第四紀研究
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37 巻 , 4 号
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  • 稲田 晃, 大浜 和子, 島村 健二
    1998 年 37 巻 4 号 p. 283-298
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    八千代市新川低地におけるボーリングコアの花粉分析を行い,八千代市周辺における最終氷期最寒冷層準直前から現在に至る植生変遷を,ほぼ連続的に明らかにすることができた.すなわち,八千代市周辺における現在までの約3万年間の森林植生の変遷は,下部より主として1.PiceaHaploxylonよりなるマツ科針葉樹林期(約3万年前),2.マツ科の針葉樹とLepidobalanusよりなる針広混交林期(約1.7~1.2万年前),3.主としてLepidobalanusよりなる落葉広葉樹林期および4.Cryptomeria-Diploxylon林期の4期に区分できる.全層準にわたってCyclobalanopsisの含有率は15%に達せず,Lepidobalanusのそれを超えることもない.八千代市周辺の極相林とされる照葉樹林が広がった時期は見い出されない.しかし,少量のCyclobalanopsis, Camellia, Illicium等の照葉樹林要素は,最終氷期最寒冷期前後から本地域周辺に分布していたと思われ,最終氷期の房総半島南部における照葉樹林の残存を強く示唆している.Cyclobalanopsisの含有率の増加には,Cryptomeria, Juglans-Pterocarya, Ulmus-Zelkova等の好湿性分類群が微増しており,落葉広葉樹林から照葉樹林への移行は,湿潤気候の始まりに伴う現象と考えられる.八千代市周辺において,照葉樹林の拡大を阻害した要因は土地的乾燥である可能性が大きい.
  • 後藤 秀昭
    1998 年 37 巻 4 号 p. 299-313
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    徳島県吉野川北岸地域の中央構造線において,大縮尺空中写真判読と現地調査をもとに,活断層の分布と運動様式の再検討を行った.その結果,従来断層が連続しないと考えられていた地域をつなぐような断層が,新たに確認された.吉野川北岸での中央構造線は,鳴門断層の西端部付近に不連続が存在する可能性は残るものの,鳴門断層から父尾断層まで湾曲や屈曲を伴いながら,ひとつづきの断層として連続することが明らかになった.
    また,横ずれ断層の南側に低角な逆断層(前縁逆断層)の認められる地域がある.前縁逆断層は,(1)主断層の走向がその一般走向に対してやや斜交する(10~20°反時計回り)部分で,その南側に平行して存在する場合と,(2)主断層がその一般走向に対して大きく屈曲する位置で,その南側に存在する場合とがある.(1)は,横ずれ断層の走向の変化によって生じた水平短縮量の増大によって生じ,(2)は,断層の屈曲に伴う局地的な圧縮応力によって生じたと考えられる.
  • 中田 正夫, 奥野 淳一, 横山 祐典, 長岡 信治, 高野 晋司, 前田 保夫
    1998 年 37 巻 4 号 p. 315-323
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    西九州には,縄文前期から縄文中期の水中遺跡が存在する.最終氷期の大陸氷床の融解に伴うハイドロアイソスタティックな地殻傾動は,これらの遺跡の沈水を定量的に説明することができる.これらの水中遺跡の分布は,地球の約250kmまでの深さの粘性構造に敏感に対応した事実を示している.この地域の海面変化の観測値と理論値を比較検討した結果,観測値を説明しうる粘性構造は,リソスフェアの厚さが30~50km,リソスフェア下200kmのアセノスフェアの平均的な粘性率が(8~20)×1019Pa sであることが判明した.つまり,アセノスフェアとその下の上部マントルとの粘性率のコントラストは有意ではなく,日本列島のような島弧域においても,発達した低い粘性率のアセノスフェアは存在しないことが示唆される.さらに,ハイドロアイソスタティックな地殻傾動に規定された後氷期の海水準変動は,空間・時間的に変化し,先史時代の居住地や生活様式を規定した可能性がある.
  • 佐藤 裕司, 加藤 茂弘
    1998 年 37 巻 4 号 p. 325-338
    発行日: 1998/10/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    赤穂平野で得たコア堆積物を対象に,テフラ分析と,コア堆積物中に含まれる貝化石や木片の加速器質量分析(AMS)法による14C年代測定を行い,その堆積年代を明らかにした.また,堆積物中のイオウ含有量と珪藻遺骸群集の分析から堆積環境を明らかにした.そして,これらの結果にもとづいて,本地域における約6,800yrs BP以降の相対的海面変化を以下のように復元した.
    (1)約6,800~5,500yrs BPには,海面は現海面よりも低く,-0.75~-1.50mの間にあった.(2)約5,500~4,700yrs BPには,海面は上昇して現海面に達したか,それをやや上回ったと考えられる.(3)約4,700~3,800yrs BPには,海面は若干低下した.(4)約3,800~3,200yrs BPには,海面は+0.50mまで上昇した.(5)約3,200~2,500yrs BPには,現海面下に及ぶ海面低下がみられた.(6)海面はその後上昇し,約2,500~1,500yrs BPには現海面に達し,約1,500~600yrs BPには現海面上に及んだ可能性がある.
    本地域では,約6,000~5,000yrs BPの海面高度は標高-1~0m程度と推定される.一般に高海面期とされるこの時期の相対的な低海面は,本地域の沈降運動を示唆する.
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