第四紀研究
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38 巻 , 4 号
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  • 横山 卓雄
    1999 年 38 巻 4 号 p. 271-286
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    A.D.79年のヴェスヴィオ火山噴火による噴出物は2つの基本的な要素に区分できる.ポンペイ降下軽石層,ポンペイ・サージ層の2つである.ポンペイ降下軽石層は主として降下軽石からなり,ポンペイ・サージ層は火砕流堆積物,土石流堆積物,降下火山灰層などを含んでいる.火砕流は,少なくとも6回古代都市ポンペイに来襲した.それらの堆積物をPS-1~PS-6と名付けた.また,2層の土石流堆積物(PD-1とPD-2)がみられる.
    家の壁を倒したり,壁・瓦などの破片といった家屋材の大きい塊を含んでいたりすることからみて,最も力の強かったのはPD-2土石流堆積物である.PS-3をもたらした火砕流もまた人間の頭蓋骨や,やや大きい木を切っているので強力であった.
    A.D.79年のヴェスヴィオ火山の活動で噴出したポンペイ降下軽石は30~40分間で降下した.ヴェスヴィオ噴火からの火山噴出物によって,多数の建物や塔は完全に埋没したわけではないこと,噴火直後地表面には人工物の破壊された跡がまだみえる状態で残っていたということが想像される.
    ヴェスヴィオ噴火の火山活動と火山噴出物の堆積のタイム・テーブルの素案が提唱された.
  • 奥田 昌明, 安田 喜憲, 瀬戸口 烈司
    1999 年 38 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    ギリシャ南島部コパイ湖の最終氷期に多産するキク亜科化石花粉について詳細な研究を行った結果,おもにMatricaria型およびCentaureaから構成されていることが明らかとなった.この組成は,トルコのアナトリア高原南西部から報告されている後氷期の花粉組成ときわめてよく似ている.このことは,トルコの高原地帯における完新世の植生が,ギリシャ南部海岸低地における最終氷期植生の相似型となりうる可能性を示している.
  • 紀藤 典夫, 瀧本 文生
    1999 年 38 巻 4 号 p. 297-311
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    北海道南西部八雲町において,完新世のブナFagus crenataの個体群の成長過程および移動速度について,花粉分析により研究した.ブナは,八雲町には約3,400年前にコナラ属Quercusを主とする森林に侵入し,その個体群は約1,700年後には飽和に達して安定した.コナラ属は,ブナの侵入の初期に著しく減少し,ブナ個体群成長期には漸減してブナ飽和期に低い状態で安定した.ブナの個体群がロジスティック成長すると仮定した場合の内的自然増加率は0.0031で,本州中部・東北地方から知られる増加率と良い一致を示す.初期の増加率から得られる倍加年数は,約230年である.各地におけるブナの到達年代と本研究により得られた到達年代から求めた北海道南西部におけるブナの移動速度は20m/yr前後であり,本州北部や北アメリカ・ヨーロッパで知られるブナ属の移動速度(100~300m/yr)に比べて著しく遅い速度である.内的自然増加率が等しいにもかかわらず移動速度が異なるのは,本州北部におけるブナ林の形成がすでに存在していた個体群を核として進行したのに対し,北海道南西部においては種子散布によって進行したことによる可能性が高い.北海道南西部における遅い移動速度は,おもにすでに森林を形成していたコナラ属等と競合し,森林の樹種を交代するのに時間を要したためと考えられる.
  • 桑原 拓一郎, 菊地 隆男, 鈴木 毅彦, 清永 丈太
    1999 年 38 巻 4 号 p. 313-326
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    第四紀の隆起運動が著しい房総半島の夷隅川下流域で,酸素同位体ステージ3(24~57ka)に河口付近で形成された段丘面が,少なくとも3面存在することが明らかとなった.これらのうち最低位の吉附面は,段丘面がほぼ水平で,砂泥質の谷埋堆積物をともなう.さらに,テフラとの層位関係,段丘構成層の14C年代測定結果から,吉附面は30ka頃の海進による海成段丘であることが示唆された.さらに花粉分析の結果,予想される当時の環境と矛盾しなかった.Shackleton(1987)の古海面変動曲線のうち,28~29kaの海進のピークに吉附面が,37~40kaと44kaのピークに他の2面が順次形成されたと認定した.さらに酸素同位体ステージ(MIS)5e(125ka)とMIS 1(6ka)の段丘面から得た隆起速度から,125ka以降の隆起速度が2.1m/kaで一定であったと仮定して推定された古海面高度は,それぞれ-29~-31m,-28~-34m,-22mとなった.これらの値は,最近修正されたパプアニューギニアのヒュオン半島の珊瑚礁段丘から得られた値(たとえばChappell et al.,1996)とは調和しない.
  • 小林 淳
    1999 年 38 巻 4 号 p. 327-343
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    箱根火山周辺域に分布する箱根火山起源テフラ(降下軽石,火砕流堆積物)と富士火山起源テフラ,および広域テフラの層序関係を確立し,箱根火山中央火口丘の噴火活動史・火山体形成史を明らかにした.中央火口丘期の噴火活動は,新期カルデラ内に先神山(pre-Kamiyama)が形成されることにより始まった(約50ka).先神山の噴火活動は,最初,噴煙柱を形成しながら軽石を噴出していたが,徐々に軽石よりも類質岩片を多く噴出するようになり,最終的には先神山の一部が崩壊した(早川泥流CC2:約37,38ka).先神山崩壊後は,粘性の高い溶岩の大規模な流出に伴って,火砕流(block and ash flow)を頻繁に流下させながら溶岩ドームを形成する噴火様式に変化し,神山を中心とした中央火口丘群が次々と形成された.これらの結果から得られた噴出量階段図より,最近11万年間のマグマ噴出率は7.6×1011kg/kyと求められる.しかし,詳細に見ると,この噴出率は段階的に減少傾向を示していることが明らかになった.
  • 中村 有吾, 平川 一臣
    1999 年 38 巻 4 号 p. 345-348
    発行日: 1999/08/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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