第四紀研究
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43 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 鳴橋 龍太郎, 須貝 俊彦, 藤原 治, 粟田 泰夫
    2004 年 43 巻 5 号 p. 317-330
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    プレート内部の活断層における活動間隔の規則性を検討する目的で,桑名断層の完新世活動史を群列ボーリングコアの層相解析およびコア中の82個の14C年代測定結果を基に復元した.断層を挾んだコア間において,対比線(等時間線)を多数認定し,対比線に挾まれた同時代地層の層厚を比較することによって,約7千年前以降に少なくとも6回の断層変位イベントが解読された.さらに,高精度でイベントの回数と時期を検出するため,沈降(下盤)側と隆起(上盤)側それぞれの堆積速度の時間変化を詳しく比較・検討した.その結果,下盤側の堆積速度が上盤側のそれとほぼ等しい時期(A)と,前者が後者より有意に大きい時期(B)とが交互に現れることが判明した.(A)から(B)への変化は断層変位の発生時期を,(B)は断層崖が埋積されていく期間を示すと判断される.この解釈に基づくと,桑名断層には過去約7千年間に,有史以降の2回を含めて6ないし7回の活動を認定しうる.そして,桑名断層の活動間隔は平均約1,000年,平均変位速度は約1mm/yであるといえる.
  • 稲田 孝司, 河村 善也
    2004 年 43 巻 5 号 p. 331-344
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    中期更新世の多様な脊椎動物化石を豊富に産出する足見NT洞窟の堆積物の発掘調査が1992年から1996年にかけて5回にわたって行われた.発掘調査の結果,堆積物は北東-南西方向にのびる裂罅状の洞窟を埋めており,上位から第1層~第3層に区分されることがわかった.そのうち,攪乱を受けていない本来の化石の包含層は第3層で,この層は石灰岩角礫を含む褐色泥からなり,厚さは5m以上におよぶ.産出化石のかなりの部分を占める哺乳類化石の予察的な研究の結果,この洞窟の哺乳類化石群集には絶滅種や現在の日本に分布しない種をかなり含んでいることが判明した.一方,現生種も多いこと,森林棲の種類が多いこと,現在の本州の高山に点々と分布する種が高い頻度で含まれること,食虫目にハリネズミ属が見られること,齧歯目のハタネズミ科が絶滅種のみで構成されていることなどの特徴が見られた.このような特徴から,本化石群集は中期更新世中期のものであり,それを含む堆積物が堆積した当時は現在よりかなり寒冷で,洞窟の周辺はおもに森林におおわれていたと考えられる.
  • 長橋 良隆, 吉川 周作, 宮川 ちひろ, 内山 高, 里口 保文
    2004 年 43 巻 5 号 p. 345-352
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    火山ガラスの屈折率は,その主要成分化学組成に依存している.そのことを火山ガラスの主要成分含有量と屈折率(n)から,各成分ごとに屈折度(n-1)を算出することにより例示した.また,近畿地方および八ヶ岳山麓に産するテフラ(102試料)のEDS分析結果を用いて,主成分元素の酸化物含有量と屈折率との関係について検討した.SiO2はその含有量が多いことから,屈折率に寄与する割合が大きい.またSiO2量が増加すると,屈折率は低下する.SiO2と負の相関にある成分(TiO2・Al2O3・FeO*・MgO・CaO)は,含有量が増加するにつれて屈折率が高くなる.SiO2と相関のないNa2Oは,含有量と屈折率に相関がない.K2Oは,SiO2-K2O図でK2Oレベルの異なる複数のトレンドがあるが,含有量と屈折率には一続きの相関はない.火山ガラスの屈折率はテフラ同定・対比の際の重要な指標であるが,屈折率が近似する火山ガラスでも,主要成分化学組成は異なる場合がある.
