原らの開発した水系ゲル濾過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による血清リポタンパク質の定量を,従来から行われているアガロースゲル電気泳動と比較した。5μlの血清をゲル濾過カラム(G 4000 SW,東洋曹達)に注入し,0.15M NaCl 0.5ml/minで溶出し,コレステロールをモニターしたパターンは,完全に分離した3つのピークを示す(ピーク1,カイロミクロン+超低比重リポタンパク;ピーク2,,低比重リポタンパク;ピーク3,高比重リポタンパク)。92例の正常血清について,HPLC(X)とアガロースゲル電気泳動(
Y)により,ピーク1, 2, 3及びα, β-リポタンパクのコレステロール量を測定した。ピーク2とβ-リポタンパク(
r=0.961,
Y=0.990
X+3.43),ピーク3とα-リポタンパク(
r=0.911,
Y=0.945
X+7.21)の間で高い相関が得られた。HPLCではカイロミクロン+超高比重リポタンパクのコレステロール量がピーク1として正確に測定(5.3±4.0mg/dl,
n=92)できるのに対し,アガロース電気泳動では,カイロミクロンとpre-βリポタンパクはβ-リポタンパク分画から分離して測定できなかった。また両法の測定精度は,電気泳動法がα, βリポタンパク分画で6%, 9%(CV値)であるのに対し,HPLC法では,ピーク2, 3について1%以下であった。
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