北海道日高海岸北部において津波堆積物の調査を行った.その結果,クロスナや泥炭層中に17世紀の砂質イベント層が挟在することが明らかになった.イベント層は内陸へ薄層化および細粒化する傾向を示し,現在の海岸線から内陸方向へ約150m, 標高3.86mの地点まで分布する.珪藻分析の結果,イベント層では下位の泥炭に比べて外洋指標種のThalassionema nitzschioidesが多産する傾向を示した.これらの特徴は,このイベント層が津波によって形成されたことを示している.このイベント層はごく薄い泥炭層やクロスナ層を挟んでUs-b火山灰(AD1663)の直下にあり,17世紀前期〜中期に堆積したと推定される.