第四紀研究
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45 巻 , 3 号
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特集「“ナウマンゾウのいた頃”―千葉県袖ケ浦市吉野田の化石発掘調査報告―」
  • 伊左治 鎭司, 兼子 尚知, 平山 廉, 〓〓 祐司, 樽 創, 鵜飼 宏明, 加藤 久佳, 百原 新
    2006 年 45 巻 3 号 p. i-ii
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
  • 兼子 尚知, 岡崎 浩子
    2006 年 45 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
  • 岡崎 浩子, 中里 裕臣, 池田 宏
    2006 年 45 巻 3 号 p. 157-167
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    常総台地に広く分布する更新統下総層群清川層は, 陸成~浅海成層からなり, 下部に指標テフラKy2, Ky3 (TB-7, 8) を挾み, MIS7.4~7.2の間の1回の海水準変動に対応した堆積シーケンスを形成している. 近年, 多数の陸生脊椎動物化石や淡水生貝化石, 植物化石などを含む“化石密集層”が袖ケ浦市吉野田の清川層の河川氾濫原相から発見され, その層相と化石群組成から洪水堆積物であることが明らかにされている. また, 調査地点周辺の清川層の河成層は, 河川システム (ポイントバー相+氾濫原相) が2段に重なる. このような特徴を下総層群の他の累層の河成層と比較すると, 亜氷期に河川によって侵食された谷が, 亜氷期から亜間氷期にかけて, 後背地からの十分な砂礫の供給によって埋積されるという形成過程が推測される. このような河川環境が, 清川層での頻繁な河道変化や洪水による氾濫をおこした可能性が高い.
  • 伊左治 鎭司, 鵜飼 宏明
    2006 年 45 巻 3 号 p. 169-178
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    千葉県袖ケ浦市吉野田に分布する下総層群清川層の氾濫原堆積物から, 淡水生貝類化石群が発見された. 化石群は, マメタニシParafossarulus manchouricus, ヒラマキミズマイマイ近似種Gyraulus cf. chinensis, モノアラガイ類Lymnaeidae gen. et sp. indet., イシガイUnio douglasiae, ドブガイ類Anodonta cf. woodiana, マシジミCorbicula leanaから構成される. 塊状シルト層から産出する二枚貝化石は通常合弁で, しばしば生息姿勢を示し, 原地性もしくは準原地性の化石群と認定されることから, 多様な貝類群集が繁殖できる安定した止水域 (湖沼) が, 河川の氾濫原に存在したと考えられる.
    また, 産出したイシガイ化石の殻表面には, 淡水の水質に一般的な酸性状態によって生じる溶蝕痕が認められない. このことは, 底質の間隙水のpHが, 貝類の生存期間中, 平均して中性よりも高かったことを示唆する. このような化学的条件は生体鉱物の保存に適しており, 氾濫原堆積物における動物化石包含層の形成要因の一つと見ることができる.
  • 平山 廉, 兼子 尚知, 岡崎 浩子
    2006 年 45 巻 3 号 p. 179-187
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    千葉県袖ケ浦市吉野田の下総層群清川層からイシガメ科に属する2種類の淡水生カメ類, ハナガメ属の化石種Ocadia sp.と小型のヤベイシガメMauremys yabei が確認された. ハナガメ属はほぼ完全な骨格が発見され, またヤベイシガメは2個の保存良好な甲羅が知られている. いずれも日本固有の化石種と考えられ, 第四紀におけるイシガメ類の多様性の大きさを示唆している. 特にハナガメ属の発見は, 当時の古気候の推定に関して再考察をうながすものとして注目される.
  • 樽 創, 兼子 尚知
    2006 年 45 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    千葉県袖ケ浦市吉野田に分布する下総層群清川層から, 長鼻類の右下顎臼歯および左大腿骨遠位部の化石が産出した. 臼歯は板状歯であり, 咬板幅, 咬板数, エナメル環の形態的特徴などからナウマンゾウPalaeoloxodon naumanni の右下顎第3大臼歯であることが明らかになった.
    同地点からはニホンジカCervus (Sika) nippon, イヌ科Canidae, ヤベイシガメMauremys yabei , ハナガメ属の一種Ocadia sp. などの脊椎動物化石が共産した. これらと堆積環境, 植物化石から推定される古環境を考慮すると, 本地域は森林を控えた草原域や疎林域と考えられる. また, 植物化石と動物化石などの考察から, 当時の気候は現在より寒暖の格差が大きかったと推定されており, ナウマンゾウの生息環境を考える上で貴重な発見といえる.
