北部北海道に位置する剣淵盆地のSite 2から採取したコアの花粉分析,AMS
14C年代測定とテフラの同定により,酸素同位体ステージ(MIS)7以降の植生と気候の変遷史を明らかにした.古気候は,サハリンの表層花粉組成と各花粉帯の花粉組成,および気象資料の比較により復元した.上位9帯は年代値からみてMIS 1~MIS 3に相当する.Toya火山灰を含む花粉帯はMIS 5dに,それより下位の温暖~冷涼~温暖と気候の変動した3花粉帯はMIS 5eに対比した.コア最下部は,堆積速度と気候変動パターンからみてMIS 7に達する.氷期から間氷期への移行期であるMIS 6/5eとMIS 2/1を比較した.MIS 7後半からMIS 6に向けて寒冷化したが,MIS 6末期にやや緩和した後MIS 5eに移行した.他方,MIS 2からMIS 1への移行は急激で,厳しい寒冷気候から急激に温暖気候へ変化した.MIS 1初期に明瞭な冷涼期を介在する点はMIS 5eと共通する.
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