本研究では,津軽平野岩木川下流域の上位沖積面を構成する約2,500yrsBP以降に堆積したと考えられる浅層堆積物のテフラ分析を行った.その結果,浅層堆積物中には火山ガラスが数10
%の含有率で普遍的に存在することが明らかとなった.火山ガラスの屈折率および主成分元素組成から,火山ガラスは単一の噴火に由来するものではなく,多くは3万年前や1万5,000年前の十和田火山のカルデラ形成噴火以降から最新の915年噴火を起源とするものが混合し,再堆積したものと考えられる.また,周辺の基盤をなす尾開山凝灰岩相当層(鮮新統)などに由来するものも含まれている可能性がある.このことは,噴火後の過剰物質供給が収束した後の平常時(バックグラウンド)の堆積時においても,活動的な火山の影響を受ける流域では,潜在的に火山砕屑物が侵食・運搬・堆積され,相当量の火山砕屑物が地層中に混在することを示す.
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