第四紀研究
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46 巻, 5 号
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論説
  • 河村 善也, 樽野 博幸, 稲田 孝司
    2007 年 46 巻 5 号 p. 399-411
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2009/03/26
    ジャーナル フリー
    姫島から産出した1個のゾウ臼歯化石を系統分類学的に詳しく記載した.この化石は姫島の海岸のすぐそばの浅い海底から採取されたもので,おそらくそこに露出していた前期~中期更新世の堆積物から産出したものと思われる.この化石は,その形態の特徴から,マンモスゾウの祖先種の一つであるトロゴンテリゾウ(Mammuthus trogontherii)の右下顎第3大臼歯に同定できる.この化石の産出の意義を述べるとともに,日本や周辺の大陸から知られる古型マンモス類の化石と比較して,東アジアにおけるトロゴンテリゾウの時間的分布や移動についても議論した.
  • 河野 樹一郎, 高原 光, 野村 敏江, 柴田 英昭, 植村 滋, 佐々木 尚子, 吉岡 崇仁
    2007 年 46 巻 5 号 p. 413-426
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2009/03/26
    ジャーナル フリー
    北海道北部の泥川湿原上に成立するアカエゾマツ林および落葉広葉樹林内から採取した表層試料,ならびにアカエゾマツ林内で採取した完新世の堆積物試料を用いて植物珪酸体分析を行い,当湿原におけるササを中心としたイネ科植生の変遷,およびアカエゾマツ林の成立時期について検討した.堆積物の植物珪酸体分析の結果,約12,000~10,000年前には,泥川湿原上には寒冷気候下に分布するイチゴツナギ亜科が生育する植生が成立していた.その後約10,000~5,000年前には,ヨシが生育する湿潤な環境が広がっていたことが推測された.約5,000年前頃から,調査地周辺ではヨシに代わってササが進入を開始するが,この時期のササの分布はまだ散在する程度であった.その後約1,500年前以降になるとササが急増を始め,それとほぼ同時期かやや遅れてアカエゾマツの侵入が認められた.表層試料の分析から,アカエゾマツに由来するマツ科型珪酸体はきわめて局所的なアカエゾマツの存在を反映することが明らかとなった.この結果と堆積物試料の分析結果を組み合わせて見ると,調査地周辺におけるアカエゾマツ林の成立時期はおよそ1,000年前頃であると推測された.また,その頃からすでにアカエゾマツ林は現在と同様なササ型林床を伴っていたと考えられた.
短報
  • 卜部 厚志, 渡部 俊, 鈴木 幸治, 村尾 治祐, 高濱 信行, 渡辺 史郎, 稲崎 富士
    2007 年 46 巻 5 号 p. 427-431
    発行日: 2007/10/01
    公開日: 2009/03/26
    ジャーナル フリー
    新潟県中央部の小千谷市から新潟市にいたる平野部の西縁では,「長岡平野西縁断層帯」と呼ばれる総延長約83kmにわたる活断層が推定されている.この断層帯の分布や活動履歴は,南部の鳥越断層を除いて詳細が明らかにされていない.そこで,本断層帯の北部にあたる新潟市赤塚地区の平野部において,断層の分布を明らかにするために,浅層反射法弾性波探査を行った.この結果,沖積層の浅層部を変位させる複数の伏在断層を確認した.これらの伏在断層は,西側の丘陵側が平野側に上がる形態の低角の逆断層を主要な構造要素としていることが明らかとなった.
資料
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