第四紀研究
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42 巻 , 6 号
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  • 藤岡 導明, 小竹 信宏
    2003 年 42 巻 6 号 p. 375-387
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    房総半島南端地域に分布する下部更新統豊房層群加茂層の詳細な地質年代を明らかにするため,加茂層中のテフラと,房総半島中央部に分布する上総層群中のテフラとの対比を行った.火山ガラスの形態および重鉱物組成を検討し,火山ガラスあるいは主要重鉱物の化学組成を分析した結果,加茂層中の6枚のテフラは,上総層群に挾在する以下のテフラにそれぞれ対比されることが判明した.すなわち,加茂層下部のテフラ鍵層Ny7と大田代層上部のテフラ鍵層O7,加茂層上部のテフラ鍵層Ny4JおよびNy4Bと梅ヶ瀬層中部のテフラ鍵層U8およびU7,加茂層上部のテフラ鍵層Ny3D,Ny3BおよびNy3Aと梅ヶ瀬層中部のテフラ鍵層U6D,U6BおよびU6Aという組み合わせである.上述したテフラの対比結果は,豊房層群加茂層が上総層群の大田代層上部~梅ヶ瀬層に相当することを示している.また,これまで年代が不明であった加茂層下部に認められていた正磁極帯は,マツヤマクロン中のハラミロサブクロンであることが判明した.
  • 藤原 治, 鎌滝 孝信, 布施 圭介
    2003 年 42 巻 6 号 p. 389-412
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    房総半島南部の溺れ谷に堆積した完新世の内湾性のシルト層には,基底に侵食面を持ち,上方へ細粒化する高密度流から堆積した砂礫層(イベント堆積物)が多数挾まれる.多くのイベント堆積物では,レンズ状の貝化石層と粘土質の地層とが細互層をなす.これは,ストームによる化石層が波の減衰過程を反映して,貝殻の集積密度が基底から上方へ低下する状況とは異なる構造で,貝殻を吹き分け集積させる振動流と,浮遊物質が沈積する流れの長い停滞期の繰り返しを示す.イベント堆積物に含まれる貝類遺骸群は保存がよく,泥底から岩礁までさまざまな底質に生息した種が混合している.これは,普段は低エネルギーの内湾周辺に生息した貝類が強い流れで剥ぎ取られ,急速に埋積されたためと考えられる.これらの混合化石群は,ストームウェーブベースより深い海底に棲む貝類の化石も含むことがあり,沖から湾奥への貝殻の運搬を示す.これらの産状と種構成は,周期が10秒前後のストーム波では説明が困難だが,周期が10分オーダーの波動の繰り返しで,かつ深い海底まで海水を動かす津波であれば形成可能である.
  • 五十嵐 八枝子, 岩花 剛, 仙頭 宣幸, 露崎 史朗, 佐藤 利幸
    2003 年 42 巻 6 号 p. 413-425
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    最終氷期の日本列島北部には,現在ロシアの北東域に分布するタイガの主構成種をなすカラマツ属が分布したことが大型遺体と花粉化石から知られる.しかし,現在の日本列島には北方系カラマツ属は分布せず,カラマツ属を含む植生と花粉組成との関係を解明することが氷期の植生を復元する際に必要である.筆者らは極東ロシアのツンドラと森林ツンドラ,北東シベリアのタイガにおいて,表層堆積物を採取して花粉群を明らかにし,植生と表層花粉の関係を調べた.東シベリア海沿岸のツンドラでは,草本花粉・胞子が平均59(39~85)%と最も高く,次いで風により飛来したPinus subgen. Haploxylonの花粉が平均24(6~48)%で産出した.コリマ河下流域の森林ツンドラでは,灌木花粉が平均56(32~73)%で最も多く産出した.しかし,ダフリアカラマツの疎林に由来するLarix花粉は平均21(15~26)%であった.レナ川中流域のタイガでは,高木の産出率が65~95%と増加する.その中でLarix花粉は平均20(1~45)%であった.比較的近距離に分布するヨーロッパアカマツ林から飛来したと考えられるPinus subgen. Diploxylon花粉が平均40(22~64)%で混入した.Larix花粉とSalix花粉は母樹の被度に対して花粉の産出率が低く,植生を過少に反映する.
  • 蔡 保全, 高橋 啓一
    2003 年 42 巻 6 号 p. 427-439
    発行日: 2003/12/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    台湾,チベットを除く中国南部(99°~122°E,21°~32°)の後期旧石器時代(40,000~9,000年前)における文化と環境の関係について,従来の研究をまとめた.
    石器などの文化遺物に基づいて,この時代の中国南部は5つの文化地域に分けることができる.それらは,雲南-貴州高原地域(Yunnan-Guizhou Plateau Region),西四川高原地域(West Sichuan Plateau Region),四川盆地-長江南部丘陵地域(Sichuan Basin-the Hilly Regions south of the Yangtze River),長江の中・下流平野部(The Plain of the Middle and Lower Reaches of the Yangtze River),五嶺南部地域(the Area south of Wuling)である.一方,この地域の中~後期更新世の地層からは,ステゴドン-パンダ動物群が発見されているが,それらもまた地域ごとに動物種の組み合わせが異なっている.動物群集の違いは,おもに温度や湿度,緯度や高度とも関係して起こっている.
    この論文では,5つの文化地域で見られる道具の特色の違いが,動物相の違いとよく一致していることを紹介した.
    例えば,西四川高原地域は高度が高く,中国南部の中ではやや高い緯度に位置する.ここでは,ステゴドン-パンダ動物群は見られず,中国北部の動物相と北部と南部の遷移的な動物相が見られる.発見された動物種は,比較的冷涼で乾燥した草原性のものが多く見られる.この地域で見られた2万年前ごろの富林文化(Fulin Culture)では,狩猟生活を中心としており,その道具には小さなスクレイパー,尖頭器,彫刻刀などを使い,チョッピングツールを欠いていた.
    緯度的にも低く,高度も低い五嶺南部地域には,典型的なステゴドン-パンダ動物群が生息していた.亜熱帯南部の気候で,高い温度と湿度があった.35,000~26,000年以上前と18,000~9,000年前の2つの時代に分けられているが,人びとの生活は狩猟よりも採集生活が中心であったため,大形のチョッパーが重要であった.
    先にあげた2つの地域の間にある雲南-貴州高原地域では,ステゴドン-パンダ動物群の要素が45%ほど見られたが,それはこの
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