第四紀研究
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48 巻, 1 号
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論説
  • 藤原 治, 鎌滝 孝信, 内田 淳一, 阿部 恒平, 原口 強
    2009 年 48 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2009/02/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    本論では,房総半島南東岸の温石川の川岸に露出する約8,400~7,700 cal BPにかけて堆積した溺れ谷堆積物の特徴と,そこに見られる地震隆起や津波の痕跡について報告する.
    この露頭は最大高5 m程度で,泥層・砂層・砂礫層の互層からなる.堆積相解析,貝化石と有孔虫化石の分析,AMSによる14C年代測定値をもとに堆積環境の変遷を復元した結果,8,200 cal BP頃に相対的海水準の一時的な低下が認められた.この現象は,地殻変動の少ない東京湾沿岸では,後氷期に7,000 cal BP頃のピークへ向けて相対的海水準が継続的に上昇したことと矛盾し,調査地域での地震隆起を示していると考えられる.
    泥層に挟まる砂層や砂礫層は,溺れ谷に流入した高潮や洪水,あるいは津波による堆積物と考えられる.とくに8,200 cal BP頃の相対的海水準が低下する直前に堆積した砂礫層は,海岸の隆起を起こした地震に伴う津波堆積物である可能性が高い.
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