第四紀研究
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44 巻 , 2 号
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  • 岩本 直哉, 川口 優美, 井内 美郎
    2005 年 44 巻 2 号 p. 79-92
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    バイカル湖で1998年に掘削されたコア(BDP 98)の粒子密度プロファイルより,バイカル湖の過去約650万年間の珪藻生産量と気候変動を推定した.BDP 98コアの粒子密度は,堆積物中の珪藻殻濃度を強く反映している.一般に,温暖期には珪藻殻に富んだ堆積物,寒冷期にはほとんど珪藻殻を含まない細粒な粘土質堆積物が堆積する.これらのことを用いて,バイカル湖周辺域の気候変遷史の復元を試みた.BDP 98コアの密度測定結果より,バイカル湖周辺域の過去650万年間の気候変遷は大きく3つの時代に分けることができる.
    その最新期にあたる第四紀の粒子密度は,海洋コアの底生有孔虫の酸素同位体比の変動パターンと,数万年スケールでよく類似している.そのため,この時代の堆積年代・堆積速度は,BDP 98コアの粒子密度プロファイルを酸素同位体比曲線に対比することにより推定できる.BDP 98コアの粒子密度は,堆積物中の珪藻殻濃度を強く反映していることから,粒子密度より生物源シリカ含有率を推定できる.これらの堆積速度と生物源シリカ含有率から,珪藻生産量(生物源シリカフラックス)を推定し,その増減を気候変動のプロクシーとした.その結果,汎世界的な気候変動との同調性が認識されるとともに,バイカル湖特有の気候イベントのいくつかが見いだされた.
  • 稲垣 美幸, 大村 明雄, 八木 洋江, 加藤 道雄
    2005 年 44 巻 2 号 p. 93-106
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    喜界島には,大きく3段に区分される更新世のサンゴ礁段丘が発達する.それらのうち,上位2段が礁成サンゴ石灰岩で構成され,最も広く発達する最下位段丘は,おもに有孔虫・コケムシなどの未固結で比較的細粒な生物遺骸が構成する砕屑性石灰岩からなる.この石灰岩中から採集した単体サンゴ化石のウラン系列年代測定を行った結果,4つの年代域を区分できるMIS 5b~3相当の年代値を得,比較的古い単体サンゴ化石ほど段丘面の陸側で,新しいものほど海側から産することが明らかになった.また,同段丘の外縁沿いに,年代測定したどの単体サンゴ化石よりも新しい約41ky(MIS 3)の礁成サンゴ石灰岩の分布を確認した.
    以上から,喜界島の更新世最下位段丘構成物の堆積環境は,MIS 5b以降の氷河性海水準変動と島の隆起運動による相対的海面低下によって,次第に浅海化した島棚から,サンゴ礁形成場という極浅海環境へと変化したと考えられ,約41ky(MIS 3)以降の堆積物は本島の地表には露出しない可能性が高い.
  • 大井 信夫, 北田 奈緒子, 斉藤 礼子, 宮川 ちひろ, 岡井 大八
    2005 年 44 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    福井県中池見凹地の下部砂礫層の対比を行うため,断片的に挾在する細粒堆積物の花粉分析を行った.空間的に分布する花粉群を対比するためにクラスター分析を行い,化石花粉群を6つのタイプC,S,P,T,D,Aに分けた.その結果をもとに,4つの地域花粉帯NKM-I~IV帯を設定し,地層の対比と時代の推定を行った.スギ属花粉が卓越するNKM-I帯と,落葉広葉樹花粉が優占するNKM-II帯が酸素同位体ステージ(MIS)7に,マツ科針葉樹花粉の優占するNKM-III帯がMIS 6に,そして再びスギ属花粉が多くなるNKM-IV帯がMIS 5に相当すると考えられる.
  • 澤柿 教伸, 平川 一臣, 岩崎 正吾
    2005 年 44 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2005/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    日高山脈北部のエサオマントッタベツ川において,最終氷期後期の氷河最拡大を示すターミナルモレーン付近の支沢の堆積物中に,木材遺体が埋没しているのを発見した.埋木片は,マツ属単維管束亜属の1種(Pinus subgen. Haploxylon sp.)であると同定され,14C年代測定の結果,12.3cal kaが得られた.この年代は,晩氷期の一時的な寒冷期(新ドリアス期)に相当し,北海道の平野部においてグイマツとハイマツが高率に出現する剣淵亜氷期に相当する.埋木片を採取した堆積物は,氷河底ティルの可能性が考えられるダイアミクトンを覆って押出し状に堆積しており,斜面崩壊堆積物に取り込まれながら,採取地点まで流下したものであると考えられる.本資料の樹種同定結果と年代値は,晩氷期~後氷期の温暖化傾向にある時期の一時的な寒冷期における山地植生や山地斜面の発達史を考える上で,有用な資料となることが期待される.
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