第四紀研究
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35 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 山本 博文, 中川 登美雄, 新井 房夫
    1996 年 35 巻 2 号 p. 75-85
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    越前海岸に分布する海成中位段丘群について,空中写真判読,野外調査および堆積物中に含まれるテフラを基に段丘を区分し,その形成年代を求め,隆起速度を推定した.越前海岸に分布する中位段丘群は,高位よりM1段丘,M2段丘,M3段丘に区分できる.また,段丘堆積物中およびこれを覆う表土からテフラを抽出したところ,M1段丘堆積物を覆う表土から大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラを,M2段丘堆積物中から三瓶木次テフラを,M2段丘堆積物を覆う古土壌から鬼界葛原テフラ,阿蘇4テフラを,表土から大山倉吉テフラ,姶良Tnテフラ,鬼界アカホヤテフラを見出した.これらのテフラの産状および地形的特徴から,M1段丘は南関東の下末吉面に,M2段丘は小原台面に,M3段丘は三崎面に対比できる.各段丘の旧汀線高度,形成年代および古海面高度から平均隆起速度を求めたところ,最大で1.2m/1,000yrs,中・南部地域では0.6~0.9m/1,000yrs,北部地域では0.2~0.5m/1,000yrsという値が得られた.また各段丘から得られた平均隆起速度は,同一地域ではほぼ同じ値となっており,後期更新世以降,隆起速度はほぼ一定であった.この越前海岸の最大1m/1,000yrsを超える隆起速度は,甲楽城断層の東側ブロックの隆起運動と関連するものと思われる.
  • 吉永 秀一郎
    1996 年 35 巻 2 号 p. 87-98
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北関東喜連川丘陵の早乙女において,関東ローム層中に含まれる微細石英の堆積速度の最近約10万年間の変動を検討した.微細石英のほとんどは,広域風成塵として冬季の北西モンスーンによって中国大陸より運搬され,日本列島に堆積する.したがって,その堆積速度の変動は冬季の北西モンスーンの強度の変動を示唆する.早乙女における微細石英の堆積速度は,SPECMAPによる酸素同位体比変化から,寒冷とされるstage 2,stage 4,stage 5bに対比される時期に高い値を,温暖とされるstage 1,stage 3,stage 5aに対比される時期に低い値を示した.このことは,寒冷なstageには北西モンスーン強度が増大し,温暖なstageには減少したことを示す.この結果は,中国大陸黄土高原における黄土-古土壌シークエンスの諸性質の分析かち明らかにされている北西モンスーンの強度の変動の結果と一致する.
  • 佐藤 裕司, 谷村 好洋, 横山 祐典
    1996 年 35 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    珪酸質に富んだ殻をもつ珪藻Melosira sp.1は,完新世海面変化を記録する地層中にしばしば出現する.この種類は,半球形の蓋殻または亜球形の被殻として,堆積物中に出現する.その出現状況について調査したところ,日本の海岸低地のいくつかの地点において,それは完新世海進によって形成された海成層の最上部付近で出現のピークを示し,上位の淡水成層では出現しなくなった.独特の形態と溶解しにくい厚い殻を有すること,ごく普通に出現して海成層の上限付近で出現のピークを示すこと,そして小杉(1986,1988)によって報告された現生における分布などから判断して,この種類は完新世のマリーンリミットの認定にきわめて有効な指標と考えられる.その出現ピークが,かつての海面高度を指示すると考えられることから,この珪藻は日本における完新世の相対的海面変化の復元に役立つものと思われる.
  • 遠藤 邦彦, 福沢 仁之
    1996 年 35 巻 2 号 p. 111-112
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    Lake sediments represent high-resolution records of important informatin on the local, regional and global environmental changes. Studies of lake sediments are important for improving many models of global changes and for making realistic predictions on the future environmental system.
  • 三瓶 良和, 松本 英二, 徳岡 隆夫, 井上 大栄
    1996 年 35 巻 2 号 p. 113-124
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    日本の代表的汽水域である中海において,過去約8,000年間の有機炭素埋積速度を復元し,carbon sinkとしての汽水域堆積物の役割について検討した.数百年の解像度で変化をとらえるため,20mの泥質堆積物柱状試料から約1m間隔で貝試料を採取し,ベンゼン-液体シンチレーション法とタンデトロン加速器質量分析法で15試料の14C年代を測定して堆積速度変化を求め,有機炭素埋積速度を算出した.
    有機炭素埋積速度は,7,000~7,500cal yrs BP (calendar age)の温暖な時期に20~25gm-2yr-1と大きく,2,500~3,000cal yrs BPの寒冷な時期に11gm-2yr-1と小さかった.このことは,中海汽水域堆積物が温暖化に対して負のフィードバックとして働いたことを示唆する.温暖期には陸源有機物が多くもたらされ,同時に供給された栄養塩は基礎生産も増加させたものと考えられる.中海泥質堆積物を世界の平均的な汽水域泥質堆積物と仮定して,得られた有機炭素埋積速度に世界の主要な汽水域の面積(320,000km2)を掛けると,全汽水域のglobal carbon sinkとしての潜在能力は0.01GtC yr-1程度と見積られる.汽水域堆積物は完新世の間,carbon sinkとして無視できない働きをしてきたものと考えられる.
  • 兵頭 政幸, 峯本 須美代
    1996 年 35 巻 2 号 p. 125-133
    発行日: 1996/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    日本の湖底堆積物の古地磁気から得られている地磁気の永年変化とエクスカーションの情報をまとめ,新たな磁気層序年代測定の可能性を追及した.過去11.6kaについては,偏角・伏角の永年変化記録に見られる特徴的変動を使い,数百年の間隔で年代測定ができる.過去60kaについては,琵琶湖200mコアの上位60mの詳細な伏角記録が年代測定に使える可能性がある.琵琶湖200mコアの火山灰層の再検討により,以前見つけられていた地磁気エクスカーションの年代は大きく変わった.約120kaのBlake eventに対比されていた深さ54mのエクスカーションは約56kaの年代となり,今までに報告されていない新しいエクスカーションであることがわかった.かわってBiwa Iと命名されていた深さ83mのエクスカーションが116kaの年代になり,Blake eventに相当することがわかった.Biwa IIと命名されていた131mのエクスカーションは188kaの年代に変わっている.琵琶湖200mコアにはこれら以外に25.8m,33.8m,35.2mの3ヵ所に負の伏角ゾーンがある.これらに相当する低伏角がほかの場所でも確認されていることから,地磁気エクスカーションである可能性が高い.火山灰層序から,年代はそれぞれ24ka,33ka,34kaと推定できる.琵琶湖の200mコアに記録されたこれら6個のエクスカーションは,日本付近の過去300ka間の磁気層序年代測定に役立つことが期待できる.
  • 1996 年 35 巻 2 号 p. 138
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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