第四紀研究
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37 巻 , 2 号
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  • 菅 香世子
    1998 年 37 巻 2 号 p. 59-75
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    伊豆・小笠原弧北部の火山フロントに位置する八丈島火山群は,活動年代が異なる複数の小型成層火山の複合体である.入丈島火山群を構成する各火山の原形と生成順序は,それらの地質と火山地形から推定することができる.八丈島火山群の火山は,安山岩を主体とする火山と,玄武岩を主体とする火山とに分けられ,後者でも活動の後期には安山岩あるいはデイサイトマグマが活動することがある.このため,八丈島火山群では安山岩の産出頻度が高い.また,最近の10数万年間だけでも7~8個の小型成層火山が生成されてきた八丈島火山群は,マグマの上昇径路となる開口割れ目が比較的生じやすい条件下にあるといえる.八丈島火山群は,伊豆・小笠原弧北端部と本州弧との衝突に起因するNW-SE方向の圧縮の影響を多少は受けているものの,基本的には伊豆・小笠原弧で卓越する伸張のテクトニクストの下に置かれていると考えられる.
  • グエン ラップバン, 立石 雅昭, 小林 巌雄
    1998 年 37 巻 2 号 p. 77-94
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    佐渡島加茂湖の湖心部から採取された約54mのボーリングコア(KM-11)について,粒度,全有機炭素(TOC),全イオウ(TS),全窒素(TN),炭酸カルシウム(CaCO3)含有量を分析し,ケイソウ化石群集組成とあわせて,後期更新世から完新世にかけての堆積環境の変遷を検討した.その結果,ケイソウ化石群集組成によるユニット区分と対応した化学組成の系統的変化が確認された.後期更新世の河川性堆積物は高TOC,低TS,低CaCO3であり,有機物は主として陸源である.コアの深さ38.5mに更新世と完新世の境界が推定される.海進の初期には高TOC,高TSに変化するとともに,海起源の有機物が増加する.海進の後期には低TOC,高TSへと変化し,海起源の有機物の割合が高い.およそ6,500~5,000年前の最大海進時の砂州形成後,海水準の変動に対応して,TOC,TS,TN,CaCO3は周期的に変動する.高TOCと高TSは葉理構造の発達した砂質シルト堆積時に見ら礼低TOCは均質(塊状)な堆積時に見られる.
  • 鈴木 毅彦, 藤原 治, 檀原 徹
    1998 年 37 巻 2 号 p. 95-106
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    栃木県北部から福島県南部にかけては第四紀テフラが多数分布する.しかし,放射年代値が報告されたテフラは少ない.また従来報告されたフィッション・トラック(FT)年代値についても,現在となってはその測定方法に問題がある.本研究では,IUGSからのFT年代測定法に関する年代較正の勧告に従ってゼータ較正法を用い,本地域の第四紀テフラ11枚についてジルコンによるFT年代測定を行った.測定結果は,上位のテフラから順に,芝原テフラ(SB):110±20ka,田頭テフラ(TG):160±20ka,APm-U:130±30ka,黒田原テフラ(KdP):200±30ka,根本13テフラ(Nm-13):290±60ka,根本14テフラ(Nm-14):290±30ka,根本16テフラ(Nm-16):290±70ka,鶴ヶ池黄色テフラ(TyP):160±70ka,法師峠黒雲母テフラ(HtB):660±40ka,西郷火砕流堆積物(NSG):790±160ka,隈戸火砕流堆積物(KMD):1,400±200kaとなる.このうちSB,TG,KdP,Nm-14,HtBに対しては,100粒以上のジルコン結晶を用いた高精度FT年代測定を行った.
    TyPを除き年代値の誤差を考慮すれば,上位のものほど若い値が得られた.また,従来報告されたFT年代値と比べて若い値が得られ,鈴木(1993)が推定した年代値よりも全体として若くなる.今回の年代値を採用すると,テフラ間にはさまれる火山灰土の堆積速度はより等速に近くなる.また,河成段丘については,従来認定されなかった海洋酸素同位体比ステージ6頃の気候段丘を新たに認定できる可能性がでてきた.一方で,中期更新世の広域テフラ,大町APmテフラ群に対比されていたAPm-Uの対比を再検討する必要が生じた.
