第四紀研究
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47 巻 , 5 号
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論説
  • 立石 良, 沢田 順弘
    2008 年 47 巻 5 号 p. 299-311
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    島根県中西部に分布する鮮新—更新統江津層群のテフラ中から,コランダム,水酸化Al鉱物,トパーズ,紅柱石,ガーネットを発見した.本論文では,これらのAlに富む鉱物の形態と組成,それらを含むテフラの堆積学的特徴,およびテフラより下位の砂層中の重鉱物を報告し,Alに富む鉱物の起源について検討した.Alに富む鉱物は,再堆積の影響がほとんどないテフラにも含まれており,自形ないし摩耗されていない形態を考え合わせると,火山噴出時のテフラそのものに含まれていた可能性が高い.このことは,テフラの下位の砂層中にAlに富む鉱物が認められないことからも支持される.さらに,基盤岩中の鉱物に関する既存の研究や,テフラと基盤との空間的関係からも,岩屑起源の可能性は低い.Alに富む鉱物の起源はマグマ中の捕獲結晶か,マグマと周囲の泥質または石灰質岩との間の反応生成物と考えられる.これらの鉱物はテフラの特徴を示すものであり,テフラの同定や鍵層としての有効性を示すものである.
  • 稲田 晃, 齋藤 岳由, 楡井 尊, 西村 祥子, 大浜 和子, 金子 静子, 金子 陽子, 島村 健二, 志水 里美
    2008 年 47 巻 5 号 p. 313-327
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    関東平野南東部,千葉県八千代市新川低地の宮内で得たボーリングコア試料の花粉分析と珪藻分析によって,当地域における約8,000 cal BP以降の植生と堆積環境の変遷を明らかにした.
    約8,000 cal BP以降,低地には古鬼怒湾が進入し,約4,000 cal BPまでその海岸線は宮内周辺にあったが(MyD-i~iii),以後退いて低地は湿地化(MyD-iv)した.この間における台地と段丘崖の植生変遷は,コナラ亜属を主とする落葉広葉樹林期(MyP-I),スギ林拡大期(MyP-II),マツ二次林拡大期(MyP-III)に区分される.MyP-IとMyP-IIとの境界は約4,000 cal BP, MyP-IIとMyP-IIIとの境界は早くとも約1,300 cal BP以降である.一方,低地では約4,000 cal BP以降,ハンノキ属(おそらくハンノキ)-トネリコ属(おそらくヤチダモ)-クロウメモドキ科湿地林(約4,000~3,700 cal BP, MyP-IIA)から,ハンノキ属湿地林とニレ属-ケヤキ属(おそらくケヤキ)林(約3,700~2,500 cal BP, MyP-IIB)を経て,イネ科-カヤツリグサ科群落を伴う池沼(約2,500~1,300 cal BP, MyP-IIC)になった.この後,約1,300 cal BP以降のある時期から水田となった(MyD-v, MyP-III).
    また,約3,700 cal BP以降の地層からは,少量のソバ属花粉を伴ってイネ属花粉が連続出現し,複維管束亜属を主とするマツ属花粉もやや高率で出現する.このことは約3,700 cal BP以降,新川低地の宮内周辺やその上流部では稲作がすでに始まり,台地を中心としてマツ二次林が部分的に成立していたことを示している.
  • 伊藤 康人, 檀原 徹
    2008 年 47 巻 5 号 p. 329-338
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    琵琶湖西岸に沿って分布している古琵琶湖層群に挟在する白土谷火山灰層は,新たに得られたジルコンのフィッション・トラック年代と火山ガラス・斜方輝石・角閃石の屈折率に基づいて,約1 Maの広域テフラである猪牟田ピンク(Ss-Pnk)テフラに対比された.この火山灰層の安定な初生残留磁化は,岩石磁気実験によって,偏平で層理面に平行な異方的配列を示すチタノマグネタイトが担うことが明らかになった.白土谷火山灰層とそれに対比される大阪層群のピンク火山灰層の古地磁気偏角は地域による大きなばらつきを持ち,垂直軸周りの回転運動が生じたことを示唆している.それは,活断層近傍の変形あるいは近畿地方を通過する新潟—神戸構造線(NKTL)周辺の右横ずれせん断を反映しているのかもしれない.
  • 鈴木 毅彦, 村田 昌則
    2008 年 47 巻 5 号 p. 339-348
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    東北地方南部,会津地域を給源とする白河火砕流堆積物群中には,小野カルデラを給源とする前期更新世に噴出した隈戸火砕流堆積物が知られている.同火砕流堆積物に対比されるco-ignimbrite ash-fall depositは関東地方に広く分布する.これらを白河隈戸テフラ(Sr-Kmd)と新たに定義した.Sr-Kmdは,バブルウォール型,平行型,繊維型を主体とする火山ガラス,斜方輝石,単斜輝石,高温型石英などから構成される.火山ガラスと斜方輝石の屈折率はそれぞれ1.500-1.503, 1.713-1.72である. 火山ガラスの主成分化学組成(平均重量%)は, SiO2 : 78.5-78.7 wt%, TiO2 : 0.3 wt%, Al2O3 : 11.6-11.7 wt%, FeO : 1.5-1.6 wt%, CaO : 0.6-0.7 wt%, K2O : 3.6-3.9 wt%, Na2O : 3.1-3.4 wt%, 微量成分化学組成はBa : 567-606 ppm, La : 11-15 ppm, Y : 28-34 ppmの範囲にある.Sr-Kmdは,千葉県屏風ヶ浦犬吠層群小浜層および房総半島上総層群黄和田層中のガラス質火山灰層,多摩丘陵上総層群鶴川層中の金井タフに対比される.屏風ヶ浦において,Sr-Kmdは石灰質ナンノ化石対比基準面10と11の間にあり,両基準面間の堆積速度が一定とすれば,その噴出年代は約1.51 Maとなる.
短報
講座
  • 中川 毅
    2008 年 47 巻 5 号 p. 355-374
    発行日: 2008/10/01
    公開日: 2012/03/26
    ジャーナル フリー
    本稿では,Windows用ソフトウェアPolygon 1.5の使用方法について解説する.Polygon 1.5は,花粉や珪藻などの微化石データに対してモダンアナログ法を適用し,過去の気候を定量的に復元するために開発された専用のツールである.類似のソフトは他にも存在しているが,Polygon 1.5はきわめてユーザーフレンドリーなインターフェースを採用しており,使用法の習得が容易である点に大きな特徴がある.古気候の推定値は,全分類群のパーセンテージあるいは選ばれた主成分軸の得点を用いて計算される.その他の特徴的な機能として,(1)2または3次元の主成分空間中に現世データの散らばりを表示できる,(2)同じ空間中に,化石データの変遷を軌跡として表示できる,(3)気候復元に適さない化石データを自動的に検出する,(4)気候復元の誤差モデルを生成し,復元結果の較正(キャリブレーション)を行う,などがあげられる.Polygon 1.5は専用のウェブサイト(http : //dendro.naruto-u.ac.jp/nakagawa/)から無償でダウンロードすることができる.
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