第四紀研究
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56 巻, 5 号
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領域5「現代社会に関わる第四紀学」シンポジウム特集号
  • 植木 岳雪
    2017 年 56 巻 5 号 p. 185-186
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
  • 山縣 耕太郎
    2017 年 56 巻 5 号 p. 187-194
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    地理教育における自然の取り扱いについては,多くの問題点が指摘されているとともに,全体に占める比重が減少してきている.このような状態に至った原因としては,第二次世界大戦後の教科再編の中で,自然地理に関する内容の一部が,理科や新しく創設された地学に移されたことがあげられる.現在の地理教科書の地形に関わる記述にも,時間軸に沿った地形形成過程やメカニズムに関する説明が欠けている.特に,氷期・間氷期サイクルに関する記述がほとんどないことは問題であろう.総合的に自然環境を考える上で,時間軸に沿った第四紀学的な視点が重要となる.第四紀学的な視点は,防災教育において地域で起こる災害を理解して将来起こる災害を正しく想定する上でも有効である.次期高等学校学習指導要領において「地理総合」が新設され,地理の必修化が予定されている.この機会に,自然環境に関わる学習内容や課題を再検討することが望まれる.

  • 植木 岳雪
    2017 年 56 巻 5 号 p. 195-206
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    戦後の高等学校理科4領域(物理,化学,生物,地学)の履修率には大きな偏りがあり,昭和38~47年の教育課程を除いて,地学領域の履修率は常に低かった.広義の第四紀学的な内容は,地学領域全体を網羅する科目(基幹科目)の教科書ではおおむね全体の5~15%であり,平成24年からの地学領域の基礎的事項を扱う科目(基礎科目)の教科書では9%以下であった.第四紀学の典型的な内容は,全ての科目でおおむね3%以下と低かった.第四紀学の立場から,現行の高等学校理科地学領域を展望すると,地学領域の履修率を上げること,地学領域に第四紀学的な内容を増やすこと,持続可能な開発のための教育(ESD)の観点を取り入れること,地学領域では第四紀の時間軸を入れた内容を主に取り扱い,地理歴史領域と内容の切り分けをすることなどが今後の課題として挙げられる.

  • 竹村 恵二, 北田 奈緒子, 伊藤 浩子, 三田村 宗樹
    2017 年 56 巻 5 号 p. 207-215
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    地盤情報は,地域の地盤を地質学・土質工学の視点から研究するうえで重要な情報であり,社会にとっての貴重な公共財となる.本論文では,ボーリングデータを集積し,地質学的記載とあわせて,これまで実施されてきた地域地盤研究と第四紀学への利活用についてまとめた.特に関西地域を例にデータベースの構築と利活用の課題を紹介した.「関西圏地盤データベース」が関西圏地盤情報ネットワーク(KG-NET)により構築され,系統的に情報の追加・更新等のデータベースメンテナンスが継続されている.また,地下基準断面の作成,広域の地層分布の把握,地下地質構造の把握,特徴的な地層や火山灰からの時間面の情報などにより地域の地盤情報を迅速に整理できることをまとめた.防災活用事例として,地震動予測や液状化予測への利活用の例を示した.

  • 安田 進
    2017 年 56 巻 5 号 p. 217-225
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    東京および周辺に首都直下地震が襲った場合に懸念される二つの地盤災害を取り上げ,筆者達が行ってきた研究を紹介し,今後の課題に関して述べた.一つは地盤の液状化である.1923年関東地震では沖積低地の各地で液状化が発生したが,2011年東北地方太平洋沖地震ではほとんど液状化しなかった.その原因として経年効果により液状化強度が増加したことが挙げられるが,定量的に明らかになっていない.将来の首都直下地震時の予測等に対し研究を進める必要がある.もう一つは谷底低地の地震応答である.関東地震時の水道管や家屋の被害は東京の谷底低地に被害が集中していた.そこで谷底低地で詳細な地盤調査を行い,それをもとに地震応答解析を行ったところ,谷底低地に堆積している腐植土が大きな地震応答を生じさせたと考えられた.将来の首都直下地震に対して局所的に堆積している腐植土を考慮して被害想定などを行っておく必要がある.

  • 福嶋 徹
    2017 年 56 巻 5 号 p. 227-235
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー

    「むさしの化石塾」は,第四紀の地層を教材として「化石の調べ学習」を行う第四紀学の学習教室として設立された.無償参加型イベントを行う教室から,「地域自然史」を体系的に学べる学習教室に変わり,有償型イベントを行うようになった.参加者はリピーターとなり反響を呼んでいる.最近では,外部団体からの依頼数が多く,塾生募集は縮小している.当塾では,教育活動と研究活動という2つの柱で事業を推進している.貴重な化石は,自然史博物館に寄贈する仕組みを構築し,実績を積み上げている.このような「第四紀学」の市民インセンティブ(普及活動)を,民間の任意団体として発信している例はほかにはない.当塾は,学校教育,博物館と市民を結ぶ新しい流れを定着させてきた.第四紀学の新しい普及活動の担い手として,今後の活躍が期待されている.

  • 小森 次郎
    2017 年 56 巻 5 号 p. 237-242
    発行日: 2017/10/01
    公開日: 2017/11/22
    ジャーナル フリー
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