  • 竹部 嘉一, 成瀬 敏郎
    1998 年 37 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    鹿児島県の吹上浜砂丘地と志布志砂丘地に発達する数列の砂丘のうち,石英などが多い砂丘と火山ガラス+軽石からなるシラス砂が多い砂丘とがある.吹上浜砂丘地では,5,200~1,000年前までに形成された砂丘Iと砂丘IIはシラス砂が少ないのに対して,江戸中期から明治初期にかけて形成された砂丘IIIと砂丘IVにはシラス砂が多く含まれている.志布志砂丘地では,江戸中期までに形成された砂丘I,II,IIIにはシラス砂が少ないが,江戸後期~明治初期に形成された砂丘IVや昭和期に形成された砂丘Vにはシラス砂が多く含まれる.このような砂丘砂の組成変化は,上流域に広がるシラス台地の開発が土壌侵食を加速させ,シラス台地の崖脚部に設けられた用水路が台地斜面のガリー侵食を増加させるなど,近世以降の人為的地形改変によってシラス砂が大量に海岸にもたらされた結果である.シラス砂を多く含む砂丘の形成期が両地域で異なるのは,薩摩地域と大隅地域におけるシラス台地の開発時期の違いを反映している.
  • 林 成多
    1998 年 37 巻 2 号 p. 117-129
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    長野県北佐久郡北御牧村の下部更新統の大杭層から多くの甲虫化石が得られた.これらの化石はオサムシ科ゲンゴロウ科,ガムシ科,ハムシ科のネクイハムシ亜科などの地表性・水生甲虫により構成される.地表性甲虫の化石には,セスジアカガネオサムシ(Hemicarabus maeander),マークオサムシ(Apotomopterus maacki),クマガイクロアオゴミムシ(Chlaenius gebleri)の3種が含まれていた.
    セスジアカガネオサムシは,現在では化石産地を含む本州には分布しておらず,北海道,済州島,サハリン,中国東北部,シベリア東部,北アメリカに分布する.この化石の発見と現在の分布は,この種のかつて広く連続した分布域が不連続になり,前期更新世以降に本州から絶滅したことを示している.したがって,この種は更新世における本州の地理的レリックであると考えられる.さらに,セスジアカガネオサムシ,マークオサムシ,クマガイクロアオゴミムシの3種について,現在の分布と化石記録から,日本列島への進入経路と時期について考察した.また,大杭層産の化石を含む更新世の化石記録は,日本列島におけるオサムシ亜科の現生種が前期更新世以前に遡ることを示している.
    甲虫化石に基づく上部大杭層の古環境は,止水域を伴うヨシの生える低層湿原であったと推定される.これらの甲虫群集,とりわけセスジアカガネオサムシとクマガイクロアオゴミムシを含むことは,上部大杭層の堆積した時期に北海道で見られるような低層湿原が存在したことを示している.
  • 北村 晃寿, 東野 外志男, 中橋 雅彦, 小川 義厚, 吉田 智洋, 阿部 和生
    1998 年 37 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    加賀平野下のボーリングコアから発見された火山灰層は,その年代が約8,800~8,270年前であると推定される.火山ガラスの屈折率・鉱物組み合わせ・年代に基づくと,この火山灰層に一致する広域テフラは報告されていない.一方,加賀平野の南約50kmに位置する白山火山には,ほぼ同時代に噴出した弥陀ヶ原火山灰層が存在し,その重鉱物組成は発見された火山灰層とよく一致する.よって,この火山灰層は弥陀ヶ原火山灰層に対比される可能性が高い.
  • 第16期第四紀研究連絡委員会
    1998 年 37 巻 2 号 p. 139-152
    発行日: 1998/05/31
    公開日: 2009/08/21
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