第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642
40 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 松永 敬子, 太田 陽子
    2001 年 40 巻 5 号 p. 355-371
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    佐渡島の国中平野における沖積層の掘削調査から得たコア,および既存のコアの層相と珪藻分析,14C年代測定によって,完新世海成層の上限を認定した.真野湾側の国中平野南西部では,海成層上限高度はほぼ標高2.6m以下で,その年代は4,000~5,000yrs BPである.本地区では,それ以降に海が侵入したことはない.一方,両津湾側の北東部では,国中南断層上盤延長部での標高2~4mを除くと,同じ時代の堆積物はほぼ現海面下にあり,本地区の相対的沈降を示す.両津湾岸では,それ以降も海進と海退を繰り返したが,これはユースタティックな現象ではなく,砂州による閉塞や開口の結果現れた見かけ上のものと思われる.さらに,完新世海進高頂期以降の3時期における古地理の変化を,堆積物と考古遺跡に基づいて復元した.
  • 中村 有吾, 平川 一臣
    2001 年 40 巻 5 号 p. 373-384
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    十勝平野南部の広尾町新生において,屈斜路羽幌テフラ(Kc-Hb),新生テフラ(Sns:仮称,給源不明),厚真4テフラ(Aafa4)の層序を確認した.これらのテフラは最終間氷期(酸素同位体比ステージ5e)の高海水準からの海退につづいて堆積した扇状地砂礫層の最下部(現海水準高度付近の泥炭層中)に挾在する.大樹町付近では,Kc-HbおよびSnsは酸素同位体比サブステージ5e1の海成段丘面を覆う.したがって,Aafa4,SnsおよびKc-Hbの降下は,最終間氷期の最高海水準から,少なくとも海水準が25m低下した時期で,おそらく酸素同位体比ステージ5dと推定できる.
    酸素同位体比ステージ7に堆積した海成砂礫層中には漂着軽石である豊似テフラ(Tyn:新称)が,酸素同位体比ステージ9に堆積した厚い海成砂層最下部には水中堆積した軽石,晩成テフラ(Bns:新称)が挾まれる.これまで未記載のTynおよびBnsは給源火山や広域対比など明らかでないが,酸素同位体比ステージ7,9に関わる諸問題を検討する示標テフラとなる可能性がある.
  • 塚本 すみ子, 福澤 仁之, 小野 有五, 方 小敏
    2001 年 40 巻 5 号 p. 385-392
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    中国甘粛省蘭州のT2段丘上に堆積しているレス堆積物の年代測定を,赤外励起ルミネッセンス(IRSL)法および熱ルミネッセンス(TL)法を用いて行った.IRSL年代測定においては,ガンマ線照射後に,熱的に不安定なIRSL信号を除去するプレヒートを行うことが不可欠である.今回用いたレス試料に最適なプレヒート条件を設定するため,120℃および160℃でプレヒート実験を行った.この結果,120℃では24時間以上,160℃では1.5時間と6時間の間で照射した試料と未照射の試料の信号強度比が一定(プラトー)に達した.しかし,160℃でプレヒートした試料は,IRSL信号強度がガンマ線照射に対していったんは増加するものの,すぐに減少してしまい,年代測定に必要な等価線量の推定を行うことができなかった.そこで,すべての試料を120℃で96時間のプレヒートを行うことにした.
    得られたIRSLおよびTL年代は,厚さ22mのレス堆積物の上位12mでは,1試料を除いて誤差の範囲で一致していた.一方,下位の9mにおいては,IRSL年代がTL年代より若くなった.これは,試料の年代がIRSL年代測定の上限を超えてしまったためと考えられる.年代測定結果より,蘭州のT2段丘上のレスは約6万年前から堆積を開始したと考えられる.また,この間に数回の堆積速度の変化があったことが示唆された.最大の堆積速度を示したのは酸素同位体ステージ(MIS)3にあたる約3万年前であり,MIS2の時期の堆積速度は小さかったと考えられる.
