第四紀研究
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34 巻 , 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 小倉 博之, 吉川 周作, 岡田 昭明, 山本 裕雄
    1995 年 34 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    テフラ層の対比への応用を目的として,鳥取県の大山周辺に分布するテフラ層と褐色ローム層の帯磁率を大山北麓~東麓の7地点で測定した.測定の結果,露頭が互いに離れているにもかかわらず,対比可能なテフラの帯磁率の測定値は狭い範囲内におさまることがわかった.また,それぞれのテフラ層の帯磁率は特徴的な垂直変化パターンをもつ.これらのことは,テフラ層間および層相変化がないため,肉眼で認識できないテフラ層内部の層準間について,精密対比を行う際に有効な手段となる.さらに褐色ローム層中で帯磁率が大きなピークを示した層準に沿って精査を行った結果,そこに,一見したところ見落としがちな不明瞭な粗粒火山灰サイズのテフラの降下層準を特定することができた.以上のように,テフラ層や褐色ローム層の露頭垂直断面に沿って測定して得た帯磁率プロファイルは,テフラ層序およびテフロクロノロジーへ応用できる大きな可能性をもっている.
  • 吾妻 崇
    1995 年 34 巻 2 号 p. 75-89
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    津軽半島に分布する段丘をIm面・IIf面・IIIm面・IIIf面・IVf面・Vm面に区分し,そのうちのIIIm面を最終間氷期最盛期に形成された海成段丘に対比した.IIIm面の旧汀線高度は,津軽半島北部(高度13~41m)と東部(高度14~30m)で波長約30kmの波状変形に加えて,北部では短波長(約3km)の波状変動を示す.津軽山地東西両縁の活断層(活動度B~C級)は,段丘上に平野側へ傾き下がる撓曲崖(変位量10~30m)やその背後の逆向き低断層崖(変位量2~10m)を形成し,半島が東西圧縮場にあることを示す.段丘の変動様式は,基盤となる新第三系の分布と関係し,おもに鮮新世の固結度の小さい堆積岩が分布するところで変位が大きい.第四紀後期には,半島東部でより山地・平野境界部の地殻変動が活発である.
  • 佐瀬 隆, 井上 克弘, 張 一飛
    1995 年 34 巻 2 号 p. 91-100
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    植物珪酸体分析に基づいて,洞爺火山灰(Toya)堆積以降の風送陸上堆積物である岩手火山東麓のテフラ累層の堆積環境を,11の植物珪酸体帯(A~K)に分帯した.これらのうちC・E・G・H・Jの5帯は,ウシノケグサ型および針葉樹の珪酸体が相対的に高い頻度で産出するので,これらに対応する5つの寒冷期を設定した.最終間氷期の洞爺火山灰堆積期から加賀内第3スコリア(K3S)堆積期までは,阿蘇4火山灰(Aso-4)堆積期以前にイチゴツナギ亜科の弱い勢力拡大で特徴づけられる寒冷期(KS-e寒冷期)を挟むものの,ササ属を主体としたイネ科植物相が継続し,気候は比較的温暖であった.また,広域風成塵の堆積速度は小さく,一次テフラと二次テフラの堆積が卓越する環境であった.最終氷期の加賀内第2スコリア(K2S)堆積期から渋民火山灰堆積終了時までは,イチゴツナギ亜科が卓越するイネ科植物相,あるいはそれに針葉樹が伴う植物相で特徴づけられる4つの寒冷期(KS-d~KS-a寒冷期)を挟む寒冷な時代で,広域風成塵の堆積速度は大きく,顕著な広域風成塵付加層(クラック帯)やインボリューションが形成された.更新世末から完新世に属する分火山灰層の堆積期では,一次テフラと二次テフラの堆積が卓越する環境となり,植被密度の増加と非タケ亜科イネ科植物の優勢な植物相の成立が気候の温暖化に対応して起こることにより,黒ボク土の生成が促された.
  • 佐藤 裕司
    1995 年 34 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    気比低地(兵庫県豊岡市)で採取されたコア堆積物を用いて,堆積物の分別抽出で得たイオウ含有量と珪藻分析とを組み合わせた古環境解析法により,完新世における堆積環境変遷を明らかにすることを試みた.総イオウ(塩酸可溶イオウ+過酸化水素可溶イオウ)含有量0.3%と珪藻古塩分濃度指数(DIPs)5.0を基準として,その変動から供試堆積物を完新世海面変化に伴う堆積環境の変遷を反映するI~IVの4つの古環境相に区分した.また,過酸化水素可溶イオウの多少から,堆積物の酸化還元状態を判定した.総イオウ含有量とDIPsに基づく堆積環境の推定は,古環境相IIを除いてよく一致した.古環境相Iは海成で,堆積物は還元的な環境下にあったと推定した.古環境相IIIは汽水成で,堆積物は酸化的な環境下にあったと推定した.古環境相IVは淡水成と推定した.これらの結果から,この古環境解析法は相互に情報の不足や欠落を補完し合うことによって,堆積環境変化について詳細な情報をもたらすことを示した.
  • 宮内 崇裕
    1995 年 34 巻 2 号 p. 107-120
    発行日: 1995/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    イタリアで確立されてきた海成第四系の層序・編年の研究は,19世紀末以降地中海地域の標準としての役割を担ってきた.しかし,多用された第四系の階名は後進の研究者を混乱させることも多く,また本来の階(Stage)定義の意味も変化している.本稿では,イタリアにおける海成第四系の時間層序学的研究と海岸段丘の編年学的研究に関する最近の動向について紹介する.完新統については,混乱を避けるために特定の階名を使わず,Holocenceが代用されている.上部更新統については世界的に知られるTyrrhenianが定着し,その認定基準種Strombus buboniusを含む海進堆積物は最終間氷期最盛期(酸素同位体サブステージ5e)段丘をなす.中部更新統については,biocalcareniteを含む海進堆積物によって定義されたCrotonian(同位体ステージ7,ステージ9,ステージ11頃に対比)を除いて,明確に定義された階名はない.下部更新統については,生層序学的観点から提唱されたSanternian-Emilian-Sicilianの一連の階の定義が信頼されている.Santernianは軟体動物Arctica islandicaと貝形虫Cytheropteron testudoの出現をもって,Emilianは底棲有孔虫Hyalinea balticaの出現をもって,Sicilianは浮遊性有孔虫Globolotalia truncatulinoides excelsaの出現をもって,それぞれの下限層準が定義されている.階の新定義・再定義は,用語上の混乱を避けるために時間層序の区分法に従い,他の第四紀研究分野の成果と照会しながら慎重に取り扱う必要がある.
  • 1995 年 34 巻 2 号 p. 124
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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