第四紀研究
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31 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 大井 信夫
    1992 年 31 巻 4 号 p. 203-212
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    奈良盆地に分布する更新統山の辺累層をその層相の変化から上部・中部・下部の3部層に区分し, 山の辺層および奈良東部に分布する同時期の並松層中の花粉化石を合計6ヵ所で検討し, 奈良盆地の最終氷期後半, 20,000年前前後の植生変遷を議論した. 30,000年前以前の下部砂層の時代には, 盆地内は草本を主とし, 周辺には温帯気候を示唆する落葉広葉樹とスギの混交林が存在した. 24,000年前頃の姶良Tn火山灰を挾む中部泥炭層の時代でも盆地内は草本を主としたが, 周辺の植生は冷温帯気候を示唆するマツ属単維管束亜属にツガ属・コナラ属コナラ亜属・カバノキ属が存在した. 姶良Tn火山灰降灰は各地点で花粉組成に変化をもたらしたが, 各地点に共通の特徴的な変化はなかった. 各地点の植生変化は局地的な環境に依存している. 上部シルト層の時代では, 約10,000年前の阪手火山灰降灰後に, ツガ属が多い花粉組成がみられた.
  • 岡 秀一, 大賀 宣彦, 菅野 洋光
    1992 年 31 巻 4 号 p. 213-220
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    富士山北西斜面七太郎尾根には, カラマツ低木林が島状の群落を形成している地域が広い. このカラマツ低木群落の成立要因解明のため, 樹木限界である2,710mから2,360mにかけて, 樹高・胸高直径・根元直径・樹齢・埋土種子量・土壌条件・斜面プロセスなどに関する調査を行った. その結果, 樹高の減少傾向や伸長成長卓越から, 肥大成長卓越への変化傾向が高度に従って認められる一方, 最高樹齢や埋土種子量, 実生数の高度分布にはほとんど系統性は認められなかった. これらの事実から判断し, 七太郎尾根における低木群落成立の第一義的な要因は, 高度に関わる条件にではなく, スコリアによって構成されている斜面の土壌的な不安定さにあると考えられた. また, 埋没A層やカラマツ低木林へ混入したシラビソなどの存在は, かつて七太郎尾根に現在より発達した群落が形成されていたことを示唆しており, これらはその後生じた斜面堆積物に埋没し, 現在のような低木林を形成するようになったと判断した.
  • 松原 彰子
    1992 年 31 巻 4 号 p. 221-227
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    静岡県浮島ヶ原は駿河湾奥部に面し, 3列の海岸砂礫州が海側へ発達することに伴って, その背後に形成された低湿地である. 内陸側の2列の砂礫州は, 本地域の沈降運動のために, 低地の地下に埋没している. 最も内陸側の埋没砂礫州は, 一部微高地として認定することができ, 雌鹿塚遺跡はその上に立地している.
    雌鹿塚は, 縄文時代中期から古墳時代中期まで営まれた遺跡である. 今回, 沼津市教育委員会によって, 雌鹿塚遺跡の本格的な発掘調査が行われた. その際, 埋没砂礫州の微地形, ならびに周辺の地質層序, 年代測定値, テフラ等の資料を得ることができた. さらに, 雌鹿塚遺跡周辺における自然環境の変遷と人間活動との関係について考察した結果, 浮島ヶ原への人間の進出が砂礫州の発達過程と対応すること, 火山活動や地殻変動が雌鹿塚を放棄させる原因となった可能性が大きいことが推定された.
  • 森脇 広, 岩田 修二
    1992 年 31 巻 4 号 p. 229-241
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    最終氷期のアイスランドは, その主要部を一続きの氷床に覆われていたが, 周辺部の山岳地帯は周辺部が薄いアイスドームからなっていた. 晩氷期末の最高位旧汀線の高度分布はこの氷河分布に対応し, 島の主要部は一続きの広い曲隆域となり, 北西地域に小曲隆部がある. 晩氷期以後, 古ドリアス期と新ドリアス期の再拡大期 (ほぼ同規模) があった. その後氷河は大きく縮小したが, ネオグレシエーション以後拡大し, 現在のようになった. 氷河融解にともなう隆起は完新世初期には終了した. 後期更新世末から完新世初期にかけての隆起量は最大150mに及ぶ. 現在の海岸地域は完新世中期以降は全体としては沈降している.
  • クズミン Y.V.
    1992 年 31 巻 4 号 p. 243-254
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    本稿は, ロシア共和国, 沿海州の後期および末期旧石器文化遺跡のうち次に示す8遺跡について, 筆者を含むロシアの研究者の最近の古環境解析に関する調査・研究結果を概説したものである. 8遺跡とは, 後期更新世の35,000~25,000年前の地理学協会洞窟・オシノフカ遺跡, サルタン氷期の25,000~10,000年前のウスティノフカI遺跡・スボロボIIIおよびIV遺跡, 後氷期の12,000~8,000年前のゴルバトゥカIII遺跡・イリスタヤI遺跡・チモフィーフカI遺跡である.
    これらの遺跡についての地形学的検討, 砂粒分析による堆積学的検討, 花粉・胞子分析, 14C年代測定などの結果の概要は次のとおりである.
    地理学協会洞窟: 出土した豊富な哺乳動物化石と文化層下部の花粉分析結果から, この遺跡の形成年代はサルタン氷期の温暖期と推測される. 馬とマンモスの骨による14C年代測定結果は32,570±1,510年BPである.
    オシノフカ遺跡: 出土遺物と花粉分析結果から, この遺跡の形成年代はサルタン氷期の温暖期と推測される.
    ウスティノフカI遺跡: 第3段丘に位置するこの遺跡の砂層を挾むローム層は斜面堆積物であり, 花粉分析の結果はツンドラ植生を示し, 現在より寒冷な気候を示す.
    スボロボIV遺跡: 比高18~20mの斜面上にあるこの遺跡の花粉分析の結果はヤナギやカシを含むカンバ-ハシバミ林を示し, やや温暖な気候を示す. 14C年代測定結果は15,300±140年BPである.
    スボロボIII遺跡: 比高12~14mの段丘にあるこの遺跡の花粉分析の結果はツンドラ植生を示し, 現在より寒冷な気候を示す.
    ゴルバトゥカIII遺跡: 比高15~20mの段丘上にあるこの遺跡からは末期旧石器文化の遺物と土器を含む新石器文化遺物, 青銅器や鉄器まで混在する複合遺跡であり, 文化層の下位には周氷河現象によるソリフラクションなどが見られる. 文化層下位のレンズ状の泥炭質堆積物の花粉分析の結果はカンバ-ハシバミ林を示し, 現在よりやや温暖な気候を示す. 14C年代測定結果は13,500±200年BPである.
    イリスタヤI遺跡: 氾濫原堆積物中にあるこの遺跡の花粉分析結果はカンバ-ハシバミ林を示し, 現在よりやや温暖な気候を示す. 14C年代測定結果は7,840±60年BPである.
    チモフィーフカI遺跡: 比高15~17m段丘上にあるこの遺跡は氾濫原堆積物中にあり, 末期旧石器文化の遺物を含み, 花粉分析結果はカンバ-ハシバミ林を示す.
  • 阿部 祥人
    1992 年 31 巻 4 号 p. 255-257
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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