第四紀研究
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48 巻 , 4 号
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論説
  • 近藤 玲介, 塚本 すみ子
    2009 年 48 巻 4 号 p. 243-254
    発行日: 2009/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    北海道北部に位置する利尻火山は,山麓部が新期および古期火山麓扇状地に覆われるが,古期火山麓扇状地の堆積要因や形成年代には不明な点が多い.本研究では,古期火山麓扇状地面が最も広く発達する利尻火山西部において,扇状地堆積物を記載するとともに形成年代を推定した.利尻火山西部の扇状地堆積物は上部と下部の2ユニットに大別され,上部ユニットには複数の層準にレスおよびその再堆積物が挟まれる.これらの層準から試料を採取し,石英微粒子法によるOSL年代測定を行った.この結果と層相の特徴を総合すると,古期火山麓扇状地の下部ユニットは,沓形溶岩流の噴出後から約22 kaまでの間に,沓形溶岩流噴出に伴う不安定斜面形成の影響を受けながら急速に堆積した.そして,上部ユニットは約22 kaから完新世初頭まで,すなわち最終氷期極相期以降の寒冷な気候環境の影響を受けて断続的に堆積し,扇状地を形成したことが明らかとなった.これらのことから,古期火山麓扇状地の地形発達は,利尻火山の活動と気候環境が複合的にかかわりあった結果であることを示す.
  • 谷川 晃一朗
    2009 年 48 巻 4 号 p. 255-270
    発行日: 2009/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    兵庫県円山川下流域(豊岡盆地)における沖積層層序,海水準変動および海岸線の変化を復元するために,ボーリングコア試料の地質層序データの解析と,コア堆積物試料のイオウ含有量,火山灰,珪藻化石および貝化石の分析,14C年代測定を行った.円山川下流域の沖積層は,下位から下部砂礫層(LG),下部砂泥層(LS),中部泥層(MM),上部砂層(US),最上部泥層(UM)に区分することができ,海成層と考えられる中部泥層が豊岡盆地全域にわたり分布している.鬱陵隠岐火山灰(U-Oki)が降下した約10,700 cal BPには,相対的海水準は標高約-30 mにあった.そして,縄文海進最盛期を示すと考えられる約6,800 cal BPには,細長い内湾が豊岡盆地の南端部に達した.しかし,日本列島で数多く報告されている完新世中期の高海面は確認されず,豊岡盆地は完新世の中頃には沈降傾向にあった可能性がある.これら本研究で得られた海面変化データに基づいて,10.7 ka, 7.9 ka, 6.8 kaにおける海岸線の位置を示した.
  • 森脇 広, 永迫 俊郎, 新井 房夫
    2009 年 48 巻 4 号 p. 271-287
    発行日: 2009/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    後期更新世以降に,顕著なテフラを噴出したとみられる口永良部島を含むトカラ列島(口之島,中之島,諏訪之瀬島,悪石島)のテフラの基本層序と分布を明らかにし,鬼界アカホヤテフラ,姶良Tn火山灰との層序関係から,トカラ列島全体のテフラ編年上の特徴を考察した.トカラ列島の諸火山では,鬼界アカホヤテフラの噴火以降の時期には軽石噴火がなく,鬼界カルデラから北方の諸火山における同時期のテフラ噴火と明らかな違いがある.口永良部島,口之島,悪石島において認められた大規模な降下軽石層について,周辺域での対比・同定の基礎資料とするため,火山ガラスの主要な化学組成を測定した.それぞれのテフラは特徴的な化学組成を示し,識別が可能である.特に,口永良部島の野池-湯向テフラは,火山ガラスの化学組成の値が他のテフラに比べ広く分散する.
短報
  • 渥美 晋, 米田 穣, 柴田 康行, 保倉 明子, 中井 泉
    2009 年 48 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 2009/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    地球科学や考古学の分野では,酸—塩基—酸(Acid-Base-Acid : ABA)前処理法で洗浄された炭化物が 14C年代測定用試料として広く用いられている.しかし,この前処理法は必ずしも客観的かつ独立的な検証に基づくものではなく,塩基溶液洗浄時の処理終了は目視にて判断されてきた.本研究では,実際の考古試料の 14C年代測定において,塩基溶液による抽出段階でのNaOH溶液に対する目視による色調と実際の有機物抽出の様子,その年代値への影響について新たな独立の化学的指標である三次元蛍光分析によって検証することを試みた.その結果,目視により塩基溶液処理終了と判断した後も,三次元蛍光分析結果では腐植物質が観察され,年代測定結果もこれを裏づけた.すなわち,目視による塩基溶液洗浄処理終了の判断は,不十分である可能性が示唆された.
  • 下岡 順直, 長友 恒人, 小畑 直也
    2009 年 48 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 2009/08/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    中部日本から東日本にかけて広域に分布する御岳第一テフラ(On-Pm1)の噴出年代は,他の広域テフラの噴出年代を推定する上できわめて重要である.今回,熱ルミネッセンス(TL)法を用いて,長野県駒ヶ根市の露頭で採取したOn-Pm1の年代測定を行った.75~150 μmの石英を測定試料として,100±18 kaのTL年代が得られた.これは,従来フィッション・トラック(FT)法や238U-230Th法,カリウム-アルゴン(K-Ar)法によって得られたOn-Pm1の数値年代より古く,約100 kaとする最近の推定年代を支持するものである.年間線量評価の精度を上げて,複数の地点で測定することによってOn-Pm1の正確な数値年代を追求することが,第四紀テフラ編年,特に中部日本から東日本におけるテフラ編年において重要である.
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