in vivo実験条件下におけるワックスエステル (WE) の代謝を検討するため, コイ,
Cyprinus carpioに [1-
14C] パルミチン酸, [1-
14C] セチルアルコール及びオレイル [1-
14C] リノリエートを強制投与しその生体内分布を検討し,
in vitro実験の場合と比較した。各組織共, 主な脂質成分はリン脂質及びトリアシルグリセリン (TG) で, 主な構成脂肪酸は16 : 0, 18 : 1, 18 : 2及び22 : 6だった。各組織ホモジネートによる [1-
14C] パルミチン酸及び [[1-
14C]] セチルアルコールのWE中への取り込みは顕著だったが,
in vivo条件下におけるこれらのWE中への取り込みは微少で, 放射能の多くは主に筋肉, 皮, 肝すい臓, 腸及びえら等にホスファチジルコリン (PC) 及びTGの形で認められた。さらに, 強制投与されたオレイル [1-
14C] リノリエートは主に筋肉, 皮, えら及び肝すい臓等に運搬され, PC及びTGの形で貯蔵されることをみた。この際, 放射能の一部はWE血しょう中のWE中にも認められた。なお, [1-
14C]トリオレインは肝すい臓ホモジネートによって水解され, 脂肪酸の一部はWE中に取り込まれ, その取り込み率はオレイルアルコールの添加により賦活された。
以上の結果より, 強制投与されたWEは腸内こう (腔) で水解され, そのアルコール部分は一部再エステル化されるものの, ほとんどは酸化されて脂肪酸となった後, 脂肪酸強制投与の場合と同様の経路で代謝されるものと推定した。
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