第四紀研究
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51 巻 , 3 号
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2010年度日本第四紀学会賞受賞記念論文
  • 岡田 篤正
    2012 年 51 巻 3 号 p. 131-150
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    中央構造線(活)断層帯の右横ずれ断層運動,変位地形,変位速度など,1970年代の調査成果について,まず紹介した.トレンチ掘削調査による活動履歴や断層構造の解明が1980年頃からはじまり,やがて1回の変位量や最新活動時期などの究明が1990年代後半頃に行われた.こうした調査で得られた成果やその手法改善について述べた.1990年代に行われた詳細活断層図,地方自治体による活断層の総合的調査,さらに反射法地震探査について概略を紹介した.各種の調査から判明してきた断層運動の性質と履歴,四国域での最新活動時期(16世紀)と関連した歴史地震,これらに関与したと思われる活断層群(六甲・淡路島断層帯や有馬-高槻断層帯)の連動的な活動を指摘した.こうした経過で得られてきた諸成果をまとめた地震調査研究推進本部地震調査委員会(2003, 2011)による大地震の長期評価も紹介し,残された課題や展望について述べた.
  • 多田 隆治
    2012 年 51 巻 3 号 p. 151-164
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    1989年のODP日本海掘削は,日本海第四紀堆積物が数百~数千年スケールで繰り返す明暗互層によって特徴づけられ,何らかの過程を通じて半球規模の急激な気候変動と連動していることを示した.その後の研究は,明暗互層堆積の制御要因が対馬海峡を通じた栄養塩フラックス変動であり,それは南中国における夏季モンスーン降水変動を反映していることを明らかにした.日本海堆積物中の風成塵供給源変動の研究は,明暗互層に対応して供給源がタクラマカン砂漠とゴビ砂漠間で変動し,亜熱帯偏西風ジェット軸の南北振動を反映することを示した.これは,東アジア夏季モンスーンが偏西風ジェットを通じて北大西洋の気候とリンクしていることを示唆する.日本海堆積物は,こうした変動がいつ始まり,時代とともにどのように変化してきたかを記録している.2013年夏にはIODP日本海再掘削が計画されており,急激な気候変動の究極原因や増幅,伝播メカニズムが解明されると期待される.
2011年度日本第四紀学会賞受賞記念論文
  • 成瀬 洋
    2012 年 51 巻 3 号 p. 165-174
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    1940年代から半世紀の個人研究史を回顧した.房総南端の鮮新統・更新統の地質と堆積環境の復元の研究からはじめて,南関東の海岸段丘の調査をし,完新世における地震隆起と氷河性海面変化との分離を行った.1950年代には関東ローム研究グループに属し,関東ローム層の区分,南北関東ローム層の対比,全域の火山灰編年,およびヨーロッパの氷河編年との対比を行った.1960年代前半は,東京湾臨海地域の海成沖積層と基盤地形を研究し,最終氷期末以降の海面変化と低地の発達史をまとめた.同じ頃発足した第四紀地殻変動研究グループの一員として,日本列島の第四紀隆起沈降量図の作成に関わった.1970年代の活断層研究会では,写真判読による活断層図の作成とカタログづくりを分担した.最後に,日本のおもな第四紀構造盆地について,変動速度の面から造盆地運動の地域特性を調べ,鮮新世以降の盆地の形成,発達史と島弧のテクトニクスとの関連を述べた.
論説
  • 五十嵐 八枝子, 成瀬 敏郎, 矢田貝 真一, 檀原 徹
    2012 年 51 巻 3 号 p. 175-191
    発行日: 2012/06/01
    公開日: 2013/06/12
    ジャーナル フリー
    北部北海道に位置する剣淵盆地のSite 2から採取したコアの花粉分析,AMS 14C年代測定とテフラの同定により,酸素同位体ステージ(MIS)7以降の植生と気候の変遷史を明らかにした.古気候は,サハリンの表層花粉組成と各花粉帯の花粉組成,および気象資料の比較により復元した.上位9帯は年代値からみてMIS 1~MIS 3に相当する.Toya火山灰を含む花粉帯はMIS 5dに,それより下位の温暖~冷涼~温暖と気候の変動した3花粉帯はMIS 5eに対比した.コア最下部は,堆積速度と気候変動パターンからみてMIS 7に達する.氷期から間氷期への移行期であるMIS 6/5eとMIS 2/1を比較した.MIS 7後半からMIS 6に向けて寒冷化したが,MIS 6末期にやや緩和した後MIS 5eに移行した.他方,MIS 2からMIS 1への移行は急激で,厳しい寒冷気候から急激に温暖気候へ変化した.MIS 1初期に明瞭な冷涼期を介在する点はMIS 5eと共通する.
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