第四紀研究
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45 巻 , 6 号
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原著論文
  • 吉田 明弘
    2006 年 45 巻 6 号 p. 423-434
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    青森県八甲田山田代湿原で得られた5本のボーリングコアについて, 花粉分析とテフラ分析, 14C年代測定を行った. この地域の約1.3万年前以降の古環境変遷は次のとおりである. TA-1帯期 (約13~11.6ka) はカバノキ属の混生する亜寒帯性針葉樹林で, TA-2帯期 (約11.6~10.4ka) はカバノキ属の森林, TA-3帯期 (約10.4~8.9ka) はカバノキ属の森林から冷温帯性落葉広葉樹林への移行期にあたり, TA-4帯期 (約8.9~6.6ka) はコナラ亜属を主とする冷温帯性落葉広葉樹林, TA-5帯期 (約6.6ka~現在) はブナ属の優占する冷温帯性落葉広葉樹林, そしてTA-6帯期 (現在) は冷温帯性落葉広葉樹林とアカマツ二次林, スギ植林である.
    湿原内では, 約8,000年前以前と約4,000~2,000年前にはイネ科やカヤツリグサ科の草本植生が分布拡大し, 約8,000~4,000年前, 約2,000年前以降には湿地林が形成された. これらの湿原植生の変遷は, 河川流域の堆積物に基づく古水文環境の変化と一致する.
  • 菅沼 悠介, 青木 かおり, 金松 敏也, 山崎 俊嗣
    2006 年 45 巻 6 号 p. 435-450
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    北西太平洋黒潮続流域西部から採取された海底コアMR0102-PC1, KR0215-PC2, KR0215-PC3と, 黒潮―親潮混合水域から採取されたKR0215-PC7に挾在する49枚のテフラの記載岩石学特徴と, そのうち41枚中の火山ガラスの主成分化学組成を調べた. その結果, 計6枚のテフラがコア間で対比され, そのうち3枚がそれぞれ阿蘇4テフラ, 御岳第1テフラ, および阿多鳥浜テフラに対比された. このテフラ対比に基づき, 各コアから求めた帯磁率変動曲線を対比した. また, 阿蘇4テフラおよび阿多鳥浜テフラの年代を基準として, 同海域から採取され年代モデルが確立している海底コアS2612の帯磁率変動曲線との対比を行い, 各コアにおける年代モデルを構築した. このモデルに従い, 御岳第1テフラおよびほかの3枚のテフラの年代を上位より約98ka, 約159ka, 約219ka, 約230kaと推定した. また, 各コアにおける過去30万年間の堆積速度変化を復元し, 黒潮続流域西部は寒冷期のピーク時に堆積速度が上昇し, 寒冷期から温暖期への移行期に下降することを, 黒潮―親潮混合水域では逆の傾向を示すことを明らかにした.
  • 山口 正秋, 須貝 俊彦, 藤原 治, 大上 隆史, 大森 博雄
    2006 年 45 巻 6 号 p. 451-462
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    典型的な三角州平野である濃尾平野の三角州帯から自然堤防帯に至る平野微地形の形成過程を, 24本の群列浅層ボーリングに基づいて考察した. ボーリングでは層相および粒度組成のサクセッションから, デルタ堆積物とそれを覆う河川堆積物からなる9つの堆積ユニットが識別された. 現在の平野微地形と表層堆積物とは, 明瞭な対応関係を示す. 三角州帯および自然堤防帯の両測線とも, デルタ堆積物上に河川堆積物が累重する. ただし三角州帯では, 自然堤防の発達は小規模かつ断片的である. 一方自然堤防帯では, チャネルが下位の地層を切り込みつつその位置を変え, 側方に自然堤防をつくり, 周辺の地表面を埋没させながら上方に累重する. 両測線の比較から, デルタフロントの通過・堆積以後, 約2,000~2,500年間はデルタシステムが干潟などの低平な地形を形成し, その後, 自然堤防をつくりながら急速に河川システムの累重が進んだ. さらに, デルタの前進に伴い, 上流側の河川システムもほぼ同様の速度で前進してきたと考えられる.
  • 山下 大輔, 吉川 周作, 塚腰 実, 長岡 信治, 熊原 康博
    2006 年 45 巻 6 号 p. 463-477
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    愛媛県肱川流域の大洲・内子盆地では, 河川~扇状地成の厚い砂礫層を主体とする下部―中部更新統が分布する. これらは下位より冨士山層, 内子層, 大洲層に区分でき, 上位を段丘堆積物 (古田層, 菅田層, 廿日市層) に覆われる. 火山灰層と植物化石に着目し, 堆積年代を検討した結果, 冨士山層, 大洲層, 古田層から産出する火山灰層が, それぞれピンク火山灰層, 横尾火砕流, Aso-1に対比された. また, 冨士山層, 内子層下部ではメタセコイアとヒメバラモミ近似種が共産することから, 冨士山層および内子層下部で遅くとも1.4~0.8Ma, 大洲層で0.8~0.5Ma, 高位段丘堆積物古田層では約0.3~0.2Maの年代が求められた. この結果, 本地域の下部―中部更新統は, 中央構造線沿いに分布する菖蒲谷層, 郡中層の上部~最上部層準, 土柱層の中部~最上部層準, 大阪層群の下部~上部層準に相当すると考えられる.
短報
  • 宍倉 正展, 永井 節治, 二階堂 学, 臼井 武志, 徳光 雅章, 木曽教育会濃ヶ池調査研究会
    2006 年 45 巻 6 号 p. 479-487
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/07/27
    ジャーナル フリー
    木曽山脈中北部の大棚入山には, 過去の大規模山体崩壊とそれに伴う岩屑なだれや天然ダムの跡が見られる. これらの発生時期を解明するため, 岩屑なだれの表層や天然ダム湖跡 (濃ヶ池), 閉塞凹地 (下の池) における堆積物調査を行った. 岩屑なだれ堆積面上の植生や被覆層の14C年代, 下の池を埋める堆積物の14C年代などから判断すると, 岩屑なだれは300~400年前にはすでに生じていたと考えられる. また, 史料には濃ヶ池の天然ダムが寛文元 (1661) 年に決壊したことが記載されている. したがって, 大棚入山の山体崩壊とそれに伴う諸現象の発生時期は, 17世紀頃以前まで遡ると考えられる. この崩壊の推定土砂量は107m3を超えるもので, 本地域ではまれに起こる大規模山体崩壊であったことから, 断層活動などの低頻度イベントとの関係が注目される.
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