第四紀研究
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33 巻 , 2 号
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  • 米倉 伸之, 茅根 創, 松本 英二, 石井 輝秋, 松島 義章, 堀 信行, 中井 達郎
    1994 年 33 巻 2 号 p. 67-79
    発行日: 1994/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    現成サンゴ礁の堆積構造と地表形態の発達過程を理解するために, 琉球列島与論島の現成サンゴ礁について, 地形学的観察, 潜水調査, 音響測深および多孔浅層ボーリングなどの野外調査と採集試料の堆積学的分析と放射性炭素年代測定を行なった. 現成裾礁は岸から海に向かって, 砂浜または石灰岩の海食崖, 礁池, 礁嶺, 縁溝-縁脚系, 礁斜面の順に配列し, 顕著な地形的帯状構造を示す. 現成サンゴ礁での浅層ボーリングにより採集した試料の堆積物とサンゴ化石の分析により, 現成サンゴ礁の構成物は礁嶺相, 礁舗相, 生物砕屑相, 礁池層の4つに区分される. 礁嶺相と礁舗相は現成サンゴ礁の堅固な枠組みを作り, 未固結の生物砕屑相の上に堆積している. 与論島の礁嶺は完新世中期以降における安定した海面に対応して, 海面下3m付近から海面に向かって5,260年前から3,230年前にかけて形成された. 礁嶺の背後の礁舗はこの時期に礁池に向かって幅を広げた. 3,230年前以降, 礁嶺は縁溝-縁脚系を形成しながら海側にも幅を広げた. これらの結果は与論島の現成裾礁の地形的帯状構造が最近の5,000年間に形成されてきたことを示している.
  • 澤 祥, 松島 義章, 澤 眞澄
    1994 年 33 巻 2 号 p. 81-94
    発行日: 1994/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    三浦半島平作川低地の完新世の古地理変遷を, 露頭調査・試錐資料・14C年代・貝類群集の分析をもとに明らかにした. 平作川低地下には最終氷期に形成されたV字谷状の埋没谷 (古平作谷) があり, 完新世の縄文海進に伴う海成堆積物によって埋積されている. 約9,000年前から始まった急速な海面上昇に伴い, 約6,500年前に本地域の相対的海面高度は+5mに達し, 古平作谷は河口から6km上流まで溺れ谷 (古平作湾) となり, 湾奥は干潟となった. 約5,000年前から海退に転じ, 湾奥から湾口に向かって干潟化が徐々に進み, 湾口部では砂堆が形成され, 湾の閉塞・内湾化が始まる. 約2,000年前には, 海退の進行により湾口の砂堆が成長し, 内湾は低地中流部まで後退し, そこでの干潟化が進む. 1660年まで中流部より下流は平作川現流路に沿った細長い干潟となっていたが, その後の新田開発により河口部のわずかな部分を除いて埋立てられ, 陸化した. 本地域の相対的海面変化と古地理の変遷は, 隆起量の比較的大きい南関東の小規模な溺れ谷で得られている結果とほぼ一致する.
  • 矢野 牧夫
    1994 年 33 巻 2 号 p. 95-105
    発行日: 1994/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    東北日本, 蔵王山系の馬ノ神岳に生存する日本列島北限の「カラマツ」は, わが国におけるカラマツの主要な分布地からは150kmも離れて孤立した分布をし, 絶滅寸前の状態である.
    筆者は, 馬ノ神岳において12本の「カラマツ」を確認した. それらの球果を, 中部日本に分布するカラマツと比較すると, 球果は小型であり, 種鱗は少なく, ほとんど外反しないなどの特徴がある. これらの形態的特徴はマンシュウカラマツに近く, カラマツとグイマツの中間的形態を示すものである. 最近, 馬ノ神岳に近い仙台市の富沢遺跡から最終氷期の年代を示すグイマツの遺体が大量に発見された. このことは, グイマツの分布圏がカラマツと交錯していたことを示唆するものであり, 馬ノ神岳の「カラマツ」は, 最終氷期におけるカラマツとグイマツの交雑により生じた可能性があること, あるいは, マンシュウカラマツに似た独自の分類群が残存した遺存種 (relict) である可能性があることなどを示している.
  • 下山 正一, 渡辺 一徳, 西田 民雄, 原田 大介, 鶴田 浩二, 小松 譲
    1994 年 33 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 1994/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    佐賀県三養基郡上峰町堤の八藤遺跡において, Aso-4火砕流堆積物中から3本の巨木を含む多数の樹木群が出土した. すべての樹木は, 表面あるいは全体が炭化しており, 火砕流堆積物中には炭化木から派生する「煙の化石」が随所にみられたことから, これらはAso-4火砕流によって倒され, この場で焼かれたものであることが判明した. また, 火砕流堆積物の直下には森林古土壌とともに, 多くの樹根が発見された. このような事実は, 巨大火砕流災害の具体的証拠を示すものとして重要であるばかりか, Aso-4噴出当時の森林植生を直接復元する上でも重要である. また, 巨木は表面のみが焼かれて炭化しているが, 内部の保存は良好である. 樹木の枯死年代はAso-4火砕流の噴出年代と一致するとみられ, Aso-4によりこれらの樹木の年代決定が可能である. さらに, これらの樹木は当時の古環境やAso-4火砕流の性質を知るための分析用試料として価値が高い.
  • 奥野 充, 小林 哲夫
    1994 年 33 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 1994/05/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    種子島には阿多 (Ata), 鬼界葛原 (K-Tz), 姶良Tn(AT)などの後期更新世テフラが分布する. 長岡 (1988) は, K-TzとATの間に種I火山灰, 種II軽石, 種III火山灰を記載している. 筆者らは, 種IIの上位に2枚の火山灰層を認めたので, これらを下位から種III火山灰, 種IV火山灰と呼ぶ. 種Iは橙色の細粒降下火山灰, 種IIは淡黄褐色の降下軽石であり, 両者とも種子島北部に分布する. 種III火山灰と種IV火山灰は, 黄褐色~橙色の細粒降下火山灰で, どちらも種子島全域に分布する. 噴出年代は, K-TzとATとの層位関係から, 種Iと種IIが65ka, 種IIIが45ka, 種IVが35kaと推定される. 斑晶鉱物の組合せ, 斜方輝石(γ)の屈折率および層位から, 種IIは阿多カルデラ周辺に分布する唐山スコリア (Nagaoka, 1988) に対比される.
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