第四紀研究
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53 巻 , 5 号
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「考古遺跡からみた津軽の人と自然」特集号(その2)
  • 亀井 翼, 小岩 直人, 上條 信彦
    2014 年 53 巻 5 号 p. 241-248
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    縄文時代後晩期の低湿地遺跡である中山遺跡の自然形成過程を明らかにするため,弘前大学調査地点A区の地形学的,地質学的な検討を行った.対象地点は馬場目川左岸の丘陵と段丘を開析する谷底低地に立地する.遺跡を埋積する堆積物の層序,層相および遺物のオリエンテーションから,大型の木器・木材を含む縄文時代後期後葉の遺物群は南西〜北東の古流向をもつ流路に廃棄されたものと推定される.一方,流路の上位で検出された,トチ果皮などの濃密な食料残滓を伴う遺物群は,流速の低い湿地の堆積環境で形成されたと推定される.さらに,中山遺跡A区では縄文時代晩期初頭まで遺物が認められるが,突発的なイベント堆積物と考えられる礫層の堆積以降は放棄される.後続する時期の遺物は同じ谷底低地の約40m北西に位置し,2mほど低いB区で検出されるようになる.このことから,中山遺跡に居住した縄文時代人は,谷底低地の環境変化に対応して土地利用を変化させていったと考えられる.
  • 柴 正敏
    2014 年 53 巻 5 号 p. 249-257
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    青森県で採取された縄文土器の化学組成について電子プローブマイクロアナライザーを用いて検討した.これらの土器に含まれる火山ガラスは,その化学組成により,金木凝灰岩(後期中新世),尾開山凝灰岩(鮮新世),洞爺テフラ(Toya, 後期更新世)および十和田八戸テフラ(後期更新世)に帰属される.これらの土器に含まれるガラスは一つのテフラのガラスからなることが一般的であることから,特定のテフラ層に由来するものと考えられる.今回,下北半島の不備無遺跡から出土した縄文土器から尾開山凝灰岩起源の火山ガラスが見出されたが,尾開山凝灰岩は青森県最北部の下北地域には分布しないことから,当該の土器は津軽地方で製作され,下北地域に運搬されたと考えられる.すべての縄文土器の基質部は,カオリナイトまたはハロイサイトまたはカオリナイト/スメクタイト混合層鉱物からなる.その他の粘土鉱物としては,後背地の地質の違いにより,イライト,緑泥石,イライト/スメクタイト混合層鉱物,コレンサイトがカオリン鉱物と共存する.
短報
  • 北村 晃寿, 大橋 陽子, 宮入 陽介, 横山 祐典, 山口 寿之
    2014 年 53 巻 5 号 p. 259-264
    発行日: 2014/10/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    静岡県下田市大浦湾奥の海食台で,離水した海生固着動物の遺骸が付着した巨礫を発見した.巨礫の長軸,中軸,短軸はそれぞれ3.4m, 2.5m, 2.5mで,重量は約32tと推定される.巨礫の陸側に傾いた平坦面の標高約0.7〜2.2mに遺骸が見られ,フジツボ類を主体とし,Pomatoleios kraussiiの棲管とSaccostrea kegakiなどを随伴する.それらの14C年代測定の結果,最も若い年代値(2σ)は西暦1720年〜1950年を示すことが分かった.この年代値と海生固着動物の生態および歴史記録から,巨礫は西暦1854年の安政東海地震に伴う津波によって転動した津波石と推定される.
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