キンバエ,
Lucilia caesar 幼虫 (節足動物・昆虫類) 由来のマンノース含有アミノ CTH (GlcNAcβ 1-3Manβ 1-4 Glcβ1-Cer, ArOse
3Cer) を免疫源としてウサギ抗体を調製し, 得られた抗体の特異性を, 関連糖脂質を用いてELISA及び TLC-immunostaining testにより検討した。その結果, ArOse
3Cer及びArOse
3-sphingosineとは反応したが, GlcNAcを非還元末端糖とする GlcNAcβ1-3 Ga1β 1-4 Glcβ1-Cer (アミノCTH) や GlcNAcβ 1-2 Manα 1-3 Manβ 1-4 Glcβ1-Cer, 及び調べた他の糖脂質とは交差反応を示さなかった。
一方, この抗体を用いて2種類の甲殻類 (南極オキアミ,
Euphausia superba及びテナガエビ,
Macrobrachium nipponense) のスフィンゴ糖脂質画分をTLC-immunostaining testによって調べ, 両者にArOse
3Cerと同じ移動度を示す糖脂質のの存在することを認めた。この糖脂質は化学的分析結果から ArOse
3Cerと確認できた。甲殻類にArOse
3Cerが存在することを明らかにしたのは, これが初めてである。
さらに, テナガエビの凍結切片の免疫染色結果から, 同糖脂質が触角せん (腺), 食道内壁及びえら (鯉) に局在することを見いだした。
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