  • 〓〓 祐司
    2006 年 45 巻 3 号 p. 197-206
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    1999年から2004年にかけて, 千葉県袖ケ浦市吉野田で行った下総層群清川層 (MIS7.4~7.2) の発掘により, 多数の脊椎動物化石が産出した. それらのシカ類化石産出層準のうち, 最も下位のチャネル内の砂礫層からはニホンジカCervus (Sika) nipponの左角が産出し, 上位の氾濫原相の砂~砂質泥層からは, ニホンジカ亜属の一種Cervus (Sika) sp. の中手骨と中足骨, ならびに最少で2個体に由来するシカ属の一種Cervus sp. のさまざまな部位の骨化石が産出した. これらのうち角化石は, 同種の化石として産出年代が正確で分類も信頼できる国内5例目の記録で, 静岡県浜松市産出の佐浜標本とならび国内最古級である. そして, これまで古生物学的に考えられてきたニホンジカの進化シナリオと一致しない. また, ニホンジカの存在は当時この地域が温帯で, 近傍に森林が存在したことを示唆する. ニホンジカは日本最大の草食獣であるが, その化石記録は少なく, その起源と進化に関する古生物学的研究は少ない. ニホンジカ亜属を含む吉野田産シカ類化石は, そうした問題や日本の偶蹄類相の変遷史を議論していく上で重要である.
  • 樽 創, 〓〓 祐司, 兼子 尚知
    2006 年 45 巻 3 号 p. 207-210
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
  • 百原 新, 斎木 健一, 奥田 昌明
    2006 年 45 巻 3 号 p. 211-216
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    千葉県袖ケ浦市吉野田の更新統下総層群清川層 (MIS7.3) から, ナウマンゾウやシカ, カメ類化石とともに11分類群の大型植物化石が取り上げられた. 大型植物化石群は, サルスベリ属, ハリモミ近似種, ブナ, フジを含み, いずれも印象化石だった. このうち, サルスベリ属はヤクシマサルスベリ近似の化石種に同定された. 吉野田の当時の気候は, シマサルスベリの北限の温量指数102℃月前後の気温条件と推定された.
  • 奥田 昌明, 百原 新, 平山 廉, 岡崎 浩子, 兼子 尚知
    2006 年 45 巻 3 号 p. 217-234
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    千葉県吉野田の下総層群清川層は, 約20万年前の古動植物群を産する化石密集層で知られるが, この動物群の一部が現在の中国揚子江河口域以南の亜熱帯種に類似するのに対し, 植物群は関東地方北部の冷温帯を示唆するなど, 互いに共存しえないほどの古気温推定上のずれを与える問題が生じていた. この問題点を説明するために, 本稿では清川層の花粉群組成を調べるとともに, 同時代の記録として過去43万年間の琵琶湖花粉層序を参照した. また, 房総半島と揚子江河口域の現在の気温状態を比較した. さらに, 地球軌道要素の変動に基づく日射量変動の電算結果を検討した. 結果として, MIS7に対し気温年較差の増大を仮定し, 吉野田動物群の一部が夏の気温に, 植物群がおもに冬の気温に規制されていたとするならば, 両者のずれが整合的に説明されうることを述べた. 年間総熱量の反映としての年平均気温は, 年較差増大を仮定するならば, 現在よりやや低温が要求される.
原著論文
  • 藤原 治, 平川 一臣, 入月 俊明, 鎌滝 孝信, 内田 淳一, 阿部 恒平, 長谷川 四郎, 高田 圭太, 原口 強
    2006 年 45 巻 3 号 p. 235-247
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    館山低地に分布する元禄段丘上で, ジオスライサーによって掘削したコアの堆積相解析と14C年代測定値を総合して, 元禄 (1703年)・大正 (1923年) の2回の地震隆起による浜堤平野システムの発達プロセスを復元した. コアの堆積相は下位から順に, 上部外浜砂層, ラグーン砂層, 堤間低地泥層の順に累積する. 上部外浜からラグーンへ, ラグーンから堤間低地への突発的な堆積環境の変化は, 歴史記録との対応から, それぞれ元禄と大正の関東地震に帰せられる.
    この堆積相の累積様式は, 地震隆起の規模にコントロールされており, また海岸地形の配列様式と関連がある. 元禄地震による大きな隆起 (2.5m前後) の際には, 外浜まで含めた広い海底が離水し, 浜堤・ラグーン・海浜・外浜からなる浜堤平野システム全体が海岸に付加した. 一方, 大正地震による相対的に小規模な隆起 (1.5m前後) は, 内陸ではラグーンの排水を促したが, 海浜の一部だけを付加させるに止まったため, 海浜の前進幅は小さかった.
短報
  • 高田 裕行, 板木 拓也, 池原 研, 山田 和芳, 高安 克己
    2006 年 45 巻 3 号 p. 249-256
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    日本海南部沿岸域における完新世初~中期の暖水系生物相と対馬海流の挙動との関係を理解するために, 出雲平野北西部と鳥取沖でそれぞれ採取された柱状試料HS02とGH87-2-308について, 浮遊性有孔虫化石を検討した. GH87-2-308における暖水系種Globigerinoides ruber の産出傾向は, 約8,300~8,000年前と約7,300~6,800年前の2つの時期に, 対馬海流の影響が強かったことを示す. 本種はHS02でも, 暖水系底生生物相が産出する約7,800年前の層準で見出される. 日本海のより沖合 (たとえば隠岐堆) の研究事例では, 暖水系微化石の産出は約7,300年前に普遍的なものの, 同様な普遍的産出は約8,300~7,800年前では不明瞭である. よって, 約8,300~7,800年前の対馬海流の影響は, 沿岸域で顕著に現れ, それが当時の山陰地方沿岸域における暖水系生物相の産出傾向を左右したと考えられる.
資料
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