荒川低地中・上流域と妻沼低地において,ボーリング柱状図資料およびボーリングコアを解析して,沖積層に埋積されている埋没地形面群の区分と対比・編年を試みた.
本地域の埋没地形面群は高位よりI~V面に区分され,I~IV面は最終氷期後半に形成された埋没段丘面であり,V面は埋没谷の基底に堆積する河成礫層の頂面である.これらの埋没地形面群は,最終氷期後半の海面低下に応じて順次形成された.V面は荒川低地から妻沼低地を経て利根川右岸まで連続することから,V面形成当時の利根川は荒川とともに現在の荒川低地を流下していたと考えられる.
荒川低地と妻沼低地の境界付近には,深谷断層が伏在している.ここでは,深谷断層の活動により埋没地形面の段丘化や変形が引き起こされた可能性が高い.
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