昇温熱重量測定 (TG) を用いて重合度の異なるポリグリセリン (PG) 及び市販のPG並びにアシル基炭素数及びエステル化度の異なるポリグリセリン脂肪酸エステル (PGFE) の減量挙動について比較した。さらにPGについては各温度間の減量率と組成成分との関係についても検討した。また, 昇温TGによる減量開始温度及び恒温TGによる減量開始から5%減量するまでに要した分解時間によりPGFEの熱安定性を評価した.
1) PGの昇温TGでは, 重合度が増加するにしたがってTG曲線は高温側に移行し, 熱安定性は向上した。水分蒸発後の市販PGのTG曲線は重合物の組成により特有の減量パターンを示した.
2) PGの昇温TGにおいて室温から, 150℃, 150から250℃, 250から300℃及び300から350℃間の減量率は水, モノグリセリン, ジとトリグリセリンの和及びテトラとペンタグリセリンの和とそれぞれ相関した.
3) PGFEの昇温TGでは, アシル基炭素数が多くなるにしたがって減量開始温度は高温側に移行した。しかし, エステル化度の異なるPGFEは減量開始温度とエステル化度は相関しないものの, 300から400℃間のTG曲線は特有の減量パターンを示した.
4) 恒温TGでは, 各測定温度におけるPGFEの耐熱時間はアシル基炭素数に影響されずほぼ等しい。しかし, エステル化度が高くなるにしたがってPGFEの耐熱時間は短くなり, 熱安定性は低下した.
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