第四紀研究
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39 巻 , 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 川村 教一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 489-504
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    高松平野は四国北東部に位置し,瀬戸内海に面した主要な平野の一つである.この平野の沖積層は,第四紀の瀬戸内海を論じる上で重要である.本報では,高松平野の沖積層の岩相,火山灰,貝化石,14C年代について詳しく述べる.さらに,これらのデータに基づいて,高松平野の沖積層の堆積環境および完新世の海面変化について論じる.
    高松平野の沖積層は,香東川累層と高松累層に区分される.香東川累層は,最終氷期以前に堆積した番町礫層と,最終氷期に堆積した福岡町泥層に細分される.高松累層は,海成層の浜ノ町砂礫層,西内町泥層,西内町砂層および,おもに洪水堆積物の西内町礫層に細分される.
    相対的海水準変動を,14C年代と貝化石群集を解析して求めた古水深をもとに推定した.この相対的海水準変動曲線によると,約5,800yrs BPの海面の高さは,高松では現在よりも高かった可能性がある.
    香東川の三角州は浜ノ町砂礫層の上に形成されはじめ,高松市西内町~浜ノ町において,三角州の底置層が約4,000yrs BP前後に形成された.前置層は4,000~3,600yrs BPの間に堆積し,頂置層は3,600yrs BP以降にこれらを覆った.
  • 吉川 周作, 水野 清秀, 加藤 茂弘, 里口 保文, 宮川 ちひろ, 衣笠 善博, 三田村 宗樹, 中川 康一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 505-520
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    神戸市東灘区魚崎浜で掘削された東灘1,700mボーリングコアの火山灰層序を明らかにした.本コアは,基盤の花崗閃緑岩(深度1,545.7m以深)と,それを不整合に覆うK1-L層・K1-U層から構成される.淡水成のシルト・砂・砂礫主体のK1-L層(深度1,545.7~691.8m)は,朝代火山灰層に対比できるK1-1382火山灰層を挾み,大阪平野地下の都島累層と陸上部の大阪層群最下部・下部下半部に相当する.海成粘土層と淡水成の砂礫・砂・シルトの互層からなるK1-U層(深度691.8~23.3m)は,31層の火山灰層を挾み,大阪平野地下の田中累層と大阪層群下部上半部~段丘堆積層に相当する.本層中のK1-648,K1-566,K1-537,K1-488とK1-486,K1-444,K1-422,K1-351,K1-348ないしK1-347.4,K1-245,K1-223,K1-175,K1-141,Kl-101,K1-26火山灰層は,イエローIIないしIII,ピンク,光明池III,山田III,アズキ,狭山,今熊II,八町池I,八町池II,カスリ,港島I,鳴尾浜IV,八田,甲子園浜III~VI,平安神宮の各火山灰層に対比された.この火山灰対比により,19層の海成粘土層を,それぞれMa-1,Ma0,Ma0.5,Ma1,Ma1.3,Ma1.5,Ma2,Ma3,Ma4,Ma5,Ma6,Ma7,Ma8,Ma9,Ma10,Ma11(1),Ma11(2),Ma11(3),Ma12層に対比した.
  • チョイ タッドジェイムズ, 高浜 信行, 卜部 厚志
    2000 年 39 巻 6 号 p. 521-533
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    新潟盆地東縁部の下田(五十嵐川)・栃尾(刈谷田川)地域に分布する5万年より若い侵食段丘を調査し,段丘の編年およびテクトニックな運動を明らかにした.これらの地域のロームおよび黒土から,6つのテフラ層準(ST 1~ST 6)をみいだした.このうちST 4は広域テフラAs-K(13ka)に,ST 5とST 6はそれぞれAT(25ka)とDkp(50ka)に対比できる.各地域の段丘は,地形的特徴と火山灰層序に基づき,下田地域では年代順にSh-D,Sh-C,Sh-B,Sh-A3,Sh-A2,Sh-A1に,栃尾地域ではTo-D,To-C,To-B,To-A4,To-A3,To-A2,To-A1に区分できる.
    これらのうち,最終氷期以降の侵食段丘は,各地域を含む間欠的な隆起運動によって形成された.同年代に対比された段丘の現河床からの比高の差異は,有意な変位を示し,NNE-SSWおよびNW-SE方向の活断層の運動を示唆している.この比高の差異は,活褶曲による変動や単純な一方向への傾動運動によるものではないと考えられる.これらの特徴から,下田・栃尾地域の5万年以降の隆起運動は一様ではなく,NNE-SSWおよびNW-SE方向に発達した活断層に伴うと推定され,複数のセグメントに区分できることを示している.
