第四紀研究
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57 巻, 3 号
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2016年日本第四紀学会学術賞受賞記念論文
  • 水野 清秀
    2018 年 57 巻 3 号 p. 85-95
    発行日: 2018/06/01
    公開日: 2018/06/15
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    鮮新-更新世堆積盆地の形成や消滅は,広域的な構造運動を反映しており,その地層の正確な分布,層序,地質構造の調査によって実態を明らかにできるが,時間のかかる地道な作業である.著者は,活構造図や地質図幅の作成,活断層調査事業などと関連させながら,西南日本に分布する鮮新-更新統の調査を進めてきた.周辺地域へ調査範囲を広げていくことによって,古地理復元における新たな課題や共通した時代的制約がみえてくる.中央構造線に沿った鮮新-更新世堆積盆地の形成史では,堆積盆地の形成が断層運動と密接にかかわっていることが示唆される.さらに広範囲に西日本内陸域に分布する堆積盆地の形成史をみると,100万年程度の時間スケールで,その形成や停止が行われていることがわかる.現在形成されつつある堆積盆地のひとつに瀬戸内海があるが,その研究にはボーリング調査が重要になり,露頭調査だけでは解決できない難しさがある.精度の高い地層対比や地質構造の把握には,鍵層あるいは時間指示層となる広域テフラの存在が大きい.テフラの対比は,単に離れた地域間だけではなくて,隣接地域間においても,岩石学的特徴などに基づいて正確に行うことが必要である.

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