第四紀研究
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54 巻 , 4 号
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論説
  • 森脇 広, 松島 義章, 杉原 重夫, 大平 明夫, 大木 公彦, 増淵 和夫, 弦巻 賢介
    2015 年 54 巻 4 号 p. 149-171
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    国分平野は,厚い海成層を持つことから,最終融氷期以降の海面と古環境の記録を得るのに好適な場所である.この平野で行った3本のボーリングコアに関して,堆積物と貝,有孔虫,珪藻の各化石の古環境指標とテフラ・14C年代の編年指標を基に,過去15,000年間の海面変化と古環境変化を検討した.その結果,次の諸点が明らかとなった.鹿児島湾は最終氷期最盛期には現海面下約90mに水面を持つ湖となった.約14,500calBPには海面は現海面下85〜90mに達し,鹿児島湾奥に海進が及んだ.約14,500〜13,000calBPと11,500〜7,500calBPの時期には,急速な海面上昇が生じた.現在の海岸付近においては,最終融氷期の海面の上昇においても,干潟・浅海域の環境が維持された.姶良カルデラ南縁の桜島火山の成長によって,湾奥は完全に遮断されることはなかった.この平野で見いだされた桜島薩摩テフラによって,本地域の海面変化・古環境変化と東シナ海での海洋酸素同位体記録とが高精度で対比される.
  • 傳田 惠隆
    2015 年 54 巻 4 号 p. 173-183
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    山形県寒河江市高瀬山遺跡を対象に,出土した石器集中の攪乱要因について検討を行った.遺跡から出土した石器は最上川の氾濫による洪水ローム層中に挟まれていることから,出土した石器集中は少なくとも流水の作用を受けて形成されている可能性がある.石器が遺棄・廃棄されたのちの流水の影響の有無を検討するために,同一層から出土した石器と礫について分析を行った.分析方法は,礫と石器のファブリック解析,遺物サイズの空間分布,石器の表面状態である.その結果,遺跡から出土した礫と石器では,異なる傾向が現れた.礫は,流水などの複合的様相を受けて堆積していることがみられた.一方石器は,少なくとも14mm以上の分析対象に関しては流水の作用は受けているものの,遺棄・廃棄された位置を大きく変えるような再移動は認められなかった.
  • 西内 李佳, 百原 新, 遠藤 邦彦, 大里 重人, 沖津 進
    2015 年 54 巻 4 号 p. 185-201
    発行日: 2015/08/01
    公開日: 2015/09/25
    ジャーナル フリー
    宇都宮市北部中里の丘陵の埋積谷中の堆積物(約20,300〜16,600calBP)に含まれる花粉化石と大型植物化石から,最終氷期最寒冷期(LGM)〜晩氷期初期の古植生を復元した.当時の調査地付近の丘陵には,トウヒやコメツガ,シラビソ,ダケカンバといった現在の本州中部の亜高山帯針葉樹林の優占種に,温帯性落葉広葉樹のオオモミジ,イタヤカエデ,サクラ属が混じって生育していた.約18,800calBP以降,LGMの終了と共にマツ科針葉樹が減少し,落葉広葉樹のカバノキ属,クマシデ属-アサダ属,ニレ属-ケヤキ属,カエデ属,シナノキ属が増加した.関東地方とその周辺のLGMの化石群の組成と標高・立地環境の関係に基づくと,現在の亜高山帯針葉樹林の優占種から主に構成される中里の化石群は,丘陵から山地域の森林の種組成を反映している.一方,LGMの化石群で産出頻度の高いトウヒ属バラモミ節,カラマツ属,チョウセンゴヨウは,低地の湿地林とその周辺で落葉広葉樹と混交していた.
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