近年, 固相液相不均一系反応を利用したファインケミカルズ合成が数多く報告されている。著者らも, 反応を温和に制御できること, 生成物と触媒との分離が容易なことなどの観点から, 上記の反応をテルペン系オキシドの異性化に利用している。
今回これらの研究の一環として硫酸銅 (II) 触媒に着目し, テルピノレンオキシド (T-1) の異性化を試みたところ, 350 ℃ で焼成した硫酸銅 (II) を触媒としたときにはリモネン-4-オール (T-4) が, 無機固体担持硫酸銅 (II) 触媒 (例えば, CuSO
4 / ベントナイト) を用いたときには, ホップ香を有するカラハナエノン (T-2) がそれぞれ選択性良く得られることを見いだしたのでここに報告する。
硫酸銅 (II) は従来より, ジオールとカルボニル化合物との反応, スチレンオキシドからの 1, 3-ジオキソラン誘導体の合成に有効であるとされているが, テルペン系オキシドの反応に適用した例は見あたらない。本報では硫酸銅 (II) 触媒存在下での (T-1) とケトンとの反応及び担持硫酸銅 (II) 触媒存在下での α-ピネン2, 3-オキシド (P-1),
d-リモネン 1, 2-オキシド (L-1) の異性化についても報告する。
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