4-フェニルアゾ-1-ナフチルアミン (4-NH
2) のプロトン平衡 (アゾ型・キノン型互変異性平衡) を, アニオン系-非イオン系界面活性剤の混合水溶液中において検討した。混合系は, 硫酸ドデシルナトリウム (SDS) -アルキルポリ (オキシエチレン) エーテル (C
mPOE
n,
m=12, 14, 16, 18,
nは20で一定;
n=10, 20, 30, 40,
mは16で一定) である。SDS単独水液中における上記染料の最大吸収波長は, C
mPOE
n単独水溶液中のそれとは異なった。混合水溶液中における最大吸収波長は, 非イオン系界面活性剤のアルキル鎖長あるいはポリオキシエチレン鎖長に依存した。例えば, C
12POE
20との混合系の場合, そのモル比の増加にともない450nmへシフトした。一方, C
18POE
20との混合系の場合, そのモル比が0.5まで増加しても, キノン構造による535nmの吸収は認められた。さらにC
16POE
10との混合系の場合, 最大吸収波長は535nmへシフトし, 450nmのピークは消失した。またSDS-C
16POE
10混合系の場合, そのCMC付近において, 温度増加にともない最大吸収波長が長波長側から低波長側へシフトした。以上の結果から, 4-NH
2染料は, SDSと短いアルキル鎖長あるいは長いポリオキシエチレン鎖長を有する非イオン系界面活性剤 (C
mPOE
n) の混合水溶液中においてアゾ型として存在し, 一方, SDSと長いアルキル鎖長あるいは短いポリオキシエチレン鎖長を有するC
mPOE
nの混合水溶液中においてキノン型として存在することが分かった。
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