伊豆半島の沿岸地域における完新世の相対的海水準変化と地殻変動を明らかにする目的で, 4地域において沖積低地の掘削調査を行い, 沖積層の層相と珪藻および貝化石の群集解析,
14C年代測定, および離水海岸地形の調査を行った.
伊東での海成層の上限高度は, 河川の侵食を受けているが海抜0mで, その上位の泥炭の年代は4,000yrs BPであった. 下田では海成層の上限高度は海抜1.4mで, その年代は2,400yrs BP であった. また白浜から小稲にかけての離水海岸地形の調査では, 離水地形の高度が2つのゾーンに分かれ, 完新世の最高水準期以降2回の不連続な隆起があったことを示す.
これらの資料より, 本地域の完新世の海成層上限の年代は, 後氷期の海進が約5,000~7,000yrsBPである他の地域と比較して若く, 約2,000~3,000yrs BPまで沈降が継続し, その後間欠的な隆起が起こったものと考えられる.
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