第四紀研究
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53 巻 , 6 号
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2013年日本第四紀学会賞受賞記念論文
  • 岩田 修二
    2014 年 53 巻 6 号 p. 275-296
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    日本アルプスの氷河地形研究における転向点1(1940年)は,発見時代の多様な氷河地形を今村学郎がアルプス型氷河地形だけに限定した時点である.転向点2(1963年)は,空中写真判読による日本アルプス全域の氷河地形分布図を五百沢智也が発表した時点である.その後,日本アルプスの氷河地形研究は大きく進展したが,転向点3(2013年)は,「地すべり研究グループ」によって複数の氷河地形がランドスライド地形と認定された時点である.転向点3以後における日本アルプスの氷河地形研究の課題は:1.露頭での詳細調査による氷河堆積物とランドスライド堆積物との識別,2.白馬岳北方山域での氷河地形とランドスライド地形との峻別,3.白馬岳北方山域での山頂氷帽の証拠発見,4.剱岳の雪渓氷河や後立山連峰のトルキスタン型氷河がつくる氷河地形の解明である.つまり,急峻な山地での氷河による侵食・堆積作用とその結果できる地形を見直す必要がある.
論説
  • 永安 浩一, 公文 富士夫, 竹村 恵二
    2014 年 53 巻 6 号 p. 297-309
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    琵琶湖湖底堆積物コアを用いて過去約28万年間の珪藻殻数(valves/g)および珪藻化石群集を,平均1,500年間隔で分析した.珪藻化石群集の種構成には大きな層序的変動が認められ,その特徴をもとに7つの珪藻帯(Zone 1〜7)に区分した.この珪藻帯区分は,先行研究の結果と整合的であり,琵琶湖全域に共通する珪藻群集の変遷が確認できた.コア深度99.51〜65.01mのコア下部(Zone 2)の時代では殻数が少ない一方で,付着性珪藻の比率が高いことから愛知川デルタが前進した影響が推定された.コア上部(Zone 3〜7)では浮遊性珪藻が優占し,その殻数の変動には,中国の石筍に記録された酸素同位体比変動と同調性が認められる.珪藻殻数は珪藻生産性の指標であるが,その変動は夏季の東アジアモンスーンの強度変動に支配された降水量変動のプロキシであると考えられる.
短報
  • 丹羽 雄一, 遠田 晋次, 須貝 俊彦, 松島 義章
    2014 年 53 巻 6 号 p. 311-322
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2015/07/23
    ジャーナル フリー
    三陸海岸の隆起・沈降史復元に向けた手始めとして,陸前高田平野においてコア堆積物の解析を行った.堆積物は,下位から陸上河川堆積物,潮汐の影響する河川および浅海堆積物,プロデルタ〜デルタフロント堆積物,および陸上泥湿地堆積物からなる.合計25試料の14C年代測定値に基づいた堆積曲線から推定した堆積速度は,コア下部(9,500〜9,300calBP)で20mm/yr以上,中部(9,300〜3,300calBP)で2〜10mm/yr,上部(1,200calBP以降)で5〜10mm/yrであり,コア中部の堆積速度は日本列島のデルタとしては大きい.これは調査地域がリアスの湾奥に位置しているため,河口低地から内湾環境への移行後も上流からの土砂供給の影響を受け続けていた可能性を示す.また,潮汐の影響する河川および浅海堆積物の堆積環境の特徴から推定される完新世初期の古海面高度と地殻変動を考慮しない同時期の理論的な海面高度との対応から,本地域の完新世を通じた地殻変動は最近100年間と同様に沈降傾向である可能性が示唆される.
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