  • 中沢 祐一
    2000 年 39 巻 6 号 p. 535-546
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    遺跡より出土した黒曜石石器の被熱痕跡を明らかにする目的をもって,後期旧石器時代の北海道千歳市メボシ川2遺跡から出土した黒曜石石器を実体顕微鏡を用いて観察した.表面に認められる特徴的なヒビとそれを切って形成されている折れ面に着目し,分類・記述を行った.その結果,表面にはしる曲線のヒビ(1a),表面下にはしる魚のウロコ状のヒビ(1b),格子状の微細なクラック(1c),発泡(2),平坦な折れ面(3a),凹凸のある折れ面(3b)の6形態が識別された.それらが黒曜石石器にどのように組み合わさっているかを量的に把握し,生成時における形態相互の関連性を推測した.識別した形態が被熱痕跡であるかどうかを生成過程から明らかにするため,温度と被熱時間を変数とした室内実験を行った.実験の結果,格子状のクラック(1c)と平坦な折れ面(3a)については実験試料と整合し,温度と被熱時間による実験条件の範囲内で生成されることがわかった.認定された被熱痕跡(1c)に基づき,石器群における被熱率の解釈について,石器群の形成過程と火の利用の観点から,石器の製作・使用・廃棄の脈絡における説明を提示した.
  • 南 雅代, 中村 俊夫
    2000 年 39 巻 6 号 p. 547-557
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    化石骨から骨の本質成分であるアミノ酸を抽出し,XAD-2樹脂という吸着ポリマーに通して,周囲の堆積物由来の有機不純物を除去する方法を試み,従来行ってきたゼラチンコラーゲン抽出法との比較を行った.試料とした化石骨は,滋賀県粟津湖底遺跡の第3貝塚から採取された獣骨片である.
    XAD-2樹脂処理して得られた化石骨中のアミノ酸集合体抽出成分は,ゼラチンコラーゲン抽出成分に比べて14C年代値は古く,同層から採取された木片の示す年代に近づく傾向を示した.特に,ゼラチンコラーゲンの収率が低い骨試料では,XAD-2樹脂処理されたアミノ酸集合体成分とゼラチンコラーゲン成分の14C年代値の間に約400年の差が見られ,後者の年代は実際よりも若返っていることが示唆された.このことから,保存が良好ではなく,コラーゲン収率が悪い化石骨に対して,今回試みたXAD-2吸着樹脂を用いる方法は,信頼度の高い14C年代値を得るために有効であることがわかった.
  • 豊田 博司, 奥村 清
    2000 年 39 巻 6 号 p. 559-568
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    神奈川県の東南部,三浦半島の南部に分布する中部更新統の海成層は宮田累層と呼ばれ,軟体動物化石を多産する.これらの軟体動物化石について再検討を行い,従来報告されていなかった種Stenotis cariniferus, Ennucula tenuis, Amaea ojiensis, Syrnola cinnamoneaなどが新たに確認された.さらに,ESR (Electron Spin Resonance)年代測定を行った結果,津久井浜部層産のGlycymeris yessoensisについては513±60ka,鹿穴部層産のFelaniella ustaについては325±40kaの年代を得た.これらの宮田累層の年代および貝化石群集の特徴から,フィッショントラック年代および貝化石群集の特徴が明らかになっている地層と比較すると,宮田累層は房総半島下総層群中の地蔵堂層から薮層に対比できる.
  • 池原 研
    2000 年 39 巻 6 号 p. 569-574
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北海道礼文島西方の利尻トラフから採取された海底堆積物コアには,2枚のタービダイトが認められ,地震起源と推定される.このコアの12層準における浮遊性有孔虫を用いた放射性炭素年代測定結果に基づくタービダイトの堆積年代は,放射性炭素年代で約2,300年前と5,500年前と推定できる.したがって,この付近における大地震の発生間隔は約3,200年と推定された.この間隔は,1993年北海道南西沖地震震源域周辺の奥尻海嶺の約1,000年や,サハリンの活断層の活動間隔である約2,000年強よりも長い.
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