第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642
48 巻 , 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
2008年度日本第四紀学会学会賞受賞記念論文
論説
  • 川村 教一
    2009 年 48 巻 6 号 p. 379-394
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    松山平野の西部を中心に,ボーリング試料などの詳細な観察と,貝類化石,火山灰の記載を行い,この地域の更新統および完新統の形成過程を検討した.研究地域における更新統・完新統は,下位から順に三津浜層,重信川層,松山層(三津泥部層,三津砂部層,松前砂礫部層,松前泥部層)に区分される.平野地下からは,大可賀火山灰層,伊予1火山灰層,伊予2火山灰層,伊予3火山灰層,西垣生火山灰層が見つかった.これらの火山灰層は,順に誓願寺栂火山灰,鬼界原火山灰,阿蘇4火山灰,姶良Tn火山灰,鬼界アカホヤ火山灰と対比される.
    松山平野西部における地層形成について,三津浜層最上部は620 ka頃に,その上位の重信川層は26 ka頃までに形成された.完新統の形成は,以下のように考えられる.完新世前期~中期に三津泥部層が,完新世中期以降に三津砂部層が,それぞれ浅海底で堆積した.その後,河口ないし氾濫原堆積物として松前砂礫部層が堆積した.内陸側では,松前泥部層が後背湿地に堆積した.
  • 小林 真生子, 百原 新, 岡崎 浩子, 岡本 東三, 柳澤 清一
    2009 年 48 巻 6 号 p. 395-404
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    千葉県館山市の沖ノ島遺跡から,前期完新世の保存状態のよいタブノキの花や果実といった生殖器官の化石を含む大型植物化石密集層が見つかった.この密集層は,遺跡放棄後,洪水などのイベント堆積物中に狭在している.この完新世のタブノキの花や果実を含む大型植物化石群が堆積した季節を推定するために,現在のリター層中でタブノキの生殖器官の落下時期や季節による形態変化,分解過程を観察した.タブノキの花や果実は,地面に落下した後は分解されやすく,特に,果実は落下後時間が経つほど花被や果実が破損したり,虫に喰われたりする傾向があった.また,時期により地表で観察される果実のサイズは異なっていた.沖ノ島遺跡から出土したタブノキの果実化石は,花被や果実に破損がなく,最大サイズが約5 mmであったため,この堆積物は5月下旬から6月中旬に堆積したと考えられた.化石群が堆積した層は砂層と泥層の互層であり,この化石群はこの時期に発生した洪水によって堆積したと考えられた.このように,短期間に堆積したイベント堆積物の季節推定には,生殖器官の化石の検討が有効であることが明らかになった.
  • 桑原 拓一郎
    2009 年 48 巻 6 号 p. 405-416
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    青森県上北平野で掘削された中期更新世後半以降のテフラ-土壌累積層の植物珪酸体群集は,氷期-間氷期サイクルに対応する.ボーリングコア2本のテフラ-土壌累積層から得られた植物珪酸体群集に対して,タケ亜科珪酸体群集の出現率の変動に注目して,下位より群集帯A~Hを設定した.群集帯A, C, E, Hは,メダケ属珪酸体が優勢もしくはササ属珪酸体が劣勢であり,相対的な温暖期を示す.群集帯B, D, F, Gは,メダケ属珪酸体が劣勢もしくはササ属珪酸体が優勢であり,相対的な寒冷期を示す.群集帯A~Hは,112~115 kaの洞爺テフラの層準を基準にして海洋酸素同位体ステージ(MIS 1,2……)に当てはめると,MIS 1~9の時代に相当する.上北平野の七百~三本木段丘は,テフラとの層位関係から群集帯A~Hと対応する.群集帯A~Hと海洋酸素同位体ステージとの対応に基づくと,MIS 9以降の段丘群と考えられる.
  • 吉田 明弘, 竹内 貞子
    2009 年 48 巻 6 号 p. 417-426
    発行日: 2009/12/01
    公開日: 2012/03/27
    ジャーナル フリー
    秋田県八郎潟におけるコア試料の花粉組成と14C年代測定から,最終氷期末期以降の植生変遷と気候変化を明らかにした.八郎潟周辺では,約12,000年前には冷温帯性落葉広葉樹と亜高山帯性針葉樹の混交林が分布し,その後コナラ亜属やブナ属を主とする落葉広葉樹林となり,約3,000~2,000年前以降からスギ属が急増した. この結果に基づき, 東北地方北部の北緯40度付近の局地花粉帯の対比を行い,この地域における最終氷期以降の森林植生の時空間的な変遷を考察した.15,000年前には,冷涼な気候下でカバノキ属と亜寒帯性針葉樹の混交林が広く分布していた.12,000~10,000年前にかけて,気候の温暖化に伴って低標高部を中心に冷温帯性落葉広葉樹が分布拡大を開始し,9,000~8,000年前までには高標高部まで冷温帯性落葉広葉樹林が広がった.この時期のコナラ亜属やブナ属の急速な拡大は,東北地方南部と同様に,最終氷期中にこれらのレフュージアが存在した可能性を強く示唆する.3,000~2,000年前から日本海側の低標高部では,最終氷期に残存していた小林分を分布の核として,スギが急激に増加した.その後,高標高部では2,000年前から亜高山帯性針葉樹林が成立した.
feedback
Top