  • 宮縁 育夫, 増田 直朗, 渡辺 一徳
    2004 年 43 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    阿蘇カルデラ西部に分布する立野溶岩の直下に,軽石層が存在することが認められ,その軽石層は阿蘇中央火口丘第4軽石(ACP4)に対比された.また,ACP4直下から未炭化の樹木根を採取し,加速器質量分析法による14C年代測定を行った.得られた年代は>43,200 14C yrs BP(>約46cal kaに相当)であり,立野溶岩の上位に存在する高野尾羽根溶岩のK-Ar年代(51±5ka)とも矛盾しない.阿蘇火山中央火口丘群の西部地域では,50ka前後に数100年程度の時間をおいて,立野溶岩と高野尾羽根溶岩というデイサイト~流紋岩質溶岩の流出が2回あり,それらの直前にはプリニー式噴火が発生し,多量の降下軽石が放出されていることが明らかになった.
  • 岡崎 浩子, 兼子 尚知, 平山 廉, 伊左治 鎭司, 加藤 久佳, 樽 創, 高桑 祐司, 百原 新, 鵜飼 宏明
    2004 年 43 巻 5 号 p. 359-366
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    調査地点は千葉県袖ヶ浦市吉野田で,中部更新統下総層群清川層の露頭である.最近,調査地点において,シカ,カメ,ナウマンゾウなど多数の陸生脊椎動物化石や淡水生貝類化石および植物化石などが発見された.これらの化石を含む地層は河川の氾濫原堆積相(厚さ約1m)で,大きく分けて下位よりA,B,Cの3つの堆積ユニットが認められる.ユニットAは植物片を多く含む塊状粗粒シルト層からなる.ユニットBは淘汰の悪い泥質砂層からなり,木片や陸生脊椎動物の骨片・歯が密集する.この泥質砂層には砂層がレンズ状に複数挾まれ,平行層理や級化層理,粗粒デューンなどが認められる.ユニットCの下部は塊状シルト層で,上部はシルト層と極細粒~細粒砂層との砂泥互層からなる.このユニット中には,原地性を示すカメ化石や淡水生貝類化石などがみられる.これらの堆積相と化石群から,ユニットA~Bは河川の増水時に氾濫原に侵入してきた洪水堆積物で,自然堤防や堤防決壊堆積(クレバススプレイ)などを形成していたと考えられる.ユニットCは,その後,氾濫原に形成された湖沼の泥底とそこに氾濫時に流入した砂層の堆積物より構成される.
  • 柳 由貴子, 藤嶽 暢英, 渡邊 眞紀子
    2004 年 43 巻 5 号 p. 367-373
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    累積土壌断面内にみられる腐植の安定性を支配する要因を探るために,8,000年前から30,000年前の埋没腐植酸5点について担子菌Coriolus consorsを用いた培養試験を行い,腐植酸褪色率を算出した.3週間培養後の腐植酸培地すべてにおいて対照区に比べて褪色が認められ,8~10%の腐植酸褪色率が示された.これは,従来報告されていた表層土壌中の腐植酸の褪色率に比べると,総じて低い値であった.また,元素分析の結果から,試料として用いた5点の埋没腐植酸は,一様に脱水素反応の進行した類似の化学特性を示すことが明らかとなった.これらのことから,埋没腐植酸の化学特性が微生物作用に対して強い抵抗性を持ち,それが腐植物質の安定性をもたらす一因となり得ることが示唆された.
  • 内園 立男, 森 勇一
    2004 年 43 巻 5 号 p. 375-382
    発行日: 2004/10/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    古環境の推定手法の一つである電気伝導度法(粘土混濁水による電気伝導度・pHの測定)により,濃尾平野南部のボーリングコアの堆積環境の推定を行った.その結果,珪藻分析結果による古環境と電気伝導度値に良好な対応関係がみられ,その対応関係から淡水成・汽水成・海水成の電気伝導度値が設定できた.そして,電気伝導度の鉛直方向の変動様式から,海水準変動および堆積過程を解釈することができた.またpHは,直接には古環境を判定する指標にはならないが,電気伝導度と組み合わせることにより,堆積過程や堆積後の環境変化を考察する上で重要な指標になりうることが示唆された.
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