第四紀研究
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特集号「近畿における歴史時代の自然環境」
  • 井上 淳, 三田村 宗樹, 中条 武司, 亀井 翼, 苅谷 愛彦
    2024 年 63 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/29
    [早期公開] 公開日: 2024/02/09
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  • 林 竜馬
    2024 年 63 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/29
    [早期公開] 公開日: 2023/02/04
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    滋賀県における遺跡花粉データベースを用いて,地域・局所スケールでの植生変遷の復元を行った.滋賀県では,60遺跡において891層準の遺跡花粉データが存在していた.遺跡花粉データベースについて集成をした結果,地域スケールでは縄文時代中期以降には,アカガシ亜属を中心とした照葉樹林が優勢であり,縄文時代後期になるとスギも増加したことが示された.弥生以降には,マツ属花粉とイネ科花粉が増加しはじめるものの,それまで優勢であったアカガシ亜属花粉やスギ花粉も依然として高率で出現を続けた.しかし,中世以降には大きく花粉組成が変化し,マツ属花粉の顕著な増加が認められた.遺跡ごとの花粉出現率の時空間分布は,各遺跡近隣での植生景観を反映しており,集落生態系や人々の植物資源利用形態の違いを明らかにできる可能性がある.

  • 林 尚輝, 奥中 亮太, 井上 淳
    2024 年 63 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/29
    [早期公開] 公開日: 2023/08/25
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    日本各地で黒ボク土などの累積性土壌中の植物珪酸体と微粒炭を用いた,火入れの歴史とそれに伴う長期的な植生変遷についての研究が進められている.本論文では,植物珪酸体と微粒炭分析を用いて過去の火入れとそれに伴う植生変遷が明らかにされた研究例として,奈良県曽爾高原,兵庫県砥峰高原,神鍋高原における研究事例を紹介する.さらに,これらの地域の植物珪酸体タイプの出現率と微粒炭量を目的変数として主成分分析を行い,火入れの各珪酸体タイプへの影響,すなわち各植物分類群への影響を明らかにした.

  • 丸山 真史
    2024 年 63 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/29
    [早期公開] 公開日: 2023/12/22
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    本稿は,近畿地方の歴史時代の遺跡から出土する動物遺存体にみる動物利用の変遷について述べ,動物利用とその背景について論じる.近畿地方の遺跡では,先史から漁撈や狩猟を示す魚貝類や鳥獣類などが出土しており,食用や資源としての動物利用がみられる.弥生時代から古墳時代にかけて家畜が出現するが,古代までに安定的かつ継続的な食料供給源となる食用家畜はなく,近世になってニワトリやブタが食肉家畜として珍しくなくなる.一方,野生鳥獣類のシカやカモ類の消費も近世まで継続され,それらが生息する自然環境があり,存続していたことを示唆する.一方で狩猟は衰退しており,家畜の食利用が普及した可能性も考えられる.水産物利用では,近世では内陸都市でも海産物利用が一般的であり,漁撈や流通の発達需要の増大が魚類利用から窺え,政策的な水産資源管理が必要となるほど資源量の減少を指摘できる.

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