第四紀研究
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49 巻, 5 号
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2008年度日本第四紀学会学術賞受賞記念論文
  • 五十嵐 八枝子
    2010 年 49 巻 5 号 p. 241-253
    発行日: 2010/10/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    サハリンと北海道でこれまでに明らかにされた最終氷期後期以降の植生と気候について,北海道中部剣淵盆地とサハリン中西部Khoeを中心に比較検討した.気候の復元は,サハリンにおける湿原のミズゴケ中の花粉組成とミズゴケ採取地域の気象資料をもとに行った.Marine Isotope Stage(MIS)3は,両島で冷涼気候が継続した気候安定期で,エゾマツを主とした常緑針葉樹林が発達した.MIS 2は,両島ともに,グイマツとハイマツの増加により示される寒冷期と,エゾマツ/アカエゾマツ,トドマツの増加によって示される気候の緩和期が繰り返された激しい気候変動期であった.両島の寒冷気候期を世界的に認められるHeinrich events(H)およびLGMに対比した.H1の気候は,両島ともに最も寒冷であった.MIS 1は初頭から現在まで,北海道ではコナラ亜属とトドマツを主とした針広混交林,サハリンではエゾマツを主とする常緑針葉樹林が発達した.
論説
  • 石村 大輔
    2010 年 49 巻 5 号 p. 255-270
    発行日: 2010/10/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    関ヶ原周辺地域の段丘面の編年を行い,活断層の変位速度を求め,近畿三角帯北東縁の断層活動について検討した.空中写真判読および現地調査により,7段(H面群,M1~2面,L1~4面)の段丘面を認定した.段丘構成層および被覆層中に鬼界アカホヤ火山灰(K-Ah),姶良Tn火山灰(AT),鬼界原火山灰(K-Tz)の層準が認められた.火山灰分析と段丘面の地形学的特徴から,形成年代をM1面(90~130 ka),M2面(50~70 ka),L1面(20~30 ka),L2面(15~20 ka),L3面(10~15 ka),L4面(10 ka以降)と推定した.さらに,活断層の上下変位速度を,段丘面の変位量と形成年代から求め,水平変位速度は河谷の屈曲量と上流の長さから推定した.その結果,本地域の活断層の多くは活動度B級であり,一部はA級になることが明らかとなった.近畿三角帯北東縁の活断層の変位速度分布から,本地域の濃尾平野側での上下変位速度の和と水平変位速度の和の比は1 : 0.4~1.2で,近江盆地側では1 : 2.1~8.7となり,南部の逆断層帯から本地域を通じて北部の横ずれ断層帯へ移行している可能性が高い.また,近畿三角帯北東縁の断層活動は,沈み込むフィリピン海プレートの形状や深度が影響を及ぼしている可能性がある.
特集 2009年度日本第四紀学会シンポジウム「第四紀の開始期の環境変動とテクトニクス : 第四紀の新定義を検証する」
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