地震災害・火山災害などの単独で取り扱える災害でも, その規模が大きくなるに従って, 個別の取り扱いでは不十分となり, 総合的に考えていく視点が必要となる.
一つの災害事象が別の災害事象の発生誘因となって災害が拡大していく場合, 一次災害の拡大要因となる場合, 複数の災害事象が同時に発生する場合, 一つの災害事象から二次災害・三次炎害へと発展する場合などを総称して「複合災害」と呼んでいるが, これらの事例を整理することは総合的な災害予測を考えるために重要である.
別の災害の発生誘因となる場合として, 火山活動に伴う地震災害, 火山活動に伴う津波災害, 地震による地盤沈下, 人工的な原因による誘発地震, 海面上昇による相対的な地盤沈下などがある. 一次災害の拡大要因となる場合として, 降雨後の地震災害, 地震後の降雨災害, 地盤沈下地域の降雨災害, 地盤沈下地域の地震災害, 地震による火山性堆積層の崩壊, 降雨による火山性堆積層の崩壊, 流氷による津波災害, 火山活動による泥流災害, 火山火災, 湖岸・海岸・海底での噴火災害などがある. 二次災害・三次災害へと発展していく場合として, 地震火災, 地震水害, 火山噴出物の上層大気への注入, 火山泥流・土石流, 火山灰・火山ガスの影響, 火山活動の地下水への影響などがある.
また, 積雪・凍結時の地震あるいは地震火災中の降雨のように, 複数の災害事象が同時に発生したため, 災害が低減される場合もある.
このような複合災害の事例を考慮し, 総合的な災害予測図を作成する際の取り入れ方を考察し, 作成手法の一案を示した.
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