第四紀研究
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57 巻, 6 号
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領域1 「気候変動及び海洋の諸プロセス」 シンポジウム特集号
論説
  • 丸山 誠史, 竹村 恵二, 平田 岳史, 岩野 英樹, 山下 透, 檀原 徹
    2018 年 57 巻 6 号 p. 211-227
    発行日: 2018/12/01
    公開日: 2019/01/12
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    J-STAGE Data

    紀の川流域に沿って分布する,菖蒲谷層群から採取されたテフラ試料に含まれる火山ガラスの58元素の濃度を,レーザーアブレーションICP-MS法(LA-ICP-MS)を用いて測定した.また菖蒲谷層群の根来断層から採取された菩提峠火山灰層試料の年代を,LA-ICP-MSによるウラン・鉛年代法と組み合わされたフィッショントラック(FT)法を用いて推定した.五條4および菖蒲谷1火山灰層試料の多元素濃度パターンは,それぞれ猪牟田ピンクと恵比寿峠-福田テフラのものと概ね一致した.菩提峠および新池火山灰層試料の多元素濃度パターンは,姶良Tn(AT)テフラのものと似通っていた.しかし,ウラン・鉛法およびFT法によって見積もられた菩提峠試料の年代は1.6~1.3Maであり,ATテフラよりも大幅に古い年代であった.層序関係からは,新池火山灰層もATテフラより古い年代を持つことが推定された.しかし元素パターンに加えて,火山ガラスが完全に水和していない事や,ガラスと共存する頑火輝石の屈折率から,新池テフラ試料は菖蒲谷層群を覆う,より若い地層に由来するATテフラそのものである事が推定された.長屋川テフラの多元素濃度パターンは,ATよりも鬼界アカホヤ(K-Ah)テフラに,部分的に似通ったものだった.

短報
  • 佐野 勝宏, 工藤 雄一郎, 鯵本 眞友美
    2018 年 57 巻 6 号 p. 229-237
    発行日: 2018/12/01
    公開日: 2019/01/12
    ジャーナル フリー

    本稿では,鳥浜貝塚から出土した有溝砥石の年代と機能を知るため,同一層準から出土した種実遺体の14C年代測定と有溝砥石の形態測定学的分析を行った.オニグルミ内果皮の年代測定の結果,12,030~11,400calBPの年代が得られ,鳥浜貝塚の有溝砥石が更新世から完新世へ移行する時期に残されたことがわかった.また,有溝砥石の三次元スキャンデータを解析したところ,溝の形状が極めて均一であることがわかった.このような均一な溝は,棒状のものを研磨する時にしか形成されない.したがって,鳥浜貝塚出土有溝砥石も,矢柄のような棒状のものを研磨するために使用された可能性が高いことが予想された.

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