第四紀研究
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47 巻 , 3 号
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論説
  • 太田 陽子, 松原 彰子, 松島 義章, 鹿島 薫, 叶内 敦子, 鈴木 康弘, 渡辺 満久, 澤 祥, 吾妻 崇
    2008 年 47 巻 3 号 p. 143-157
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    佐渡島の国中平野南西部,真野湾岸,国中南断層の下盤に位置する4地点において,深度最大80mのボーリング調査から得られたコアについて層相観察,貝類群集解析,有孔虫・珪藻・花粉などの微化石分析と14C年代測定を行い,完新世における古環境変化と海水準変化,地殻変動を考察した.本地域では,完新世海進は約8,000yrsBPに始まって急速に進み,海面高度は約7,000~6,000yrsBPには現海面よりやや高くなり,5,000~4,000yrsBPには現在と同じ,ないしはわずかに高く,それ以降は湿地性の陸域となった.復元された完新世海水準変化曲線は,ハイドロアイソスタティックな観点から計算された海水準変化と大きな差異はない.完新世海成段丘の高度からは佐渡島は隆起地域にあたるが,活断層下盤側の国中平野では顕著な隆起も沈降もなかったと思われる.
  • 張 穎奇, 河村 善也
    2008 年 47 巻 3 号 p. 159-172
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    小長梁遺跡の1.36Maとされる層準の堆積物から,篩による水洗法で得た小型哺乳類化石のうち,本論文ではトガリネズミ形目と兎目の化石を系統分類学的に記載した.トガリネズミ形目の化石は歯の形態の詳しい比較から,トガリネズミ科トガリネズミ亜科のトガリネズミ族に属することが明らかになった.この族を構成する多くの属のうち,アジアの鮮新統と更新統から知られる属と比較すると,今回の化石はSorexに属することがわかったが,標本の不完全さから種の同定は行なえなかった.兎目の化石は,すべてナキウサギ科に属し,それらは大きさが明らかに異なる2種類に分類できる.中国の鮮新統や更新統から知られるナキウサギ科の属はOchotonaOchotonoidesのみで,今回の化石のうち小型の種類は形態や大きさから,Ochotonaに属する.中国の鮮新世とそれ以降現在までの時期の多くのOchotonaの種と比較した結果,小型の種類は絶滅種のO. youngiに同定にできた.一方,大型の種類は標本が不十分で,Ochotona or Ochotonoides sp.とするにとどめた.
  • 北村 晃寿, 冨永 英治, 尾田 太良, 嶽本 あゆみ
    2008 年 47 巻 3 号 p. 173-181
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    静岡県静岡市有度丘陵東縁に分布する中部更新統根古屋層とその上位の久能山層から産出した浮遊性有孔虫化石群集に,Takemoto and Oda(1997)の開発した変換関数PFJ-125を適用した結果,酸素同位体ステージ6.5では夏季・冬季の表層水温がともに現在より2~3℃低かったことが判明した.
短報
  • 杉戸 信彦, 岡田 篤正, 石村 大輔, 西川 泰平
    2008 年 47 巻 3 号 p. 183-189
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    境峠-神谷断層帯は,長さや累積変位量などの点で中部日本を代表する活断層帯のひとつである.断層帯の南部にあたる長野県木祖村薮原下川原において,最近認定された活断層線を横切るトレンチ掘削調査を実施した.その結果,明瞭な断層が確認され,最近2回の活動が800~1,520 cal BP, および3,840~4,860 cal BPに発生した可能性が高いことがわかった.今回認定された最新活動に相当するイベントは,既存研究では指摘されていない.また,既存研究による最新活動時期(2,370~4,870 cal BP)は,本研究による1回前の活動時期と調和的である.以上は,本断層帯から発生する地震の長期評価に再検討を迫る知見であり,今後の検証が期待される.
特集 2005年度日本第四紀学会シンポジウム「大都市圏の地盤—私たちの生活とのかかわり」—(その2)
  • 卜部 厚志
    2008 年 47 巻 3 号 p. 191-201
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    越後平野は,日本海に面した信濃川と阿賀野川の下流に発達する海岸平野であり,複数の砂丘列が発達する.このうち,越後平野の阿賀野川沿いでボーリングを行い,堆積相と堆積システムの復元を行った.この結果,この地域は,デルタシステムを基礎として形成されていることが明らかとなった.
    越後平野の堆積システムは,新潟市西部の信濃川沿いではバリアー-ラグーンシステム,新潟市東部の阿賀野川下流ではデルタシステムが成立していたと考えられ,越後平野の沖積層は,2つの異なる堆積システムの前進により形成されたことが明らかとなった.
  • 林 武司, 安原 正也
    2008 年 47 巻 3 号 p. 203-216
    発行日: 2008/06/01
    公開日: 2009/05/14
    ジャーナル フリー
    首都圏を擁する関東平野は国内最大の地下水盆であり,都市域の発展・拡大に伴って,地下水が積極的に利用されてきた.しかし,その過程において地盤沈下などさまざまな問題が生じており,首都圏の持続的な発展を成し遂げる上で,現在の地下環境をよく理解することが不可欠となっている.筆者らは,高度に発達した都市域における地下水環境を適切に理解するための手法や技術を確立することを目的として,関東平野において地下水調査を実施してきた.本稿では,これまでの調査結果を踏まえ,関東平野における地下水利用の歴史とそれに伴う地下環境の変遷を,地下水位変動,地下水水質の変化および地下水流動の変化に着目して整理した.
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