第四紀研究
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57 巻 , 4 号
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領域4 「人類と生物圏」 シンポジウム特集号-その2
  • 工藤 雄一郎
    2018 年 57 巻 4 号 p. 99-108
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    先史学と第四紀学は時代研究であり,総合科学・学際研究としての性質を有する.先史学において人類の生活の舞台となった古環境を知ることは極めて重要な課題の一つであるため,第四紀学との連携は必要不可欠である.第四紀は,かつては人類紀とも呼ばれたが,現在ではホモ属の進化の時期と第四紀がほぼ一致する.遺跡において動植物遺体の出土例が増加する完新世以降の研究では,各種自然科学分析を積極的に活用し,人類活動とその活動の舞台となった古環境を解明することを目指す環境考古学的研究が活発化している.一方で,人類が直接働きかけることのない,純粋な環境史の領域において観察される環境変化の画期となるイベントが,人類活動にどのような影響を与えたのかを解明することも必要であろう.その場合,両者の時間的対応関係を捉えることが第一に必要であり,両者を繋ぐ年代学がその解明にあたって大きな役割を担っている.

  • 那須 浩郎
    2018 年 57 巻 4 号 p. 109-126
    発行日: 2018/08/01
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル 認証あり

    本論文では遺跡から出土したダイズ,アズキ,ヒエ属の種子サイズデータを集成し,縄文時代における形態上のドメスティケーション(種子の大型化)の過程を検討した.ダイズとアズキは6,000年前頃から4,000年前頃にかけて中部高地と関東地方西部地域(諸磯・勝坂式土器文化圏)において出土数が増加し,現在の野生種よりも大型の種子が出現していた.この種子の出土数の増加と大型化は,当時の人口増加と連動していた可能性があり,この時期に形態上のドメスティケーション(種子の大型化)が始まったと考えられる.しかしながら,この時期には小型の種子も依然として見られ,大型の種子をつける品種がまだ定着していなかったか,野生種の採集も継続していた可能性がある.4,000年前以降になると中部高地からは大型種子が見られなくなり,その代わりに九州地方や西日本で見られるようになる.この時期には大型種子の品種が定着し,栽培されていた可能性が高い.ヒエ属についても,東北地方北部で6,000年前頃,北海道渡島半島で4,500年前頃に,時期は異なるものの,同じ円筒式土器文化圏で大型種子が一時的に見られる.この大型化はそれぞれの時期の人口増加と連動しており,この時期に一時的な形態上のドメスティケーションが起きていた可能性があるが,その後は10世紀まで大型種子が見られない.10世紀以降には小型の種子も少なくなることから,この頃にヒエ属の大型種子が定着したと考えられる.

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