がざみは湿重量%として体全体の1.6%の脂質を含有し, とくに肝すい臓は12.3%と高く, 筋肉で約1%である。これらの脂質は主としてトリグリセリド, リン脂質, 遊離脂肪酸とジアシルグリセリルエーテルから成る。かににおける脂肪酸代謝を検討するため, [1-
14C] アセタート (200μCi) を腹こうに投与し, 5h後に凍結死させた。脂質を抽出後, 飽和, モノ不飽和及び多不飽和脂肪酸をアセトン溶液から低温分別結晶法により濃縮し, 硝酸銀薄層クロマト, 逆相カラムクロマト法により分離した。不飽和脂肪酸をオゾン分解するとともに, パルミチン酸, オレイン酸を水素添加して得たステアリン酸及びイコサペンタエン酸からのアラキジン酸については, それぞれカルボキシル炭素から段階的に減成した。その結果, かにはパルミチン酸のような飽和脂肪酸を
de novo合成し, それを鎖長延長し, 不飽和化してオレイン酸のようなモノ不飽和脂肪酸とし, さらにリノレン酸のような外因性の脂肪酸を魚類でみられたと同じようにイコサペンタエン酸のような高度不飽和酸へ変換する。
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