようになることが期待される.
    放射年代測定によって得られた年代値には,放射性元素の壊変現象にともない必ず誤差がついている.誤差のついた年代値の取り扱い方を考察した.
  • 町田 洋, 大村 明雄
    1995 年 34 巻 3 号 p. 271-278
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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