第四紀研究
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41 巻 , 2 号
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  • 片川 秀基, 穴田 文浩, 吉田 進, 伊藤 孝
    2002 年 41 巻 2 号 p. 73-83
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    跡津川断層は,安政飛越地震(1858年)の震源断層とされ,地震に伴って同断層の東端付近で地震断層が出現したとする考えがある.筆者らは断層の東端付近の真川流域において,「真川露頭」の斜面上方で,新たに断層露頭を見い出した.断層面の傾斜は,斜面上方へほぼ鉛直から北西側に向かって緩傾斜となる.露頭と周辺地形を観察した結果,(1)この傾斜した断層面の一部を利用して真川側へ滑動する地すべりが存在すること,(2)この地すべりの頭部には断続的な地すべり運動に伴って形成された開口亀裂を埋積する堆積層が複数認められ,いずれも断層に切られていないことが判明した.これらの堆積層のうち,もっとも新しい腐植土層の14C年代値は1,040±70yrsBP(AMS)である.これは,少なくとも安政飛越地震(1858年)の際に,跡津川断層東端付近において地震断層が出現しなかったことを示す.
  • 谷村 好洋, 嶋田 智恵子, 芳賀 正和
    2002 年 41 巻 2 号 p. 85-93
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    ピストンコアに含まれる珪藻Paralia sulcataの増減から,東シナ海北東部における大陸系混合水の消長を過去30,000年間にわたって明らかにした.13kyrs BPの増加ピークを伴う16~9kyrs BP間の多産は,大陸系混合水が東へ拡がり,九州西方海域の表層を広く占めていた可能性を示唆する.一方,23kyrs BPにおける減少ピークは,塩分の低下,あるいは塩分と水温の低下を反映し,9kyrs BP以降の急激な減少は,大陸系混合水が中国大陸側へ後退したことによると推定される.海水準変動に伴う対馬海流の輸送水量変化や北太平洋の気圧と風の変遷が,一連の大陸系混合水消長の要因である可能性が高い.
  • 川村 教一
    2002 年 41 巻 2 号 p. 95-107
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    坂出平野地下から得られたボーリング・コア試料などの観察と貝類化石,火山灰の抽出を行い,上部更新統および完新統の層序,形成年代,堆積環境について考察した.研究地域における更新統,完新統は下位から順に,陸成層の本町層,陸成および海成層の坂出層(下部層,中部層,上部層),おもに海成層の綾川層(高屋町泥部層,高屋町砂部層,林田町砂部層)に区分される.坂出層上部層からは,姶良Tn火山灰層(AT)に対比される坂出5火山灰層,綾川層からは鬼界アカホヤ火山灰層(K-Ah)に対比される綾川火山灰層がそれぞれ見つかった.完新統の基盤は,湿地堆積物や古大束川の氾濫堆積物などからなる坂出層上部層である.これを覆って,完新世前期に汽水的環境下で高屋町泥部層が堆積した.綾川の三角州は,K-Ah降灰以後に高屋町泥部層上部のシルト質砂層(底置層)の堆積から始まつた.その後5,500yrsBP頃までには高屋町砂部層の砂層(前置層)が堆積し,三角州の主部が完成した.
  • 那須 浩郎, 百原 新, 沖津 進
    2002 年 41 巻 2 号 p. 109-122
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    青森県の黒石市井戸沢,青森市大矢沢,十和田市赤伏における十和田八戸テフラによって埋積された晩氷期(約13,000yrsBP)の埋没林において,大型植物化石群から当時の古植生を復元した.当時の植生はトウヒ属バラモミ節,トドマツ,グイマツが混生する針葉樹林にカバノキ属を伴い,林床は森林性蘚類が優占するコケ型林床であった.針葉樹3種のうち,トウヒ属バラモミ節がすべての地域で最も多く,トドマツとグイマツは比較的少なかった.3地域の古植生を比較すると,当時低湿地だった大矢沢・十和田地域ではイワダレゴケ,オオフサゴケといった湿った場所を好む蘚類が多く,岩礫地だった黒石地域ではグイマツを欠き,蘚類の種類が豊富だった.復元された古植生とその立地から,トウヒ属バラモミ節,トドマツ,グイマツの分布立地を検討した.その結果,3地域で優占していたトウヒ属バラモミ節は当時から低湿地,岩礫地といった未発達土壌で分布が優勢であり,逆に量的には少なかったトドマツは未発達土壌では優占できなかった.グイマツは低湿地を中心に分布していたと考えられるが,岩礫地であった黒石地域には多雪の影響で分布できなかったと考えられた.
  • 古澤 明, 梅田 浩司
    2002 年 41 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    大山火山起源のDNP,DSP,DKP降下軽石は,岩相が類似し,また鉱物組成(組み合せ)も類似するが,斜方輝石・角閃石の形態および屈折率から,それぞれ識別されている.しかし,単一のテフラ層内の上下方向での斑晶やガラスの屈折率変化が多くのテフラで確認されている.DKPとDNP両テフラの正確な識別は,これらが本州中部~東北南部地域に重要な時間軸を与えることから,第四紀編年上非常に有意である.
    本論では,DKPとDNPについて,保存の良い地点でテフラ単層内の鉛直方向の詳細な屈折率変化を把握し,それぞれのテフラが角閃石および斜方輝石のみから,識別が可能であるかを検討した.その結果,それらの鉱物の屈折率に一定の変化があり,屈折率は一部重複することが判明したが,DNPの斜方輝石のモードは明らかにDKPのそれよりも全体的に低く,その差異は識別できる.したがって,両テフラがローム中などに拡散している場合,これらの識別には慎重を要し,レンジとモードにおいて各テフラ固有の斜方輝石および角閃石の屈折率を示す斑晶が有意に増加する層準を検出する方法が有効であると考える.
  • 野田 啓司, 奥村 清
    2002 年 41 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 2002/04/01
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    相模川沿岸の中津層群最上部塩田層に挾在する190層のテフラの層序,岩相,記載岩石学的性質を明らかにし,その層序位置を示した.これらのテフラには,全鉱物中の石英の含有量が12%で,ジルコンの含有比が高いSd100,重鉱物が角閃石と不透明鉱物からなる特徴をもつSd22,Sd23,Sd24などがあることを明らかにした.また,Sd100のフィッション・トラック年代を測定し,2.1±0.5Maという値を得た.
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