  • 植木 岳雪
    2001 年 40 巻 5 号 p. 393-402
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    糸魚川-静岡構造線活断層系の北部セグメントの東に位置する長野県北部八坂村相川周辺において認められる大規模な尾根移動型地すべり地形を記載・火山灰編年し,中期更新世の断層活動との関連性について考察した.そこでは,大規模な尾根移動型地すべりの地すべり堆を構成する破砕された大峰溶結凝灰岩の凹部を,大峰溶結凝灰岩と大町Apmテフラ群(APm)のブロックが混在するローム層が埋め,その上位には立山Dテフラ(Tt-D)をはさむローム層が斜面を覆っている.このことから,APm降下以後でTt-D降下以前,すなわち約30~40万年前から12万年前の間に大規模な尾根移動型の地すべりが発生したと考えられる.このような大規模な地すべりの発生は,相川周辺の主稜線が当時比高の大きな山地になっていたことを示唆し,それは糸魚川-静岡構造線活断層系の運動によると考えられる.
  • 鴈澤 好博, 窪北 耕治
    2001 年 40 巻 5 号 p. 403-413
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    広域風成塵とテフラの識別を目的に石英の熱蛍光カラー画像(TLCI)を得,そのカラー画像解析(TLCI-CIA)を行った.標準風成塵試料と北海道北部,豊富町瑞穂地域の風成粘土に含まれる63μm以下の微細石英は青TLを示し,カラーチャートでは5PB(紺青色),10PB(藤色)とno-TL(暗色)の3タイプに区分された.TLCI-CIAから5PBは450~495nmの波長を持つ石英,10PBは450~495nmと570~600nmの波長を持つ石英の混合物であると見られる.また,瑞穂地域のテフラは赤TLで7.5R(紅柿色)を示し,TLCI-CIAでは600nmを中心とする波長を持つ.予察的な研究によれば,no-TLと5PB石英粒子は変成岩および深成岩等の岩石に由来する.以上の結果から,TLCIおよびTLCI-CIAにより,風成塵堆積物とテフラ堆積物の識別が可能であるばかりでなく,広域風成塵堆積物の母材(源岩)についての推定が可能となる.
  • 山野井 徹, 王 偉銘, 本田 康夫, 阿子島 功, 湯沢 洋一郎, 鈴木 雅宏, 檀原 徹, 長澤 一雄, 小野寺 忠男
    2001 年 40 巻 5 号 p. 415-421
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    山形県米沢市南部の堀立川遊水地の掘削により露頭が現れた.露頭は砂礫と泥質層・砂質層互層をそれぞれ主体とする部分がある.後者には多くの炭化材や植物破片が埋積されているほか,イラモミの球果が多産する.堆積物は14C年代が約18,000~15,000cal yrs BPであることから最終氷期後期のものである.露頭上位層準の火山灰は,浅間草津(As-K)と同定された.
    本地域の堆積物は,表土以外は当時米沢市の西側を流れた古最上川やその後背湿地で形成されたものである.この古最上川は15,000cal yrs BP頃から流れを米沢市の東方に変えた.こうした流路の転換は気候の変化に関連して起こった可能性が高い.この時以来,この地域では非常にわずかな風成層しか堆積していない.
  • 添田 雄二, 赤松 守雄
    2001 年 40 巻 5 号 p. 423-430
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北海道東部のサロマ湖周辺域において,摩周b火山灰(Ma-b:約970年噴火)と駒ヶ岳c2火山灰(Ko-c2:1694年噴火)の間の堆積物を採取し,珪藻遺骸分析による古環境復元を試みた.その結果,全般的に淡水生種が多産するが,海水~汽水生種の出現率の層位的変化から,10世紀末~11世紀と14世紀末~16世紀末の2回の塩分濃度上昇期の存在が明らかになった.10~17世紀におけるこの塩分濃度変動は,気候変化にともなう海進・海退のサイクルに対応している可能性が高い.
  • 鴈澤 好博, 窪北 耕治
    2001 年 40 巻 5 号 p. i-ii
    発行日: 2001/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top